終局直後
【渡辺棋王の談話】
――矢倉は当初の作戦だったのでしょうか。
渡辺棋王 予定ではありました。
――序盤から積極的に仕掛けて、リードを広げられたという感じがしました。
渡辺棋王 ▲4五銀(39手目)の成否は全部読み切れていたわけではなかったんですけど、いくしかないところなので、いってみたという感じで。うるさい格好になっているのかなと、あとから思いました。
――終盤のほうはかなり好調だったように見えました。
渡辺棋王 駒得なので手が続けば。7筋(の攻め)と▲9七角(67手目)で、手は続く格好が見えてきたので。
――これで2勝1敗になりまして、8連覇に王手です。次の対局に向けてお気持ちを聞かせてください。
渡辺棋王 2週間くらい先なので、間にほかのタイトル戦もあるので、もう少し近くなってから考えたいですけど、連覇記録が伸ばせるように、あと1勝したいと思います。
【本田五段の談話】
――序盤から苦しい展開だったのでしょうか。
本田五段 そうですね。勝負どころがなさすぎて、ヒドかったです。もうちょっと慎重に指さなければいけないところが多かった気がします。
――どの辺りで作戦がうまくいかなかったと感じられましたか。
本田五段 ▲4五銀とぶつけられて引くようでは、相当失敗している感じがしました。ぶつけられるのはしょうがなかったのかもしれないですけど、直前にもうちょっと警戒しなければいけなかったです。
――これで1勝2敗となりました。第4局は先手番ですが、今のお気持ちを聞かせてください。
本田五段 本局のような将棋にならないように、準備したいと思います。
(玉響)
渡辺棋王が快勝
五番勝負第3局は渡辺棋王が勝ち、2勝1敗で防衛まであと1勝としました。終局時刻は16時41分。2015年の第40期五番勝負第2局で渡辺棋王が羽生善治名人(当時)を破った16時44分を上回る早い終局でした。消費時間は▲渡辺棋王2時間22分、△本田五段3時間36分。第4局は3月17日(火)、東京都渋谷区「東郷神社」で行われます。
(文)
差がつく
上図は16時30分頃の局面。渡辺棋王が自然な指し回して優位を拡大しています。△7五歩▲7六歩△5四銀▲7五角(下図)と進みましたが、先手の攻めが止まらなくなってきました。
みなとぴあ
対局場から信濃川沿いの遊歩道を15分ほど歩くと、「みなとぴあ」の愛称で親しまれている新潟市歴史博物館があります。敷地内には開港当時の姿で唯一現存する国指定重要文化財の「旧新潟税関庁舎」など、歴史ある建造物が立ち並んでいます。
(今月の22日まで「歴史で見る新潟市とスポーツ」が観覧できる)
港町の新潟を象徴する旧新潟税関庁舎。安政5年(1858年)の修好通商条約で五大港(函館、横浜、神戸、長崎、新潟)の一つに選ばれた新潟港は、明治元年(1868年)に開港しました。その翌年、関税業務を行う役所として、後に新潟税関となる新潟運上所が作られました。新潟港の玄関口といえる建物です。2016年には老朽化に伴って耐震改修工事が行われましたが、2019年1月12日(土)にリニューアルオープンしました。
(玉響)
午後のおやつ
先手好調か
図は昼食休憩明けから数手進んだ局面。渡辺棋王が軽快に攻め続けています。
▲2五桂に(1)△4二銀とかわすと、▲2二角成△同金▲8八角△3一銀▲3二歩で先手優勢になります。よって、実戦は(2)△4四銀と対応しました。立会人の屋敷九段は、先手から有力な攻めが複数あると話しています。第1局、第2局も先手番が早い段階でリードして勝利を収めていますが、本田五段はそれを覆せるかどうか、正念場を迎えています。
(玉響)