大盤解説会場へ
終局直後
【渡辺明棋王の談話】
――対局を振り返っていかがでしたか。
「前例が少ない形なので、昼休の辺りはどういう方針で指すか悩ましかったですけど……ちょっと待つ手がわからないので攻めてみた感じです。終盤もよくわからなかったですが、最後はちょっと……安全勝ちを目指すべきでした。詰みかなと思っていってしまった部分があって、ちょっと読みきれてはいなかったので」
――優勢を意識されたのはどのあたりでしたか。
「▲5四角成(117手目)と金を取ったところは勝ちになったかなと思ったのですが、その後ちょっと方針が定まらなくて。寄せと受けきりの見合いでやっていたらおかしくなったので、方針をどちらかに決めなければいけなかったです」
――これで防衛されて7連覇を達成されましたが、その記録に対してはどういう思いですか。
「もう、そんなところまで来たのかな、という感じがしています」
【広瀬章人竜王の談話】
――対局を振り返っていかがでしたか。
「類型のあまりない将棋だったと思うので、どういう感じになるのかなと思っていたのですが。いきなり仕掛けられて、何かちょっと指しにくさを感じながら指していました」
――終盤は難しくなったところもあったか、という声もありましたが。
「ちょうど時間がなくなったあたりで勝負どころを迎えたのかなと。そこでちょっとミスをしてしまったのが敗因かなと思います」
――棋王戦五番勝負に初挑戦されましたが、シリーズを振り返っていかがでしたか。
「1日制のタイトル戦というのが初めてだったのですが、そのスピード感などに慣れてきたところで終わってしまったかなと。今回の経験を今後に生かしたいと思っています」
(八雲)
渡辺棋王が7連覇を達成
棋王戦第4局は19時31分、145手で渡辺棋王が勝ちました。消費時間は、▲渡辺3時間59分、△広瀬3時間59分(持ち時間は各4時間)。渡辺棋王はシリーズ3勝目を挙げて棋王を防衛。7連覇達成です。
詰むや詰まざるや
いよいよ最終局面を迎え、渡辺棋王が銀の捨て駒から詰ましにいきました。ただ、控室ではまだ詰み手順が読みきられておらず、渡辺棋王もギリギリまで時間を使って着手しています。詰むや詰まざるや。最後のドラマが展開されています。
(八雲)
先手勝勢
図は18時58分の局面。先手は飛車角交換から一気に寄せに出ました。「これは後手玉が寄ってしまいました。大勢決したと思います」と検討陣。渡辺棋王の7期連続の戴冠が見えてきました。
(八雲)
夜の帳が下りる
後手が追い上げる
時刻は18時を回りました。少し前に指された、図の△7九銀が検討陣の読みになかった手です。この手に対して▲9八玉が安全と見られていましたが、それは△8六桂▲同金△7七角で逆転することがわかりました。このとき後手玉も▲4二銀△同金▲同角成△同玉▲2二飛成△3二銀▲3三歩成△同桂▲3四桂で危ないのですが、△5一玉とかわして際どく残っているとのことです。
渡辺竜王は△7九銀に▲8七玉とかわしました。逆転の順はしっかり見抜いている模様です。ただ▲8七玉に△6九角と追撃されるため、少し前よりも後手が追い上げている雰囲気が出てきています。形勢はまだまだ予断を許さないようです。