2026年3月

2026年3月29日 (日)

15時、午後のおやつの時間になりました。おやつは藤井棋王が「因幡の白うさぎ」、白バラフルーツ、温かい緑茶。増田八段は因幡の白うさぎ、白バラフルーツ、白バラ牛乳、白バラコーヒーです。因幡の白うさぎは神話『因幡の白兎』から生まれたうさぎ型のまんじゅうで、鳥取を代表する銘菓です。
20260329img_5253

20260329img_5259

20260329img_5254(神話のうさぎはわにをだまして海を渡り、皮をはがされた)

(武蔵)

対局場の「有隣荘」は、江戸時代に大庄屋を務めた西尾家の旧宅を起源とする歴史のある邸宅です。国の登録有形文化財に指定され、懐石料理を提供します。名称は『論語』の里仁篇の一節「徳不孤、必有隣」(徳は孤ならず、必ず隣あり。徳のある人は孤立せず、理解者や協力者が必ず現れる)に由来し、鳥取市名誉市民の米原章三翁が晩年に愛した憩いの場としても名を馳せます。
2002

Img_5100_2

Img_5091

Img_4912

Img_5096

(武蔵)

今期の棋王戦は第4局まですべて後手が勝利しています。前期の第2、3局(千日手局含む)から数えて、6局連続で後手が白星を挙げました。遡ると、2010年の第35期(久保八段-佐藤康棋王戦)でも後手番がすべて勝っており、このときは前年の2009年第34期第4局から数えて、7局連続で後手が制しています。
その一方で、2016年の第41期第4局から第43期第5局にかけては、先手の11連勝という記録も残っています(肩書・段位は対局当時のもの)。
本局は藤井棋王の先手になりました。後手番の連勝が伸びるか、先手が連敗をストップするのか。連勝記録の面でも注目です。
Img_5103_2
(武蔵)

食事を終えて、先に部屋に戻ったのは藤井棋王でした。対局再開直前に増田八段も姿を見せ、ほどなくして対局が再開しました。藤井棋王は再開直後に▲9八同香と歩を取っています。

Img_5220(昼食休憩時の局面)
Img_5222(本局の使用駒は、児玉龍兒師作、錦旗書。備品は関西将棋会館から運ばれた)
Img_5224_2(上座側からの景色)

Img_5240

Img_5249

(武蔵)

2026032930図の局面で藤井棋王が28分考えて12時となり、昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲藤井1時間30分、△増田1時間12分。昼食は藤井棋王が煮物御膳、増田八段は有隣御膳です。
煮物御膳の中身は、小鉢(菜酒酢味噌掛け、花山葵、蛍烏賊、うるい霙和え)、造里(白バイ、横輪、鮃、あしらい一式)、炊合せ(喉黒、筍)、蒸物(鰻、銀杏、海老、餅、百合根)、揚物(牡蠣香揚げ、猛者海老)、留椀(味噌汁)、御飯(鳥取県産星空舞)、果物(フルーツ盛り合わせ)。
有隣御膳の中身は、口取り(エシャロット生ハム巻、スナップ豌豆黄金巻き、丸十オレンジ煮、牛肉八幡巻、虹鱒甘露煮、貝割合鴨巻、牡蠣有馬煮、零余子真丈、目張寿司、小袖巻、小串焼、海老)、造里(旬の造り)、炊合せ(蒟蒻東寺巻、菜種、南京、桜麩、小芋、筍)、合肴(サーモンマリネ、寄せ生野菜)、小鉢(うるい霙和え、花山葵お浸し)、揚物(牡蠣香揚げ、猛者海老)、酢物(蛍烏賊万年酢、鰆松前押、豆乳豆腐、胡瓜、平貝、茗荷)、蒸物(茶碗蒸し)、留椀(味噌汁)、御飯(鳥取県産星空舞)、果物(フルーツ盛り合わせ)。対局再開は13時です。

20260329img_5205(藤井棋王の注文)
20260329img_5207

20260329img_5214(増田八段の注文)
20260329img_5215
(武蔵)

本局は主催の新日本海新聞社発刊50周年の記念事業として誘致されました。「日本海新聞」のルーツは、1883(明治16)年創刊の『山陰隔日新報』に遡ります。1939年に県内の3紙が合併して『日本海新聞』が誕生しましたが、旧運営会社の経営難により1975年に休刊を余儀なくされました。
しかし、同年に現在の「株式会社新日本海新聞社」が設立され、翌1976年に題字と号数を引き継ぎ、復刊を果たします。その後は鳥取本社に加え、西部本社や中部本社を設立し、県内3本社体制を確立しました。現在は鳥取県で唯一の県紙として、デジタル化も推進しながら、地域に密着した報道を続けています。
Img_5127
(武蔵)

2026032928_250分近い考慮で、飛車を引かずに端歩を突き出しました。控室では増田八段が用意した研究手と見られ、▲9五同歩△9八歩▲同香△8九角▲8七銀△同飛成▲同金△9八角成(変化図)の進行は、後手の2枚換えで駒得となります。
36後手は低い陣形を維持し、飛車打ちに強いのも踏み込みやすい要因のひとつといえそうです。
Img_5124(増田八段は積極的に仕掛ける)

(武蔵)

第5局は改めて振り駒で先後が決まります。振り駒は、先後を公平に決めるために行われ、基本的には上座の歩を5枚使います。出た駒の状態で「歩」が多い場合は上座が先手、と金が多い場合は下座が先手となります。駒が重なったり立ったりして枚数が同数になった場合はやり直します。
Img_5144

Img_5152

Img_5156

(武蔵)

2026032922_2前夜祭の見どころ紹介では、戦型についても言及がありました。久保九段は「藤井棋王が先手だと角換わり、増田八段が先手だと相掛かり」と見解を示します。 大橋七段は「先後問わず相掛かり系の将棋。藤井棋王が先手の場合は角換わりを目指されるかと思うが、増田八段が力戦形に誘導するのではないか」と予想しました。瀬川六段は「雁木もありうる」と三者三様でした。
増田八段は一手損角換わりを選択。藤井棋王は4筋に銀を繰り出す早繰り銀で対抗しました。上図から▲8六同歩△同飛▲2四歩△同歩▲7七桂(下図)と進みました。

2026032927_2次に▲8五歩で飛車の退路を断つ狙いです。△8二飛なら▲3五歩で先手も反撃に出られそうです。控室では「激しくなりそう」との声が聞かれました。
Img_5196(検討する久保九段と瀬川六段)

(武蔵)

10時を回って、対局室におやつが運ばれました。藤井棋王は打吹公園だんご、温かい緑茶。増田八段はもちキューブ、モンブラン、ホットコーヒーです。
20260329img_5200(藤井棋王の注文)
20260329img_5186(増田八段の注文)
20260329img_5188(存在感のあるモンブラン)

(武蔵)