第1局 2月5日(日)新潟県新潟市「新潟グランドホテル」
第2局 2月25日(土)石川県金沢市「北國新聞会館」
第3局 3月4日(日)静岡県焼津市「焼津グランドホテル」
第4局 3月17日(土)栃木県宇都宮市「宇都宮グランドホテル」
第5局 3月30日(金)大阪府大阪市「関西将棋会館」
感想戦
終局直後
形勢が後手に傾いてからは指し手が速く進み、最後は慌ただしい終局になった。広瀬七段が投了したとわかると、カメラを携えた報道陣が対局室へと向かった。
―― 14年ぶりに棋王への挑戦権を得られましたが、きょうの一局を振り返っていかがでしたか。
郷田 序盤から難しい将棋でした。
―― 途中で長考された場面がありましたが。
郷田 どう指せばいいか、方針がちょっとわからなかったですね。
―― 優勢を意識された局面は。
郷田 飛車を成ったところはよくなったと思いました。
―― 残念な結果になってしまいましたが、きょうの対局はいかがでしたか。
広瀬 未知の局面になって、方針がわからなくなってしまって……。本譜と代わる手もわからなかったので。歩が足りなかったですね。ずっと歩がなくて。ちょっとずつ無理をしていたかな、と思います。
―― 最後のところはどうでしたか。
広瀬 もうちょっといい粘り方があったかもしれません。たたいた(▲5三歩)のは軽率でしたかね。(後手の)と金が大きかったですね。
(文)
挑戦者は郷田九段に
82手まで郷田九段が制し、第23期(1997年)以来の棋王挑戦を決めた。終局は18時38分、消費時間は▲広瀬3時間35分、△郷田3時間34分。
(吟)
歩切れに悩む先手
後手、大きなと金
図は郷田九段が△4二金寄とたたきをかわした局面。ここから▲7五銀△同角▲同金△8七歩成(下図)と進んだ。持ち時間が少なくなってきていることもあり、スローペースだった進行が速くなってきている。先手は角銀交換の駒得になったが、9六の角の働きがいまひとつ。後手のと金攻めはゆっくりだが確実で、ここでうまい手がないと苦しくなりそうだ。
検討陣の話では、「▲9六角の時点では先手が指せそうに見えたが、△8四飛~△8二飛と指されて動きにくくなった」とのこと。左図では次の△7七と~△8八飛成を見せられているので、先手は動かなければいけない。しかしうまい手段がすぐには見つからないようだ。現状の評価は「後手持ち」とされている。広瀬七段はここで時間を使っている。時折首をかしげる仕草がカメラに映る。
(検討中の中村太地五段=左)
(文)