2018年3月20日 (火)

Img_3422 終局直後、両者にインタビューが行われた。

Img_3410 再逆転で辛勝し最終局に持ち込んだ永瀬七段。

【永瀬七段の談話】
――終盤、大変な攻防になりましたが、どう感じていましたか。
「最初は少しやれているかなと思ったのですが、最終盤はかなり悪くなってしまった気がしました。どこかに大きな問題があった気がします」

――敗戦を覚悟したような局面もあったのでしょうか。
「形勢的にはかなり厳しいと思ったのですが、持ち時間があまりなかったので、そこまで考える余裕がなかったです」

――再び優勢になったと感じたのはどのあたりでしょうか。
「最終手の▲2九香に応対がなければ、勝ちになっているのではないかと思いました。

――これで2勝2敗となって、最終局を残すのみとなりました。次の対局に向けていかがですか。
「もう1局指せるということで、一生懸命頑張りたいと思います」

Img_3428 渡辺棋王は猛烈に追い込んだが、最後は届かなかった。

【渡辺棋王の談話】
――終盤は逆転したのではないか、という控室の評判でしたが、ご自身ではどう感じていましたか。
「そうですね、何か逆転したんじゃないかなと。ちょっとビックリしたんですけど」

――その将棋が再逆転したのは、どのあたりでしたか。
「角を7四に出られる筋(151手目)に気づいてなくて。その前に△7六歩(140手目)~△7七銀と寄せにいったのが、ちょっとまずかったかもしれないです」

――中盤は厳しかったように見えましたが、ご自身ではいかがですか。
「いや、もう全然ダメで。途中はひどすぎたと思います」

――最終局に向けていかがですか。
「今日はちょっと終盤に悔いが残る指し方をしてしまったので……。次は悔いの残らない将棋を指したいと思います」

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(八雲)

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棋王戦五番勝負第4局は永瀬七段が勝ちました。終局時刻は19時31分。消費時間は▲永瀬3時間58分、△渡辺3時間59分。二転三転の大熱戦を制したのは永瀬七段。シリーズ成績をタイに戻し、五番勝負は2期連続のフルセットにもつれ込みました。第5局は3月30日(金)、東京・将棋会館で行われます。
(文)

134図は18時40分過ぎの局面。
優勢の先手が決め手を繰り出せないまま手数が進み、現局面はかなり難しくなってきていると検討陣。△1九竜の時点で残り時間は▲永瀬5分、△渡辺24分。
「残り時間を考えると、勝負はまったくわからなくなったと思います」(佐々木勇気六段)

Img_3397 外はすっかり夜のとばりが降りている。夜戦を制するのはどちらか。

(八雲)

101永瀬七段は△8六歩のたたきに、31分考えて▲6五飛と寄りました。控室では▲8六同銀でも先手十分と見ていましたが、より早い勝ちを目指して決めに出たようです。

97図は16時45分頃の局面。
▲1六角と打ったところから、先手が快調に攻め続けています。控室の検討陣は、はっきり先手優勢の見解を示しました。現在は、後手がどう粘るか、という視点で検討が続いています。

Img_3363 紀尾井町にある赤坂プリンス・クラシックハウス。

(八雲)

対局場の都市センタービルがある紀尾井町は、江戸時代に紀伊徳川家、尾張徳川家、彦根井伊家の御三家の屋敷があったことから、その頭文字を取って名付けられた町名です。江戸城を守る赤坂見附(城門)の隣接する要所で、現在も当時の濠や石垣が残っています。

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Img_3376 弁慶濠と弁慶橋。

Img_3380 橋の向こうが紀伊徳川家屋敷跡。

Img_3382 赤坂見附付近の石垣は福岡藩主黒田忠之が築いたもの。使われている石には現在も黒田家の家紋、裏銭紋が刻まれています。

Img_3379弁慶濠のサクラがほころび始めていた。

Img_3387 弁慶濠の全景。

(八雲)

77時刻は16時を回りました。図の▲3四歩は控室でも予想されていた手で、△3四同銀なら▲1六角が受けにくいと見られていました。以下△3三金右に▲2六桂と駒を足していく要領です。この攻めの成否によって、形勢に差がつく可能性があります。対局は勝負どころを迎えました。

Img_3393 控室は棋士が集まって賑やかになってきた。

Img_3392 飯島七段の差し入れ。地元、門前仲町の和菓子店「伊勢屋」のものだそうだ。

(八雲)

15時を回り、対局者におやつが運ばれました。永瀬七段は午前とまったく同じメニューで「チョコレートケーキ」、「ホットコーヒー」、「グレープフルーツジュース(氷なし)」。渡辺棋王が「チョコレートケーキ」、「カプチーノ」。

Img_3348 永瀬七段は午前と同じ注文。

Img_3351 渡辺棋王はチーズケーキからチョコレートケーキにチェンジ。

Img_3354 撮影用のケーキは控室の佐々木勇気六段の胃の中へ。

(八雲)