羽生三冠は55分の長考で▲6八飛(図)と回った。次の飛車成りを見て調子がいいが、控室の検討では△6四桂で「意外に難しいのでは」と言われていた。以下▲5三金△同金▲同桂成△4四角▲2四歩△7六桂▲9八玉△6八桂成▲2三歩成△9七銀▲同桂△8九銀(参考図)と進むと、なんとこれは先手玉が詰んでしまう。
先手は上から押さえる自然な寄せを目指したが、後手の反撃が急所をついた。この変化を見ると、△6四桂が受け一方の手ではなく、角のラインと組み合わせて厳しい攻めになることがわかる。手順中△9七銀が鋭い手で、▲同玉は△5三角で要の成桂を抜かれてしまう。参考図以下は▲8九同玉△7八成桂▲同金△8八金から詰みがある。
羽生三冠は△6四桂と受けられたとき、どう攻めるのだろう。
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15時30分過ぎの局面。渡辺竜王は△2七角(図)と飛車に当てて切り返した。しかし(1)▲2四歩と銀を取って以下△3八角成▲2三歩成と進めると、これは後手玉が寄り筋に入ってしまいそうだ。また図で(2)▲6八飛と回っても、6筋の突き捨てを生かして調子がよさそうに見える。この角打ちの真意はどこにあるのだろうか。
先手が角損の猛攻をかけている。先手玉は相当に耐久力があり、金を1枚はがされても詰まない形を維持できる可能性がある。となると攻めがつながるかどうかが問題だ。
渡辺竜王は△3三歩(図)と受けて先手の攻めを催促した。銀損の先手は手を止めることはできない。ただ、ここで単に▲4二桂成は△同飛で△4七飛成を狙われて困りそう。どうやって後手陣に迫るかが問題だ。有力なのは▲7一角。これを入れてから▲4二桂成と取れば、今度は△同飛とは取れない(▲5三角成がある)。想定される変化の一例は▲7一角△7二飛▲4二桂成△同金▲5三角成△同金▲4五桂。先手は銀損から角損になりさらに駒損になるが、局面の焦点は先手の攻めが続くかどうかにある。攻めが続けば駒損はあまり問題ではなくなる。先手の玉は堅いので、攻めが続く形になれば優勢になるだろう。






時刻はまもなく14時。羽生三冠の▲6四歩(図)を見た渡辺竜王が長考している。控室には早咲誠和アマが訪れ、関係者と談笑していた。
