解説会場で振り返り
終局直後
――序盤のわかれについて。
渡辺 序盤で軽率な手を指してしまい、予定(していた形)ではなくなってしまいました。
――66手目△4五歩のあたりはどうでしたか。
渡辺 △4五歩から△2二玉(68手目)のあたりは感じがいいと思っていたんですけど、そのあとにおかしなことをして自信はなかったです。
――70手目△2七銀のあたりはどうですか。
渡辺 銀自体はいい感触かと思ったんですけど、そのあと何手かやっていくうちに、やっぱりいまいちだったかと思い直して。
――76手目△8七角について。
渡辺 (△8七角では)ほかの手がよかった気がします。無視されてしまったので。そこからは自信がないなと思いながらやっていました。
――終盤はどうでしたか。
渡辺 入玉を阻止しないといけないのですが、時間がなかったので何か嫌なことが起きるかもしれないなと思っていました。
――勝ちが見えた局面はどこですか。
渡辺 △4一角(136手目)で残っているかなと思いました。ただ、入玉には気をつけないといけないと思っていました。
――第2局に向けて。
渡辺 開幕戦から大変な将棋だったので、(第2局も)そういう戦いにはなると思うんですけど、精いっぱい頑張っていきたいと思います。
――序盤の作戦について。
永瀬 雁木に対してこちらがどうするかという将棋でした。
――45手目▲7六銀について。
永瀬 不満はないつもりでした。ただ、組み立ては変だったかもしれません。そこはよく分からないです。
――63手目▲8四歩では▲2四歩もありましたか。
永瀬 そこだと△6八歩▲同飛を気にしていた気がします。確かに本譜は△4五歩が入って▲2四歩を突けるタイミングが分かりませんでした。
――77手目▲5三との局面はどうでしたか。
永瀬 こちらの金銀が働いていれば、それほど薄くはないのかなと思いました。
――終盤はどうでしたか。
永瀬 判断が常に難しい気がしました。△7六歩▲同玉が変だったかもしれませんが、難しくてよく分かりませんでした。
――第2局に向けて。
永瀬 内容をよくして頑張りたいと思います。
渡辺棋王が先勝
五番勝負第1局は渡辺棋王が勝ちました。終局時刻は19時16分、消費時間は両者3時間59分。形勢が揺れ動く激戦を渡辺棋王が制しました。第2局は2月19日(土)、石川県金沢市「北國新聞会館」で行われます。
(文)
後手勝勢
先手玉は後手陣に入っていますが、大駒が1枚しかないため、仮に相入玉になっても点数で勝てません。形勢は後手勝勢です。渡辺棋王は公式戦5連敗中でした。本局を制すれば12月24日以来の公式戦勝利となります。
(牛蒡)
渡辺棋王が踏み込む
▲7四歩で図。評判は後手優勢です。実戦は(1)△5六桂と踏み込みました。6四に駒を打つ空間を作っています。先手は馬と竜を失うことなく入玉するのが理想ですが、上から押さえ込まれそうな状況です。
ほかには(2)△8六成桂も有力そうでした。△8六成桂▲7三歩成△8五成桂で竜の処置が難しく、以下▲7七竜は△7六歩、▲7四竜は△5五歩(▲同歩は△5四銀打から詰み)、▲6四竜は△同銀▲同玉△4三飛が厳しそうでした。
(牛蒡)