2010年3月30日 (火)

---改めて今期5番勝負で先にカド番を迎え、日程的にも苦しかったと思うんですが

久保「先にカド番を迎えたので厳しい戦いでした。ただ、その試練を楽しもうという気持ちを持ってやっていた。ダブルタイトル戦できつかったですが、幸い気力が充実していたので乗り切れました」

---第5局の終盤戦、△6九と(166手目)の局面など厳しいみたいでしたが

久保「もう少し前から厳しかったんですが、結果が出るまでは全力でやるつもりで逆転を信じてやっていました」

---▲5四銀(167手目)でかなり接近して

久保「最後は寄せ切れるかどうかの勝負になるとは思ったんですが、足りてるかどうかは読み切れていなくて。最後は△8四歩(180手目)が見えたので、時間はなかったですが落ち着いて指せたと思います」

---本局が今年度の最後の対局でした。順位戦でA級に復帰するなど、今期を振り返ってみてどうですか

久保「いい一年を送ることができました。タイトル戦がダブルでいうのは始めてだったので、奪取と防衛という結果で良かったです。二冠として指せるのは自信になると思います」

---この初防衛で九段に昇段しました

久保「やはり段があがるのはうれしいですね」

---それでは次年度への抱負を

久保「自分のテーマである『将棋を楽しむ』ということを続けていきたいと思います」

(凛)

---途中まで非常に優勢じゃないかと見ていたんですが

佐藤「良くなってから大事を取りすぎましたね」

---今日は最後の終盤でちょっとミスが出ましたが

佐藤「いや、途中も苦しい感じはあったのですが、はっきり勝ちになってから思いっきりがなかったですね」

---2勝1敗からあと1つ勝つのが大変だったと思うんですが

佐藤「第4局はともかく、本局は途中はっきり勝つ局面がありましたから残念です」

インタビューの途中までは声が小さく、しぼり出すように答えていた佐藤九段の姿が印象的でした。

(凛)

---今日の将棋、二転三転したみたいですけど

久保「途中まではうまく指してたと思ったが、終盤で悪手を指してしまったので届かないかと思った」

---途中では勝負を諦めたことはあったのか

久保「いや、まあ最善は尽くしますけど。でもかなりの悪手を指してしまったので」

---最後、勝利がみえたのはどの辺だったのでしょうか

久保「自玉が詰まない形をつくることができたので攻めが続けばと思いましたが、まあ最後の最後ですね」

---今期の5番勝負を振り返って、1勝2敗のカド番で迎えた第4局、第5局だったのですが

久保「厳しいところからでしたが、今日の将棋はちょっとアレでしたが、それなりに力を出してたと思います」

(凛)

Kiou20100330166

図から▲5四銀が痛恨の悪手で敗着となりました。図では▲6九同玉なら明快な勝ち筋でした。「と金を残したばっかりに…」と佐藤。悔やんでも悔やみ切れない敗戦となってしまいました。

(凛)

Kiou20100330135_4

1図は佐藤九段が▲8九金と受けたところ。ここでは△9七銀▲同玉△8九竜▲9八銀△9九竜▲8五桂△7七歩なら後手勝ち筋でした。実戦は△6八竜▲9七玉△5九竜に▲2六角(2図)が激痛の一手で逆転模様になりました。

Kiou20100330139

(凛)

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(終局後の記録係・竹内三段)

P1150925
(感想戦。菅井新四段、里見女流二冠などが感想戦を見ていた)

P1150933
(「あれ…どうでしたっけ?」「もう覚えてない…」 棋譜用紙を見て確認する両対局者)

115
(久保棋王)

(翔)

P1150914
(両対局者が大盤解説会場に登場。棋士や報道陣も詰めかけたため、道場は一時大混雑)

093
(久保棋王、「どうやったら勝ちでしたか? ▲8九金に△同竜でした?」と解説の小林六段に尋ねる)

110
(佐藤九段は大盤解説会場でもほとんど笑顔が見られなかった)

P1150919
(終盤を再検討する)

(翔)