2022年12月

2022年12月27日 (火)

渡辺明棋王と藤井聡太竜王の五番勝負日程は以下の通りです。

第1局 2月5日(日)長野県長野市「長野ホテル犀北館」
第2局 2月18日(土)石川県金沢市「北國新聞会館」
第3局 3月5日(日)新潟県新潟市「新潟グランドホテル」
第4局 3月19日(日)栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」
第5局 3月29日(水)東京都渋谷区「東郷神社」

本局の中継は以上で終了となります。ご観戦いただき、ありがとうございました。五番勝負もお楽しみに。

(紋蛇)

感想戦後に記者会見が行われました。

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Dsc_1016_2(記者会見に臨む)

【挑戦権を獲得した藤井竜王の代表質問】

――あらためまして、棋王初挑戦へのお気持ちは?
藤井 棋王戦では前期までなかなか上に進めなくて。今期も今までより上に進めたらいいなと思っていましたので、最後まで挑戦を意識するという感じではなかったです。一局一局やっていった結果、挑戦につなげることができてうれしく思います。

――渡辺棋王とのタイトル戦は4度目になります。渡辺棋王の印象をお聞かせください。
藤井 対局条件に合わせて非常にうまく作戦を練ってこられる印象がありますし、中盤以降もこちらが気づかないような手を指されることが多いといった印象を持っています。

――六冠が懸っています。五番勝負への抱負をお聞かせください。
藤井 王将戦と並行して棋王戦の五番勝負を戦う形になると思いますが、その中でしっかりいい状態を維持していい内容の将棋をお見せできればと思っています。

――五番勝負は長野を皮切りに金沢、新潟、栃木、東京と各地を転戦します。地元のファンに向けてコメントをお願いします。
藤井 今回の五番勝負はいままで訪れたことがない土地が多く、私自身も伺えることを楽しみにしています。見ていただける方に最後まで楽しんでいただけるような将棋にできればと思います。

――楽しみな場所はありますか?
藤井 新潟は王将戦で佐渡にいったときに通ったことがありますが、ゆっくり訪れたことがないので楽しみにしています。

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(紋蛇、書き起こし=琵琶)

Dsc_0957(終局直後。まずはインタビューに応じる)

Dsc_0963(勝った藤井竜王。棋王戦の挑戦権を初めて獲得した)

Dsc_0971(敗れた佐藤九段。第41期以来の挑戦はならなかった)

【藤井竜王の談話】

――お疲れさまでした。一局を振り返ってどうでしたか。

藤井 序盤から構想が難しくて、8筋に歩を打たずに頑張って指せればと思っていたんですけど、▲3六歩に△2五桂と跳ねられて嫌な形になった気がしました。そのあとは桂を取って駒得になって、少しずつ指しやすくなったかなと思います。

――△2五桂に少し考えて▲5六飛でした。あのあたりは?

藤井 (後手に)動かれる筋に歩を打っていないため、△8七歩を打たれる筋もあるので、▲3六歩に代えて仕掛けを与えない手のほうがよかったかなと思いました。

――今期の棋王戦は、敗者復活戦を勝ち上がっての挑戦権獲得でした。

藤井 棋王戦はあまり上位に進めたことがなかったので、今期は初めてベスト4に進むことができ、敗者復活戦を含めてたくさん対局できたので充実感がありましたし、そのうえで結果を残せたことをうれしく思っています。

――棋王戦は初挑戦です。五番勝負の抱負をお願いいたします。

藤井 開幕までしっかり準備して、状態を整えて、五番勝負でいい将棋が指せるように頑張りたいと思います。

――王将戦とのダブルタイトル戦です。

藤井 始まってみないとわからないことが多いですけど、体調にも気をつけてやれればと思います。

――羽生善治九段以来、2人目の六冠を目指す戦いです。最年少の記録更新もかかっています。

藤井 自分では意識せずに、今まで通りの気持ちで五番勝負に臨めればと思っております。

【佐藤九段の談話】

――△2五桂と開戦し、▲5六飛と回られたあたりはいかがでしたか。

佐藤 先ほど藤井さんがいわれたように、8筋に先手が歩を打たない形と▲3六歩の構想で指されまして、そのときにこちらが本譜と異なった持久戦を目指したときのまとめ方がとても難しく覚えたので、ちょっと無理かなと思いつつ△2五桂と。策なく持久戦にすると何もできなくなりそうなので、△2五桂と仕掛けていったんですけど、▲5六飛と回ってこられる気はしていたんですけど、そのあたりで何かあったかどうかというか。やっているときは△5四歩も仕方ないかなと思ったんですけどね。

――今期の棋王戦を振り返っていかがでしょうか。

佐藤 長いトーナメントですし、ベスト4に入ってからもかなり熱戦が多くて、結果的に藤井さんと3局指すことができました。いろいろと自分の中で課題も見えましたし、もちろん挑戦できなかったのは残念ですけど、非常に収穫の多い充実したトーナメントだったと思います。

Dsc_0993(感想戦で両者は活発的に意見を交わした)

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(紋蛇)

20221227a

▲藤井聡-△佐藤天戦は81手で藤井聡竜王が勝ち、渡辺明棋王への挑戦権を獲得しました。終局時刻は18時52分。消費時間は▲藤井3時間21分、△佐藤3時間59分。五番勝負第1局は2月5日(日)に長野県長野市「長野ホテル犀北館」で行われます。

(琵琶)

2022122760△8九角に▲7六桂△5四飛▲8四桂が決め手です。

2022122763飛車を6筋から追い払って脅威を緩和し、すぐに桂を活用します。△8三銀と逃げれば▲8二飛です。後手は銀をはがされると薄く、藤井竜王が順調にリードを拡大しています。

Dsc_0902(対局再開直後の両対局者)

(紋蛇)

36_2図は△2五桂と跳ねたところ。▲5六飛が評判のよい手でした。37△5五角の飛び出しを消しながら、▲6五桂の攻めを狙っています。実戦は△5四歩▲8五歩△6四飛 ▲2六歩△3七歩▲3九金△5五角▲同飛△同歩▲2五歩と進みました。47先手は飛車角交換から桂得になっています。後手は代償が難しく、△2七飛は▲3七銀△3八歩▲2八金△2五飛成▲2六歩で手を作れません。形勢は先手有利になったといわれています。

Dsc_0792(藤井竜王は的確な対応で、駒得になった)

(紋蛇)