2023年2月19日 (日)

渡辺棋王と藤井竜王、対局関係者は北國新聞会館で行われる、第27回北陸ジュニア棋王戦の開会式に出席しました。北陸ジュニア棋王戦は北國新聞社が主催する大会で、多くの子どもたちが腕を競います。渡辺棋王と藤井竜王、田中寅九段は開会のあいさつを行いました。
Img_5859(渡辺棋王)
「1局指すと、1つ新しい知らなかったことを覚えることができると思います。負けても今日はいろいろ覚えて強くなったなと思って、今後も続けていっていただきたいと思います」
Img_5877(藤井竜王)
「私も子どもの頃、こういった大会によく参加していました。大会ですと普段、対戦できない相手ともたくさん対戦できるので、非常にわくわくした気持ちだったことを覚えています」
Img_5893(田中寅九段)
「皆に1つだけ約束してほしいことがあります。将棋の世界はどんなに頑張っても、どちらかが必ず負けます。その負けたときがいちばん大切です。すごくつらいことですが、正々堂々と一生懸命やって自分が負けたと分かったら、相手にしっかり『負けました』と言いましょう。勝ったほうは、相手に対して一局の将棋を一緒に楽しめた感謝の気持ちを『ありがとうございました』と言いましょう」

Img_5897

Img_5917(こどもたちの対局を見守る対局者)

以上で金沢対局の中継ブログを終了します。
ご観戦、誠にありがとうございました。

(書き起こし=飛龍、撮影=武蔵)

2023年2月18日 (土)

Img_5816(勝った藤井竜王は、タイトル奪取まであと1勝と迫った)
Img_5829(渡辺棋王は第3局からの巻き返しを図りたい)
Img_5828

Img_5804

Img_5807
Img_5811
以上で本局の中継ブログの更新を終了します。
明日、両対局者が臨席する北陸ジュニア棋王戦の模様をアップいたします。

(武蔵)

20230218img_5786(勝った藤井聡太竜王)

□藤井聡竜王のインタビュー
ーー序盤について
激しい展開になって、かなり判断の難しい局面だった。

ーー昼食休憩明け▲6八銀(61手目)で長考された。あのあたりの心境は
▲6八銀のとき、△2四飛のような手も考えた。本譜△4九飛は△4五銀の狙い。ただ、▲4四香と打たれて、銀出のタイミングがないのでは失敗したかもしれない。結果的に、よくないほうを選んでしまった。

ーー△8六竜(74手目)について
互いに大駒が取られそうな形でどう判断するかわからなかったが、▲7八金(79手目)と立たれたのが見えておらず、竜がかなり狭い形になり苦しいのかなと。

ーーねじり合いが続く長期戦。どのような思いで指されていたか
竜を引いたあたりは駒損で苦しい。決め手を与えず粘れるかと。

ーー優勢を意識したのは
△6三玉(98手目)と逃げたところで自玉が安全になり、好転したのかなと。ただ、そのあとも最後まではっきりとはわからなかった。

ーー一局を通して
5七玉型が珍しく、こちらがその弱点を突けるか、手厚くされるか際どいところだった。本譜はうまく手厚い形にされ、もっと工夫が必要だった。

ーー次局に向けての抱負
スコアは意識せず、全力を尽くして指せれば。



20230218img_5790(敗れた渡辺明棋王は、あとがなくなった)

■渡辺棋王のインタビュー
ーー中盤の入り口、△5四銀(46手目)で長考された。▲2四歩のときの心境は

いくと激しくなるが代案も難しく、成算はなかったが決戦に踏み込むのはやむを得ない。

ーー決戦にいくまでは予定だったか
午前の長考のあとは予定でなかった。どれくらい均衡が取れるかと考えていた。

ーー▲4八金(67手目)では▲2四歩も検討されていた
▲2四歩はもちろんある手だが、少し足りないように思っており、▲4八金で粘り気味に指そうかなと。

ーー一局を振り返って
午後に入ってからとても難しい将棋だった。局面が一段落したところで、一気に攻めていったのがよくなく、息長く指すべきだった。

ーー第3局に向けて
目の前の一局という気持ちでやっていきたい。

20230218img_5787

Img_5801(インタビュー後、両者は大盤解説会場に足を運んだ)

(武蔵)

Kiou202302180101_132

五番勝負第2局は132手で藤井竜王の勝ちとなりました。終局時刻は19時27分。消費時間は▲渡辺3時間59分、△藤井3時間57分。五番勝負は藤井竜王の2勝0敗となり、渡辺棋王をカド番に追い込みました。第3局は3月5日(日)に新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で行われます。

(飛龍)

20230218118藤井竜王は▲5一竜に△7八桂成と踏み込んで、寄せ合い勝ちを目指しました。▲6四香△7四玉▲7五銀で王手竜取りがかかるものの、△同竜▲同歩△8三玉のとき、先手に有効な手段が難しく、終局近しと見られています。

Img_5781(控室のモニター)

(武蔵)

北國新聞会館近くには、加賀藩主の前田利家公と正室の松(芳春院)が祀られた尾山神社があります。国の重要文化財にも指定されており、和、漢、洋の3つの建築様式が用いられ、最上階にはめ込まれたガラス製の細工物であるカラフルなギヤマンが目を引きます。

Img_5546

Img_5545

Img_5541
以上で、対局場近隣の紹介を終了します。局面はねじり合いが続く中盤戦から終盤戦となりました。勝負の行方はどうなるでしょうか。

(武蔵)

2023021886桂の犠打で、竜が自陣に生還しました。△7三同竜の局面は▲銀銀、△飛の2枚換え。しかし、後手は駒損ながら「馬は自陣に引け」ならぬ、竜を自陣に引いて、先手の玉形と負けず劣らずの手厚い形となりました。
Img_5619_2(藤井竜王の残り時間は15分)

(武蔵)

2023021880藤井竜王は残り20分を切るまで考え、△7五桂と歩頭に打ちました。▲8七歩に△同桂成を用意し、▲7五同歩は△同竜で竜の動きが楽になります。とはいえ、先手陣は金銀5枚が守る堅陣。簡単につぶれるようなことはなく、局面は長期戦の様相を呈しています。
Img_5292

Img_5257(写真は昨日のインタビュー後、色紙を手にしての一枚)

(武蔵)