2020年2月 2日 (日)

Dsc_5779(渡辺明棋王)

「小学生、中学生、高校生の皆さんに『将棋はどうやったら強くなりますか。どんな勉強をしたら強くなりますか』とよく聞かれます。プロの棋士に聞けばいい方法があると皆さん期待して聞いてくると思いますが、残念ながらみんながやれば強くなるという方法はないんですね。自分に合った好きな勉強をするのが上達の近道だと思っています。試合前に緊張してしまうのですが、どうすればいいですか、と聞かれることもあります。実はプロの棋士も対局前は緊張します。僕の場合は野球やサッカーなどスポーツ選手の本を読んで参考にしています。将棋に直接関係があるわけではないんですが、日々の生活の心構えといいますか、皆さんの場合だと受験など人生の岐路がきます。そういうときに参考になる考え方が載っています。将棋に生かせることもありますので、ぜひ見てください」

Dsc_5781(本田五段)
「今日は負けてしまう子もたくさんいると思いますが、これにめげず次の大会等に出て、まだどこかで皆さんとお会いできることを楽しみにしています。今日一日、頑張ってください」

Dsc_5785(杉本昌八段)

「藤井聡太七段の師匠と紹介していただきました。彼は高校2年生でして、まだ学生服を着ています。藤井がまだ小学生の頃、負けるとすごく悔しがって将棋盤にかじりつくように泣いていたこともありました。皆さんが今日それをまねすることはありませんが、それぐらい一生懸命やることが大事だと思います。何よりも将棋を楽しむ気持ちで取り組んでいただきたいと思います」

Dsc_5791(室田女流二段)

「私も昔は子どもの大会によく出ていました。対局すると片方の子が負けてしまい、1局も負けないのは優勝者だけです。負けることは決して悪いことではないので、きちんと反省して次の対局に生かすようにしてください。保護者の皆さんにはぜひ温かく見守っていただければと思います。1局でも多く指して、友達を作って帰ってください」

Dsc_5814(握手会も行われた)

以上で第1局の中継を終了します。ご観戦いただき、ありがとうございました。

(書き起こし=琵琶、写真=紋蛇)

(紋蛇)

Dsc_5766(主催者挨拶 本庄樹・北國新聞社事業局企画部長)

「第24回北陸ジュニア棋王戦にご参加いただきありがとうございます。昨年は110人ぐらい、今年は130人と参加者が大幅に増えました。将棋人気の高まりを感じさせる機会だと思います。日頃の練習の成果を発揮して頑張ってください」

Dsc_5775(来賓挨拶 中坂暢江・金沢市教育委員会生涯学習部長)

「将棋には『始まり』の礼、『負けました』の礼、そして『終わり』の礼、と3つの礼があるとお聞きしました。特に2つめの『負けました』の礼は、自分の負けを潔く認めるというのは、最近では難しいことだと思っています。意地を張ったりして負けを認められないシーンがこれから皆さんの人生にもいっぱい出てくるのではないかと思います。一呼吸おく、深呼吸をすることで、皆さんの焦った気持ちも収まってくるのではないかと思っております」

(書き起こし=琵琶、写真=紋蛇)

(紋蛇)

対局翌日に行われたのが、第24回北陸ジュニア棋王戦。両対局者、指導対局を担当する杉本昌八段、室田女流二段、広森三段が開会式に出席しました。

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Dsc_5774(成績上位者にはトロフィーが贈られる)

Dsc_5762(会場内の様子)

(紋蛇)

2020年2月 1日 (土)

大盤解説会から戻って感想戦が続けられ、18時15分に終了しました。

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第2局は2月16日(日)に栃木県宇都宮市「宇都宮グランドホテル」で行われます。そちらもお楽しみに。

(紋蛇)

両対局者は大盤解説会に移動し、ファンの方々に挨拶をしてから感想戦を大盤で行いました。

Dsc_5684(「銀矢倉を目指す形は初めて指された」と渡辺棋王)

Dsc_5690(本田五段は「気がついたら悪くなっていた」と振り返った)

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(紋蛇)

Dsc_5671(終局直後)

Dsc_5672(快勝した渡辺棋王。8連覇に向けて、好スタート)

Dsc_5677(本田五段は大舞台で新工夫を披露するも、うまくいかなかった)

【渡辺棋王のインタビュー】
――お疲れさまでした。先勝された渡辺棋王から伺います。振り駒で先手番になりましたが、矢倉は決めていたんでしょうか?

渡辺 そうですね。ちょっと本譜みたいな展開は指したことがない将棋だったので、ちょっと午前中から長考になりました。

――形勢がよくなったと思ったのは?

渡辺 桂得したときに指せるかなと思っていたんですけど、はっきりよくなったのは▲4五桂と跳ねたところですかね。

――手ごたえがありましたか?

渡辺 そうですね。あの図になれば一手勝ちかなと。

――これで8連覇に向けて好スタートになったわけですけど、第2局に向けて抱負をお願いします。

渡辺 始まったばかりなので、2週間後に向かって調整していきたいと思います。

【本田五段のインタビュー】

――本田五段は全体を振り返っていかがですか?

本田 ちょっと仕掛けられた図がすでにまずいのか、どこからまずいのかよくわからなかったです。気づいたら悪くなっていた感じなので。

――銀矢倉は、矢倉になったら指してみようと思っていましたか?

本田 そうですね。ああいう形なら指してみようかと思ったんですけど、微妙に想定と違っていました。まぁ一局かなと思っていたのですが。


――▲4五桂の局面はきつかったのでしょうか?

本田 跳ばれて固まっているようでは、ちょっと。その直前で何を指すかというのも難しい気がするので、その図が悪い可能性はあるかなと思っています。

――タイトル戦初挑戦の第1戦の緊張感はありましたか?

本田 あまり自覚しているつもりはなかったんですけど、自分が2分で指したと思った手がもう少し考えていたので、そういうところで緊張していたかもしれないです。

――第2局の抱負をお願いします。

本田 先手番で、自分の指したい戦型が指せる手番なので、しっかり準備したいと思います。

(紋蛇)

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▲渡辺明-△本田戦は95手で渡辺明棋王が勝ち、シリーズ成績を1勝0敗としました。終局時刻は17時4分。消費時間は▲渡辺明2時間51分、△本田3時間27分。第2局は2月16日(日)に栃木県宇都宮市「宇都宮グランドホテル」で行われます。
(琵琶)

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▲3六桂で銀をはがすことが確定し、はっきりしてきました。先手勝勢です。

Dsc_5426(本局に使用されている駒袋)

Dsc_5427(2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念五百円貨幣にインスピ―レーションを受けたもの。記念貨幣は「風神雷神図屏風」(作者:俵屋宗達)をテーマに、雷神と風神を図柄化してある)

(紋蛇)

金沢市は石川県の中央南部に位置する県庁所在地。江戸時代に「加賀百万石」とうたわれた、加賀藩の城下町として栄えたました。
主な特産品は、加賀友禅、金沢箔、九谷焼などの伝統工芸品。食は日本酒や和菓子、加賀野菜、海産物が有名で、いまの時期は脂がのった寒ブリが旬です。刺身だけでなく、ブリしゃぶ、かぶらずし(かぶらにブリを挟んで発酵させた、なれずし)も郷土料理として親しまれています。
兼六園は日本三名園のひとつ。2004年に開園した金沢21世紀美術館は「年間入場者数は200万人を超えました。いずれも対局場から近いです。
2015年、北陸新幹線が開通。首都圏からのアクセスが便利になりました。海外からの観光客も増加しています。

【金沢市公式ホームページ いいね金沢】

Dsc_5571(杉本昌八段と室田女流二段が近江町市場のあとに訪れたのが、尾山神社。加賀藩の藩祖である前田利家が祀られた神社だ)

(紋蛇)

73 ▲4五桂がぴったりした手で、先手が優位を拡大しています。△4五同馬は▲2六飛で、△4四銀は▲4六金で馬の逃げ場がありません。

Dsc_5626(駒得した渡辺棋王は、自然な指し回しで差を広げている)


(紋蛇)