2013年3月

2013年3月24日 (日)

加藤九段、藤井九段、片上六段が明日の見どころを語った。

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加藤 そうですね。えーっとですね。先ほどの両対局者のやり取りを非常に興味深く聞いておりました。司会の方も非常に突っ込みがあってですね、なかなか緊迫したやり取りだったと思うんですけれども、お二人とも素直に、直球で投げ返していましたね。カーブではなくて。非常に感心しました。郷田棋王と渡辺竜王・王将ですけども、郷田棋王とわたくしはひとつ共通点がありまして、何かというと、わたくしも郷田棋王も、長考して、長考したあと一番最初に考えた手を指します。つまり、わかってて考えるところが共通しています。渡辺竜王・王将はですね、少し前まではわたくし、渡辺竜王の強さ、まったくわかりませんでした。渡辺竜王が竜王戦で7期、8期連覇しても、その強さがまったくわからないと答えていたんですけれども、去年ですね、竜王戦の立会で行きまして、渡辺竜王の強さを悟りました。つかみました。以後わたくしは、あっ、ちょっと時間がオーバーするかもしれませんが、ちょっと宣伝です。4月10日に角川書店から加藤一二三九段著、『羽生善治論』が出版されます。そこで渡辺竜王の強さをかなりわたくしが強調して書いています。今回は羽生さんと渡辺竜王と大山名人と、中原さんと、米長さん。で、ほかならぬわたくし。と、長くなりますから、このくらいで。
――(会場拍手)

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片上 明日の展望ですか。
藤井 私は立場上公平中立、将棋連盟の一理事として、公平中立に予想して、第5局が見たいと。明日は郷田さんが意地を見せないといけませんね。片上さんはいかがです?
片上 今期の将棋を見てると渡辺さんが少し押してるのかと思ったんですが、順位戦の最終局(▲渡辺明-△郷田戦)のインパクトがありまして。正直言ってあの将棋、郷田さんが勝つとは思わなかったんですよ。あれで見方が変わりましたかね。難しくなったんですが、6-4で竜王かなと思います。
藤井 それでも竜王寄りですか。
片上 郷田さんはとちぎ将棋まつりに来られて、棋王もとって、すごくいいイメージがあると思うんですよね。それがいい将棋につながれば。
藤井 去年は「誕生日にタイトル」と、作ったようないい思い出がありましたからね。

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加藤 戦型予想ですか? 郷田さんが先手ですよね。
藤井 竜王が先手です。
加藤 竜王が先手。うーん、あの、竜王が矢倉ですよね。それで郷田さんが受けて立つ。相矢倉ですね。
藤井 加藤先生の一番得意な形ですね。
加藤 相矢倉は私200局か300局くらい指してまして、ひとつ言いますと、先手後手どちらを持っても十分戦えるというのが矢倉なんです。竜王と郷田さんは五分五分だと思います。
藤井 割れましたね。私は6-4で郷田さん、片上さんは6-4で竜王。加藤先生は五分五分。
加藤 私は立会人ですから、まったく公平に。
藤井 (前夜祭の次の予定まで)あと1分? 加藤先生、締めをお願いします。
加藤 郷田さんも渡辺さんも非常に本格的な将棋で、よく読んで指す将棋でですね、あすは重厚な名勝負を展開することを期待しております。わたくしも立会人ですけれども、勉強するつもりで……73歳ですけども、もうちょっと強くなりたいと思っているので、勉強のつもりで立ち会います。

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(牛蒡)

司会者の質問に答えるという形式で、対局者の決意表明が行われた。

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(郷田棋王)

―― 昨年の棋王戦、そして1月のとちぎ将棋まつりにも来ていただきました。栃木の印象は変わってきましたでしょうか?
郷田 そうですね。昨年も来させていただいたんですけども、たくさんの方に観に来ていただけてうれしかったですね。

―― 栃木の好きなところはどんなところですか?
郷田 宇都宮はとちぎ将棋まつりで来たんですが、日光には学生時代の友達と鬼怒川温泉に行ったことがありまして。非常に懐かしいなと思っています。

―― 第3局までの手応えはいかがでしょうか?
郷田 厳しい状況ですね。課題や反省点も見つかりましたが、終わったことは考えてもしょうがないので、前向きにいきたいですね。

―― 明日に向けての意気込み、会場の皆さまへのメッセージをお願いします。
郷田 盤上で全力を尽くして、いい将棋を指すのがプロ棋士の務めなので、自分なりに精一杯がんばれればと思います。

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(渡辺竜王)

―― 栃木の印象はいかがでしょうか?
渡辺 栃木県には対局等で何回か来ているんですけども、この宇都宮には2年ぶり2回目で……2回目じゃないです。とちぎ将棋まつり(2010年)で来て、そのあと棋王戦第1局(2011年)があって、それ以来ですね。そのときは負けてしまったので……えー、そういう印象なんですよね(笑)。

―― ということは、その印象を晴らしたいという気持ちがあるのでしょうか。
渡辺 そうですね。やっぱりその土地での成績は、なんとなく覚えているものなので。

―― 第3局までの手応えをお聞かせください。
渡辺 五番勝負ですので、始まるとあっという間にこの第4局まで来たなという感じです。残り2局、終盤戦ですから、悔いの残らないようにやりたいなというところです。

―― 三冠がかかる対局ですね。
渡辺 まあ、始まってしまえば集中できると思います。

―― 今のお気持ちは、緊張はあるでしょうか。
渡辺 タイトル戦の前は多少は緊張するんですけども、始まってしまえば、はい。

―― 明日の対局に向けての意気込み、会場の皆さまにメッセージをお願いします。
渡辺 この宇都宮は棋王戦の3年連続の開催もありまして、非常に将棋熱が高まっていると感じています。また明日は日曜日ですので、大勢のお客様にお越しいただけると思いますので、その期待に添えるような将棋を指したいと思います。

(牛蒡)

前夜祭はホテル1階の「平安の間」で行われた。

B328

B038
(棋王戦宇都宮対局実行委員長 如水和也氏)
B085
(下野新聞社代表取締役社長 観堂義憲氏)
B137
(衆議院議員 船田元氏)
B223
(日本将棋連盟理事 藤井猛九段)
B107

(牛蒡)

2013年3月23日 (土)

駒の平箱に署名を入れて検分終了。棋戦名は加藤九段が筆を入れた。

A346
(ズバズバと切るような加藤流の筆さばき)
A415
(郷田棋王は軽く、流れるように)
A459
(渡辺竜王は力強く)
A469
(三者三様の味がある)
A365
(カド番を迎えた郷田棋王。第4局の作戦選択に注目だ)

(牛蒡)

本局には北田如水作の盛上駒が3つ用意された。書体は清安書、錦旗書、菱湖書。いずれもタイトル戦にふさわしい駒ばかりだ。両対局者は駒の選択を加藤九段に委ねた。加藤九段の選択は……。

A134

A093a
(清安書)
A096a

A108a

A152b
(錦旗書)
A100b

A115b

A153c
(菱湖書)
A098c

A127c

A289
(「それでは、こちらで」。加藤九段は菱湖書の駒を選んだ)
A319
(駒師の北田如水氏。1月に行われたとちぎ将棋まつりにも参加した)

(牛蒡)

宇都宮グランドホテルに到着後、検分と揮毫が行われた。対局場はホテル1階の「陽南荘」。窓からはホテルの庭園が見える。

A047
(この日は少し寒かったため、暖房器具が設置されていた)
A163
(先に入室した加藤九段が駒を確認していた)
A175

A178

A211
(対局者が入室。検分が始まった。明日の対局に使用する駒を選ぶ)
A247

A306

A263
(藤井九段と片上六段)
A326
(北尾女流初段は和服姿だった)
A236_2
(加藤九段も検分に加わる。どの駒が選ばれるのだろうか)

(牛蒡)