2024年2月

2024年2月25日 (日)

Dsc_1527(前方に座る棋士に会場の注目が集まる)

Dsc_1541(藤井棋王)
藤井棋王「私も子どもの頃はこういった大会に参加して、勝ててうれしかったり、負けて悔しかったりといろいろありました。いい経験になりました。皆さんも今日は練習の成果を存分に発揮されて、何より楽しんで一日参加してほしいなと思います。大会を通して参加者の方とぜひ交流を深めてください」

Dsc_1548(伊藤七段)
伊藤七段「自分も昨日は将棋を指したのですが、ちょっと終盤、諦めが早かったなと感じるところもありました。今日は皆さん、久保先生のように粘り強く戦ってくれるといいのかなと思います。日頃の実力を発揮して将棋を楽しんでいただけるとうれしいです」

Dsc_1554(久保九段)

久保九段「将棋大会では、優勝した人以外は負けることになります。負けるということはすごく大事でして、次にどうやれば勝てるかと考えますし、次は勝ってやると気持ちも奮い立ちます。もちろん勝った人は自信を持ちます。将棋は勝っても負けても成長していくものですので、今日は一日楽しんで戦ってください」

開会式後に大会が始まり、両対局者は対局の様子を見学してから帰途につきました。

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(紋蛇、書き起こし=牛蒡)

2024年2月24日 (土)

Dsc_1405(終局直後)

Dsc_1407(先勝した藤井棋王) 

【藤井棋王のインタビュー】
――本局は角換わり腰掛け銀になりました。序盤は早いペースで進みましたが、分かれはいかがでしたか。

藤井「途中から攻め込まれて受ける展開になって、基本的に玉が薄いので自信がないかなとは思ったんですけど、頑張れるかどうかという将棋かなと思っていました」

――昼食休憩のところで長考されていましたが、どういったところを比較されていたんでしょうか。

藤井「手が広い局面かなと思ったんですけど、どこが急所かは考えてもわからなかったかなという気がしています」

――そういう状況で、△8六歩を選ばれたのは?

「▲4一飛の局面は、玉形の差がやっぱりかなり大きいので、少し縮められればという意図はあったんですけど。ただ、実戦的すぎたところはあったかもしれません」

――△6三桂で大分、自陣が固くなったと思いましたが、あの辺りの形勢はどうですか。

藤井「ちょっと竜を押さえ込んで、こちらが多少、受けが利く形になったので、少し前の局面と比べると流れはいいのかなとは思っていました」

――勝ちになったかなと思ったのは、どのあたりでしょう。

藤井「△7六歩から△8七銀と打って、先手玉に迫っていける形ができたので、1手勝てそうかなと考えていました」

――全体を振り返っていかがだったでしょう。

藤井「玉形をどう見るのかが、やはりわからないところが多かった一局だったかなと思います」

――今回、使用していただいた駒は珠洲市の塩井さんという被災された方のものです。自宅からようやく見つけ出した駒でして、使った感想をお願いします。

藤井「少し珍しい書体かなとは思いますが、対局してみると本当にすごくスッと局面に入り込める感じがありました。倒壊された家の中から見つかった特別な駒だと思うので、指していて、いい将棋にしたいという気持ちは強くありました」

――第3局は新潟です。それに向けての抱負をお願いします。

藤井「第3局まで1週間と少しで、それほど期間があるわけではないので、 まずはしっかり状態を整えて望めればと思います」

Dsc_1413(敗れた伊藤七段)

【伊藤七段のインタビュー】
――▲4一飛を打つまで早く指していましたが、あの辺りはいかがでしたか。

伊藤「▲7三歩成から▲8二銀まで踏み込んでいった手が、結構まずかったかなと思っていて。ちょっと軽率な一手かもしれないと思っていました」

――昼食休憩後に連続した長考になったんですけど、この辺りはどうでしたか。

伊藤「後手の手駒がかなり多いので、自信がない展開かなと思っていました」

――一局通しての感想をお願いします。

伊藤「午前中からちょっと誤算があって、苦しい将棋でした」

――誤算はどの辺りですか。

伊藤「▲7三歩成から▲8二銀に代えて、▲5六歩とかのほうがよかったかなと思ってます」

――被災された方から提供された駒の感想をお願いいたします。

伊藤「非常に集中して対局に臨むことができましたし、特別な駒で、指させていただいて、非常によかったと思います」

――第3局に向けて、抱負をお願いします。

伊藤「本日は、ちょっと内容がよくなかったので、気持ちを切り替えて臨みたいと思います」

(紋蛇)

Kiou20240224010194▲伊藤匠-△藤井聡戦は18時28分、94手で藤井棋王が勝ち、シリーズ成績を1勝0敗1持将棋としました。消費時間は、▲伊藤3時間47分、△藤井3時間41分(持ち時間は各4時間)。第3局は3月3日(日)に新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で指されます。

(牛蒡)

2024022483_2▲8六金に、実戦は△8三角と竜を取りにいきました。以下▲同竜△同銀▲7五歩△5五角▲5六香△7六歩と進んでいます。

2024022490角取りを手抜き、藤井棋王が初めて先手玉の襲いかかりました。▲5五香なら△7七歩成▲同桂△5五桂でわかりやすくなります。以下▲4一角は詰めろになっていないので△6七桂成で後手勝ち、▲7八金は△6六歩▲同歩△6七銀で寄せが続きます。
伊藤七段は角を取らずに、藤井棋王の攻めを受けないといけません。はたして耐えきれるでしょうか。

Dsc_1161 (本局に使用された駒袋。塩井さんが準備したもので、「藤井棋王と伊藤七段の戦いをイメージして、風神と雷神の柄を選んだ」という)

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(紋蛇)

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控室の久保九段に▲8六金の局面で見解を聞きました(写真は藤井側から見た盤面)。

「後手が勝ちやすいと思います。先手は竜を後手陣から追われたので、7筋を攻めるしかありません。しかし、守りの金を繰り出して攻めるしかないようでは、自玉が薄くなって反動がきついです。後手がどうも手厚くなっています。途中は後手玉の守り駒が金1枚しかなかったときもあったんですけど、不思議ですねぇ。 

▲8六金に△6六歩がありそうです。飛車取りなので▲6九飛と回りますが、△6七歩成に▲同飛が王手にならないので後手の攻めが続きます。▲8六金の直前に指された△6三桂が、飛車の直接を遮る攻防手になるので」(久保九段)

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ちなみに、継ぎ盤に使っている駒も、被災した塩井さんが全壊した自宅から見つけたものです(大阪府在住の駒師・棋楽こと林田英男さんの作品)。タイトル戦に何度も使われたことがあり、駒箱には生々しいキズがありました。谷川十七世名人はその話を聞き、「駒箱が駒を守ってくれたんですか……」とつぶやきました。

Dsc_1286(キズだらけの駒箱。写真では見えない部分も、表面がえぐれていた)

(紋蛇)

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▲9二竜の王手から伊藤七段が攻め続きます。以下△7二銀▲8五桂△7四角▲7三桂成△同角▲9四竜△8四歩▲7六歩と進んでいます。藤井棋王の△7四角は竜と桂の両取りですが、伊藤七段は金を取ってから▲9四竜の角取りで切り返しで手番を握って攻め続けることに成功した。

2024022481▲7六歩は△同歩なら▲同金か▲同銀で、頭の丸い角を攻める見込みがついて方針がわかりやすくなります。藤井棋王は7筋を取らずに△6三桂と打ち、▲7五歩に△同桂からの反撃を用意しました。現在の焦点は7筋です。双方の玉頭なので、ここの勢力争いが勝負に直結してもおかしくありません。伊藤七段がは手を止めています。

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(紋蛇)

13時30分より、現地大盤解説会が始まっています。500人ほど入るホールはほぼ満員で、事前申し込みに応募が殺到したため抽選になったそうです。
トップバッターは、船江六段と室田女流二段。同じ関西所属の同世代とあって、軽妙に解説していました。

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(紋蛇)