棋譜コメント65手目で紹介されている変化を図入りで紹介します。
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/41/kiou201512210101.html
△4四歩(E図) ▲5四金
△同 銀 ▲5三歩
△同 金 ▲2三歩
△3五歩 ▲3三歩(F図)
△同 角 ▲2二銀
△同 金 ▲同歩成
△同 玉 ▲3四金
△2三金(G図) ▲3五金
△3四歩 ▲2四金
△同 金 ▲同 角
△同 角 ▲同 飛
△2三歩 ▲2八飛
△3二金 ▲2五桂(H図)
(若葉)
控室(3)
時刻は17時を回りました。
56手目△5三銀から▲5六金△5五歩▲4六金△5一角▲3五歩△8六歩▲同銀△4五歩(図)と進み、中央から右辺にかけての攻防が一気に激しくなりました。攻めているのは先手ですが、後手も△8六歩から△4五歩と反撃を含みに指しています。攻めを呼び込んでしまう恐れもありますが、佐藤(康)九段は一貫して強気に対応しています。
控室の継ぎ盤では図から▲同金△同銀▲同桂△4四銀と進めて、そこで先手にうまい攻めがあるかどうかが調べられていました。検討では▲4六歩(D図)とじっと桂にヒモをつけておくのが落ち着いた好手で、その変化は先手が指しやすいと見られています。以下△5六歩▲同銀△8四角には▲6七銀と手を入れて、後手は指し手が難しいようです。
そこで継ぎ盤では、▲同金に金を取らずに△4四歩(E図)が調べられています。この変化は難解で、激しい戦いが続くようです。検討に加わっている鈴木大介八段は「形勢互角」との見解。「ただ、どっちを持つかと聞かれれば先手を持つ人が多いと思います」(鈴木八段)
(控室を鈴木大介八段、瀬川晶司五段が来訪。鈴木八段の軽快な語り口に検討陣が盛り上がる)
(若葉)
佐藤(天)八段、長考に沈む
15時30分頃の局面
時計の針は15時30分を回っています。
佐藤(天)八段は18分の考慮で▲2四歩と突き、△同歩にじっと▲7八金と上がりました(上図)。▲2四飛と手拍子で歩を取りたくなりますが、取れる歩をあえて取らずに、▲2三歩や▲2五歩の含みを残したほうが攻めの選択肢が広い、ということのようです。森下九段は「へえー。こう指すものですか。いや、さすがですね、これは。思いつきません」と感心することしきりです。
対する佐藤(康)九段は△3三角と強気に応じました(下図)。歩を取られないようにした手ですが、▲2五歩や▲4五歩から桂を跳ねられると角当たりになってしまうだけに、思いきった一手です。先手は銀矢倉が完成し、駒組みはほぼ完成形。▲5六歩から攻勢に出ると見られています。
<消費時間>
▲佐藤(天) 1時間38分
△佐藤(康) 2時間49分
(森下九段)
(若葉)
控室(2)
控室(1)
周辺散策
将棋会館のある千駄ヶ谷は大都会の中心に位置しながら閑静な住宅の立ち並ぶ文教地区で、周辺には新宿御苑や明治神宮外苑といった公園や、東京体育館、能楽堂のような文化施設が見られます。
ここではそのうちのいくつかを写真でご紹介します。
(暖かい日が続いているためか、葉は落ちきっていない。イチョウの木々もまだ秋の装いだ)
(JR千駄ヶ谷駅から西に進むと、見えてくるのが国立能楽堂。能楽の保存と普及を図ることを目的として、1983年9月に開場した。能舞台の床材には木曽の樹齢400年の尾州檜が、柱やその他の部分には台湾の大雪山系から取り寄せた樹齢2000年の檜が使用されている)
(JR千駄ヶ谷駅の北側に広がる新宿御苑。明治39年(1906年)、信州高遠藩主の内藤氏の屋敷跡に皇室の庭園として作られ、戦後に一般開放された。広さは58.3ヘクタール。周囲は3.5kmに及ぶ。園内では日本庭園、イギリス風景式庭園、フランス式整形庭園といろいろな様式が楽しめる)
(月曜はあいにくの定休日だった。年末年始は12月28日から1月4日までがお休みになるそうだ。12月下旬はビワとカンツバキが見ごろを迎えている)
(御苑の雑木林から、新宿の摩天楼を望む)
(若葉)