2025年3月 2日 (日)

終局直後

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■藤井聡太棋王
――千日手局を振り返って。
藤井 馬を作って陣形を手厚くできるかどうかと思った。△6五歩(70手目)のときに▲5七銀と引くつもりだったんですが、そこで△5五歩と打たれて対応がわからなくて。▲7七銀は予定変更ではあったんですけど、そのあとはあまり主張がない感じになってしまったかなと思いました。
――指し直し局は第2局と同じ立ち上がりだった。
藤井 序盤から手の組み合わせの多い将棋かなと思っていて、組み上がったあたりはいい勝負かと思ったんですが、▲3五銀(49手目)と出られあたりで、もう少し強い対応が必要だったかなという気がします。
――中盤はどのように見ていたか。
藤井 ▲3四銀(61手目)とぶつけられたあたりは苦しくしたかなと見ていたので、粘れるかどうかかなと思っていたんですが、飛車を取ったあたりは薄い形で寄ってしまってもおかしくはないかなと思いました。そのあたりは勝負にいく感じでと思って指していました。
――形勢がよくなったと感じたのは。
藤井 ずっとよくわからなかったんですが、▲5四飛(111手目)に△4三玉(112手目)と寄って、▲4八金(113手目)のときに(先手玉が)詰めばいけそうな感じかなと思いました。
――五番勝負は3勝0敗となった。シリーズを振り返って。
藤井 先手番のときに主導権を取れなかったことは課題が残ったと思いますが、本局を含めて中盤でねじり合いのような将棋が多く、指して勉強になるところが多いと感じています。
――棋王防衛、3連覇となった。
藤井 内容的にはかなり際どい将棋の連続だったので、あまり実感はないんですけど、一つ結果を残せたことはうれしく思います。
――50期の節目に棋王になった感想は。
藤井 50期という節目で防衛できたことはうれしく思いますし、またこれからも長く活躍できるように取り組んでいきたいと思います。

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■増田康宏八段
――千日手局を振り返って。
増田 後手番で△6五歩(70手目)と打って▲7七銀(71手目)と引いたところは研究していて、後手の見た目がいいので大変な順かなと思っていて、本譜も後手番としてはかなり戦える形だったのかなと思います。
――千日手の打開については。
増田 △3四飛は▲3五歩から▲4四角成のときにちょっとよくわからなかったんですよね。変化は多かったんですけど、打開するほどいいかわからなかったですね。
――指し直し局はどうだったか。
増田 ▲9六歩と△9四歩の交換がない形を想定していて、そのあと入って選択肢が減ってしまったので、そのあたりが研究不足だったですね。先手番としては主張がない将棋だったかなという感じがします。
――終盤は難しい戦いだった。
増田 △4四銀(62手目)のあたりは何か手がある気がしたんですけど……。ちょっとわからなかったですね。本譜は雑な攻めになってしまった気がしたので、ほかの順を選ぶべきだったかなという気がします。
――タイトル初挑戦のシリーズを振り返って。
増田 序盤から差をつけられて圧倒される展開は避けられた気がするので、そのあたりはよかったんですが、中終盤の競り合いですよね。ちょっといい局面をよくしきれない場面が多かったので。そのあたりの力不足だったかなという気がしています。
――今年度は順位戦も終わった。振り返ってどうか。
増田 A級は勝ち越しで棋王戦挑戦という結果は出せたかなと思うんですが、やっぱり本局もそうだったんですけど、中終盤の力がまだまだ足りてないのかなと痛感しました。
――中終盤の力をどう磨くか。
増田 ちょっと、そうですね……。本譜みたいな雑な攻めでも今まで何とかなることが多かったので、そういうところが出てしまった気がします。ちょっと考えてはいるので、改善していきたいと思います。

(文)