2024年3月 3日 (日)

Img_8763 大盤解説会場から戻り、あらためて感想戦が始まった。

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以上で第3局のブログ更新を終わります。
ご観戦誠にありがとうございました。

(八雲)

Img_8698 終局直後、両者にインタビューが行われた。

Img_8706 防衛にあと1勝と迫った藤井棋王。

【藤井棋王の談話】
――序盤は▲4五桂(37手目)と積極的に指されていた印象がありましたが、いかがでしたか。
「それほど前例は多くない形ですけど、やってみようかなと思っていました」

――▲6七歩(61手目)のところ、検討では▲6四歩の攻め合いも出ていました。その手は考えられましたか。
「そうですね、▲6四歩が利いているかどうかわからなかったんですけど。どこかで4五の桂が取られる形なので。△6六桂のキズを気にしたんですが。ただ、そうですね、▲6七歩だとやっぱり△8一飛と形よく引かれる手を許すことになるので。それで玉を安全に指してどうかなと思ってはいたんですけど。その手段が思ったより難しかったかなという印象はありました」

――▲2六金(67手目)から▲1七角と打った辺りの手応えはいかがでしたか。
「ちょっと後手が△2四歩から手厚い形にされる前に動いていく必要があるかなと思ったのですけど。ただ、ちょっと窮屈な形になってしまって。1七角がさばけない懸念がかなりあるので。あまりうまくいっている感じではないかなと思っていました」

――▲2七飛(83手目)と飛車を切られた辺りの形勢はどう見ていましたか。
「どうなっているか際どいところかなと思ったのですけど。攻め込まれてしまうとはっきりダメになってしまうので。手としては仕方がないかなと思っていました」

――よくなったのはどの辺だとお感じでしょうか。
「▲5五香(93手目)と打って、攻め合いで△4八と~△5九とが、まだ詰めろではないので。少しいけていてもおかしくないかなとは考えていました」

―― 一局全体を通しての感想をお願いします。
「中盤、いったん局面が収まったところがあったのですけど。そこでどういう構想で指すかが非常に難しかったなと思います」

――防衛にあと1勝となりました。次局に向けての抱負をお願いします。
「そのことは意識せずに、いい状態で臨めるように調整していきたいと思います」

Img_8726 伊藤七段は後がなくなった。

【伊藤七段の談話】
――△6五歩(44手目)に52分、△3八角(46手目)に1時間22分使われて、連続の長考となりましたが。この辺りはいかがでしたか。
「あまり認識のない展開になって。どういう方針で指すか、一手一手難しかったです」

――△2三金(70手目)と指されたところで、△3三桂が検討されていました。その手は考えましたか。
「△3三桂も比較したんですけど。ちょっと苦しいかなと思っていました」

――▲2九飛(81手目)に△1七歩成と指された辺りはいかがでしたか。
「▲2七飛から▲1一香成で、そのあとの▲6四香の厳しさをちょっと軽視していたので。あの辺りでもう少し違った手で頑張るしかなかったかなと思います」

―― 一局を通しての感想をお願いします。
「△2七角成(48手目)から馬を自陣に引き下げて行ったんですけど。その馬が負担になる展開で。ちょっと苦しい将棋だったかなと思います」

――次局に向けての抱負をお願いします。
「一局でも多く指せるように頑張りたいと思います」

(八雲)

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この局面で伊藤七段が投了し、藤井棋王の勝ちとなりました。終局時刻は18時53分。消費時間は、▲藤井3時間47分、△伊藤3時間59分。勝った藤井棋王はスコアを2勝、1持将棋とし、防衛まであと1勝としました。第4局は3月17日(日)に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」にて行われます。

(生姜)

2024030374時刻は18時を回りました。
少し前に伊藤七段が指した△1六馬は「非常手段気味の手」と千田八段。馬と金の交換なので駒損ですが、上部を開拓して入玉含みで頑張る構想です。

2024030385少し進んで現局面は先手が飛車を切って▲1一香成としたところ。駒割りは飛車と角香の交換で先手が駒得していますが、後手にも△1九飛で角と成香の両取りを掛ける狙いが残っています。後手の狙いはやはり入玉含みであることは間違いありません。先手が入玉を阻止できるかどうかが勝負にポイントになりそうです。

Img_8236 両者の揮毫。

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(八雲)

20240303713四馬の働きで立て直した後手に対して、藤井棋王は金を2筋に繰り替えて、さらに▲1七角と数を足して3筋の攻略に動き出しています。いま打たれた▲3六歩も、3筋を力でこじ開けにいった手。ここは技よりも力で藤井棋王が動いています。形勢は不明。ここ数手で激しくなりそうです。

Img_8658 藤井棋王が力でこじ開けにいった。

(八雲)

2024030362図は15時30分頃の局面。
少し指しにくい展開と言われていた後手ですが、ここ数手で馬を自陣に引き付けて安定した陣形を作り上げました。こうなると馬がよい働きをしています。少し押され気味だった形勢を、伊藤七段が見事に立て直したと言えそうです。

Img_8629 伊藤七段が踏みとどまって盛り返した。

(八雲)

15時を回り、対局者のおやつが運ばれました。注文は両者ともに「黒ごまプリン」で、藤井棋王は「アイスレモンティー」、伊藤七段は「アイスティー」を注文しています。

Img_8673 藤井棋王の注文。

Img_8676 伊藤七段の注文。

(八雲)

対局再開と同時に現地の大盤解説会が始まっています。

【大盤解説会ライブ中継のお知らせ】(再掲)
解説会の模様は新潟日報社の特設サイトでライブ中継が行われます。
視聴は無料で「新潟日報パスポート」の会員登録(無料)が必要です。

【第3局大盤解説会ライブ中継】
https://www.niigata-nippo.co.jp/list/kiosen-live/2024-49

Img_8668 解説会は300席が完売。すでに9割ほどの来場者があった。

Img_8666 解説は千田八段と貞升女流二段。

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千田八段は昼休前に52分の長考で指された伊藤七段の△6五歩(下図)に対して、藤井棋王がわずか3分の考慮で▲3五歩と返したところを大きなポイントとして解説していた。「長考して勝負にいったら、3分で▲3五歩って。ラーメン作るみたいな時間で。これはきついと思います」(千田八段)

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(八雲)