大盤解説会へ
終局直後
◆千田六段のインタビュー
--千田六段、お疲れさまでした。中盤からかなり難しい将棋だったと思うんですが、いかがですか。
千田 序中盤はうまく指せていたのかなと思ったんですけど。中盤で反撃されてから、まったくわからなくなってしまいました。
--優位に立ったと感じたのは、どのあたりでしょう。
千田 序中盤は指しやすいと思ったんですけど、逆転されてしまって。最後の最後のですかね。
--幸先のいいスタートですが、第2局の抱負をお願いします。
千田 熱戦が続けばいいかなと思います。
(千田六段がインタビューに答える間、渡辺棋王はうつむき、左手の人差し指で右手の甲をさすっていた)
◆渡辺棋王のインタビュー
--渡辺棋王もお疲れさまでした。感想をお願いいたします。
渡辺 中盤がかなり長かった将棋で、模様の取り方が難しかったですね。
--控室では「棋王有利」の声もありました
渡辺 終盤は勝ってると局面はあったと思ったんですが、方針が定まらなかったですね。△8六角(138手目)がちょっと……角よりいい手はいくらかあったと思うんですけど、角打ちは考えられる中でいちばん悪い手だったかもしれないですね。方針が攻防の手だったんですけど、受けるなら受けるで、はっきりした手をやらないとだめだったかもしれません。中途半端の手になってしまったので。
--第2局の抱負をお願いします。
渡辺 始まったばかりなので、またこれから巻き返せるようにやりたいと思います。
(紋蛇)
千田六段が大激戦を制す
渡辺明棋王に千田翔太六段が挑戦する第42期棋王戦五番勝負第1局は19時45分、157手で千田六段の勝ちとなりました。消費時間は▲千田3時間59分、△渡辺3時間59分。第2局は2月18日に金沢市「北國新聞会館」で指されます。
(銀杏)
後手玉が寄るかどうか
▲5二とに渡辺棋王は△7五歩。以下▲同歩△同銀と進んでいます。
金を取らせても、△7四玉から上部に逃げようとしています。千田六段は▲8五金とタダのところに打ち、△同桂と取らせて逃げ道を塞ごうとしましたが、そこで渡辺棋王は△5二玉とと金を払いました。双方が秘術を尽くしています。
金を使わせたのがどう出るか。局面の焦点は、千田六段が後手玉が寄せきるかに絞られていそうです。
(紋蛇)
19時6分の対局室
玉の早逃げで激戦
中盤戦から終盤戦へ
▲1三歩にどう戦うか。単純に△1三同香は桂をさばかせるので面白くありませんが、渡辺棋王は後手陣の左辺を受け流して勝負しています。▲1三歩に、まずは△8六歩と玉頭に味をつけました。以下▲同銀△1三香▲1二歩。
▲1二歩は次に▲1一歩成△同銀▲1三桂成を狙ったもので、▲1二歩に△2四角は▲4六銀で後手が困ります。実戦は△1四香とかわしました。▲1三桂成から馬を作られましたが、△8四桂が期待の一手です。
先手に大駒を成られても、△7六桂と跳べばかなりの迫力です。千田六段は▲6八桂と打たずに▲7七金と力強く受け、以下△8五歩▲9七銀△9四歩と進んでいます。
棋王は端攻めを間に合わせようとしています。先手は▲3三飛成と竜を作れますが、次に▲3二竜と王手をしても、△6三玉が2枚落ちの上手のように耐久力のある形です。玉の堅さで攻めるだけなく、懐の深さで勝負する指し回しは、棋王の新境地といっていいかもしれません。
(紋蛇)