終局直後
5連覇で永世棋王の資格を獲得した渡辺棋王。
【渡辺棋王の談話】
――どのあたりで優勢を意識されましたか。
「▲7二角が厳しそうなので。そこで優勢になったかなと思いました」
――五番勝負を振り返って、最初は1勝2敗と苦しい展開でしたが、いかがでしたか。
「黒星が先行するシリーズだったので、厳しくなったとは思っていましたが、最後まで一生懸命指そうと」
――5連覇ということで、史上二人目の永世棋王を獲得されました。永世称号についてはどのように受け止めていますか。
「1回きりのチャンスだと思っていたので、それを生かせたのはよかったと思います」
――ご自身にとっては、2つ目の永世称号ですがいかがですか。
「簡単に取れるものではないですし、長くタイトル戦に出ていないと取れないので。そういう意味では2つ目を取れたのは大変うれしく思います」
――難しい将棋でしたが、終盤はいかがでしたか。
「そうですね。いや、▲4八銀(67手目)に対して何かあるんじゃないかと思ったのですが……ちょっと、見当たらなかったですね」
――最後も際どい勝負になったように見えましたが、いかがでしたか。
「やはり△8六歩(68手目)と突いたところでは、ちょっと思わしくないなと」
――今回の棋王戦が初めてのタイトル戦でしたが、五番勝負を振り返られてどういう思いですか。
「星を生かせなかったのが残念です」
――2勝1敗とリードしたときはどのように。
「うーん……番勝負は5局で一つの勝負ですから、途中の経過は関係ないです」
(八雲)
渡辺棋王防衛 5連覇で永世棋王に
103手で渡辺棋王が制し防衛。5連覇達成で永世棋王の資格を得た。終局時刻は18時45分。消費時間は、▲渡辺3時間42分、△千田3時間59分。
(吟)
先手優勢
図は18時20分頃の局面。
この数手で検討陣の評価は一気に先手優勢に傾いています。途中△6九角に▲7八金と受けたのが好手と評判。図の▲2三歩に△同玉は▲1五桂や▲2五歩、△3一玉は▲4四桂が厳しいようです。
渡辺棋王の防衛と永世棋王の資格獲得が迫っています。
後手の辛抱
先手余しにいく
図は17時30分頃の局面。攻め続けて決めにいくのかと思われたところで、渡辺棋王は一転して▲4八銀と受けに回りました。余して勝ちにいく方針のようです。
控室の検討は、後手が攻め合うなら△8六歩が予想されています。以下▲5九銀△8七歩成▲同金△8六歩▲同金△同飛▲8七歩△7九銀▲同玉△8七飛成▲7八金△8八金▲同金△6七竜▲6八銀で先手よし、が検討陣の結論です。ほかに△3九銀や△4八同角成▲同飛△5九角なども考えられますが、いずれも粘りにいくような順で、できれば選びたくない手のようです。
現在の検討では後手が苦しいと見られていますが、千田六段はどう見ているのか。勝負どころです。
17時45分追記。
控室では、図から△8六角成という強烈な一手を田中悠一五段が発見しました。現在も検討が続いていますが、かなり有力のようで、これまでの形成判断が白紙に戻されています。
「8六に駒を打つ手はよくありますが、角を成るというのは初めてみました。これで勝ったら3年ぐらいは語り草になるすごい手ですね」(加藤九段)