2026年3月 1日 (日)

Dsc_6384(大盤解説会場で感想を述べる両対局者)

――本局の感想をお願いします。

増田 序盤から用意の作戦で、途中まで想定でした。中盤以降はねじり合いになってよくわかりませんでしたが、最終盤でミスが出なかったことが勝てた要因と思います。

藤井 中盤戦が非常に難しくて、少し自信のない局面もありました。終盤は何か手段がありそうというつもりで考えていましたが、結局いい組み合わせが見つけられなかった気がします。

――ファンの皆さんにひとことお願いします。

増田 今日は遅くまで観戦ありがとうございました。本局はかなり工夫した作戦を使って勝つことができてうれしく思います。スコアもリードできました。引き続き頑張りたいと思います。

藤井 本局は終盤でミスが出てしまったのが悔やまれます。しっかりと振り返って、スコアとしては苦しくなりましたが、精いっぱい頑張りたいと思います。 

Dsc_6289(増田八段)

Dsc_6303(藤井棋王)

(銀杏)


Dsc_6221
(激戦を制した増田八段。初タイトルにあと1勝だ)

――本局は角換わりになって、△4二金・△3二玉型で工夫をされました。午前中の戦いはいかがでしたか。

増田 △7五歩から△5五銀(40手目)は想定していた局面でした。特殊なことをやったので、もっと時間のアドバンテージがあるかと思いましたが、あまり取れませんでした。一応、本譜は後手ながら攻める将棋になったので、用意の作戦としてはまずまずだったかなと思います。

――午後に入って難しい進行が続きました。△7三角(78手目)のあたりはどのように見ていましたか。

増田 ▲1五歩(57手目)が結構厳しくて、攻めさせられてしまった感じになって細いと思いましたが、先手玉が不安定なので、香を取って攻めて最後まで戦おうという感じでした。

――終盤は難しかったようですが、どのようにみていましたか。

増田 △8九銀から△8六銀(112手目)が結構厳しかったので、難しくなったと思いました。ただ、1手間違えるとすぐに負けになる変化ばかりでした。最後は時間があったので読みきれた感じです。

――最後、勝ちと思ったのはどのあたりでしたか。

増田 △8五銀(120手目)と打ったときに後手玉が詰まなければ勝ちになったと思いました。

――一局を通しての感想をお願いします。

増田 作戦は工夫したつもりです。中盤以降はよくわからない展開でした。最終盤を間違えずにさせたのは成長できた部分でした。

――2勝1敗になってタイトルに王手です。第4局の抱負をお願いいたします。

増田 先手番の作戦を練らないといけないですが、2勝できてアドバンテージがあると思います。次局も全力を尽くしたいと思います。

Dsc_6246(肩を落とす藤井棋王。カド番に追い込まれた)

――昼食休憩前に▲3四歩(55手目)と指されました。そのあたりはどのように考えていましたか。

藤井 ▲7九玉(41手目)で後手の攻めを引っ張り込んでみたのですが、進んでみると馬の力が大きいので、うまくいっている展開ではないのかなと思っていました。

――午後に入って△3七馬(60手目)に長考されていました。▲2八角と▲4六角の比較でしたか。

藤井 その前の局面(56手目△4四銀)で、▲2四歩△同歩▲1五歩とするか単に▲1五歩が大きな分岐かなと思っていました。本譜は△3七馬に▲2八角の予定でした。ただ、進んでみると△8四桂(68手目)が当初考えているよりも受けづらい気がしたので、見通しが甘かったと感じていました。

――終盤戦をどのように考えられていましたか。

藤井 何か手段がありそうと考えていたのですが、見つけられなかったのは残念でした。

――一局を通しての感想をお願いします。

藤井 終盤のいちばん大事なところでやってはいけないミスが出てしまったので、こういうことがないようにしなくてはいけないと思います。

――次局に向けてひとことお願いします。

藤井 内容としてもよくないので、少しでもそれをよくできるよう頑張りたいです。

Dsc_6243(インタビューを受ける)

(銀杏)

20260301_122藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦する第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局は、19時8分に122手で増田八段の勝ちとなりました。消費時間は▲藤井3時間58分、△増田3時間56分。
際どい寄せ合いを制した増田八段が2勝目を挙げて、初タイトルにあと1勝としました。第4局は3月15日に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」で指されます。(銀杏)

20260301_107図は107手目▲7四桂の局面。藤井棋王は挟撃に出ました。▲7四桂は詰めろではありませんが、後手も飛車を逃がしている場合でもありません。先手玉への寄せがあるかどうか。
藤井猛九段と瀬川六段の検討によると、△8七歩成▲同金△8九銀▲8八玉△9九銀▲7九玉(参考図)に(1)△8七飛成は▲3二竜から後手玉が詰み。しかし、△7七香成▲6九玉(▲7七同金は△8八銀不成から金を取って後手勝ち筋)△6八成香とすれば後手勝ちとわかりました。
実戦は△8七歩成▲同金△8九銀に藤井棋王は▲9七玉と変化しましたが、△8六銀▲同金△7七香成が好手順で、先手は▲8二桂成と飛車を取る余裕がありません。藤井棋王が踏み込んで寄せに出ていましたものの、図では後手勝ちになっているようです。(銀杏)

20260301_sanko3

Dsc_6209(藤井猛九段と瀬川六段が検討)

20260301_95図は95手目▲3二成香の局面。藤井棋王は直前の△8六歩を取らずに寄せに出ました。控室では▲8六同歩△7五銀以降の変化を調べていました。控室では激しい手順から検討する、といわれますが、藤井棋王は先手玉の目前に迫ってきた歩を取らない、より踏み込んだ選択をしています。たしかに、現局面の先手玉はまだ詰めろではありません。いまが好機とみたようです。(銀杏)

Dsc_5996(12時59分ごろ、対局室に戻る藤井棋王)

20260301_92図は92手目△4一玉の局面。図で▲9六歩と桂を取ったときに、△8六銀!と歩の頭にねじ込む強攻策があるようです。矢倉戦で△8六桂と捨てる手筋がありますが銀は珍しいです。△8六銀以下▲同歩△同歩(1)▲8五歩には△7七歩成▲同金△7六歩(参考図)の攻めがなかなかうるさく、瀬川六段の検討でもなかなか解決できません。藤井棋王も図で時間を使って、残り30分を切りました。
◇追記 図から▲9六歩△8六銀▲同歩△同歩の攻めは(2)▲8三歩と飛車取りに打って、△7二飛なら先手よしが藤井猛九段の見解。実戦は▲9六歩に増田八段が△8六歩と別の攻め方を選びました。
(銀杏)

20260301_sanko2

Dsc_6206(検討する瀬川六段)

20260301_60_2図は60手目△3七馬の局面。藤井棋王は47分の長考で▲2八角と打って、馬を消す指し方を選びました。以下、増田八段が△4六角や△7三角と飛車を狙う角打ちを含みに攻め立てて下の図の86手目△7四香まで進みました。控室で検討する瀬川六段は「先手が指せそう」という見解です。
控室では▲9六歩△7六歩▲同銀△同香に先手がどうするかが調べられていました。藤井棋王は熟考の末に▲2六香と攻め合いに出ます。双方の残り時間が45分を切っており、局面も終盤戦に入っていきそうです。(銀杏)

20260301_86

Dsc_6185(控室の差し入れ。笹団子は新潟名物として知られる。バウムクーヘンやフィナンシェは伊藤明日香女流初段からの差し入れ)