2015年2月

2015年2月11日 (水)

おはようございます。五番勝負第1局は今日9時開始です。よろしくお願いいたします。

■1日のスケジュール
9:00 対局開始
10:00 飲み物
12:00~13:00 昼食休憩
15:00 おやつ

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前夜祭は盛況のうちに閉幕しました。
なお、本対局では七大タイトル戦で初めて、タブレット端末による記録が導入されます。自動棋譜更新システムを利用した、より臨場感のある中継をお楽しみください。

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■中締め
共同通信社囲碁将棋チーム 津江章二編集長

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(検分時、タブレット端末の操作を確認する高野三段)

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前夜祭では今回の対局に使われる盤と駒について紹介がありました。駒は「如水」師、北田如水さんの手による菱湖(りょうこ)書の盛り上げ駒。盤は吉田将棋碁盤店三代目の吉田寅義さんが太刀盛りで製作し、栃木将棋界に寄贈されたものです。

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■北田如水さん
「私は如水の号で駒を作っていまして、実行委員長の如水さんには駒を注文してくださったのが縁となりました。
今回、3組持ってきまして、渡辺棋王が菱湖の駒を選ばれました。大変光栄に思います」

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■吉田寅義さん
「今回のタイトル戦に使われる盤は天地柾の盤です。200から300面に1面のいいものを使っていただけるのをうれしく思います」

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(書き起こし=銀杏、写真=文)

両対局者の退出後、大内九段、松尾七段、室谷女流初段、谷川九段がそれぞれ明日の見どころについて語りました。同時に直筆色紙の抽選も行われ、当選した方は笑顔で色紙を受け取っていました。

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■大内延介九段
「明日の戦法はどんな戦法になっても大した問題ではありません。中終盤のねじり合い、これが興味深い。4時間ですので、必ず秒読みになります。どうしてこういう手が指せるのだろうというのを見守ってほしいですね」

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■松尾歩七段
「明日は大盤解説や指導対局を担当します。よろしくお願いします。大内先生も申し上げられていましたが、中終盤で見どころが続くと思います。
序盤の戦型は、矢倉か角換わりになると予想します。どちらも激しい展開が予想され、中終盤のねじり合いを羽生名人、渡辺棋王ともに得意にしていますので、1手のミスも許されない、目の離せない将棋になると思います」

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■室谷由紀女流初段
「タイトル保持者同士の五番勝負。鋭い切れ味の渡辺棋王、序盤巧みな羽生名人と序盤から目の離せない展開になると思います。明日は将棋まつりが行われます。そちらにも足を運んでくださればと思います」

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■谷川浩司九段
「棋王戦は持ち時間が4時間ですので、先手のとき、後手のときの準備をしていると思います。直近の対局はJT杯の決勝戦だったと思います。そのときは、渡辺棋王が新手を出し、羽生名人が対応しきれずに完敗を喫しました。
この将棋が二人の中に大きく占めていると思います。この将棋をもう一度指したいと思えば相矢倉になるでしょうし、後にしたいと思えば角換わりになると思っています」

(書き起こし=銀杏、写真=文)

今回の棋王戦で宇都宮に訪れている棋士が登壇しました。多くの棋士が並ぶさまは壮観です。関係棋士の紹介ののち、両対局者があいさつ。最後は健闘を誓って握手をし、二人は会場を後にしました。

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■渡辺明棋王
「盛大な前夜祭を開催してくださり、実行委員会、下野新聞の皆さまに厚く御礼申し上げます。
宇都宮での対局は3回目です。2年前に棋王獲得。そのとき以来の対局ですので、いいイメージのまま、対局できそうです。
棋王戦は今回が40期。私は30歳で、将棋を始めた小学生のころから見ていました。そのときの棋王が羽生さんでした。
今回、節目に戦えるのは記念になるし、光栄なことです。明日は祝日で、都心からも近いので多くの方にお越しいただけると思います。
期待にこたえられるような内容の将棋を指したい。この五番勝負が盛り上がるシリーズになるよう頑張りたいと思います」

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■羽生善治名人
「前夜祭を盛大に開催していただきありがとうございます。多くの皆さまが参加してくださりうれしく思います。五番勝負に出るのは7年ぶり。久しぶりにこの舞台に戻ってこれて大変うれしく思います。その間も中継や棋譜を見ていましたが、現場は訪れていなかったので浦島太郎ではありませんが、新しい気持ちで臨もうと思っています。明日は同時に将棋まつりが開催されるということで、多くの方が来ていただけたらうれしいです。
先ほどお話がありましたが、お子さんたちが最近熱心に指している。将棋は小さいお子さんから年配の方まで楽しめるのが一番素晴らしいところだと思います。明日はイベントでも楽しんでほしいですし、将棋の対局でも面白さや難しさといった魅力を残せるように私も一生懸命指していきたいと思います」

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(書き起こし=銀杏、写真=文)

会場に用意された料理の中で、特に目を引いたのが宇都宮餃子のコーナー。宇都宮餃子が世に出たきっかけは、市役所若手職員の研修で、市内の餃子消費量が長年にわたって全国1位であると発見されたことです。宇都宮には餃子店の数だけ、餃子の味があるとのこと。前夜祭では、市内で最も古い餃子専門店といわれる「宇都宮みんみん」がその場で焼き上げていました。

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19時から前夜祭が始まりました。両対局者が入場すると、壇上で花束の贈呈。プレゼンターは城東小学校6年の速水秀馬さん、陽東小学校4年の沼生隼英さんが務めました。

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■主催者挨拶
棋王戦宇都宮対局実行委員会 如水和也委員長
「棋王戦の宇都宮開催が恒例になってきました。将棋が盛んになり、小学生でも有段者が増え、初級者向きの教室も増えました。
今回は当代きってのゴールデンカードが実現しました。挑戦者の羽生善治名人は12連覇を含む、通算成績は13期。通算タイトル数は大山康晴十五世名人を抜いて現在90期。前人未踏の記録を持っています。渡辺明棋王は現在棋界の大黒柱。2年前にはここで棋王を獲得しました。
二人の対局はいつも見どころが多い大熱戦が期待されますし、歴史の1ページを作るシリーズになると思います。
明日の午前は将棋まつりを開催し、随時大盤解説を行います。明日も足を運んでくださっていただければと思います。
最後になりますが、今回の対局はスポンサー、共同通信、下野新聞、ホテルの方々、地元のボランティアの方々、本当に多くの方によって成り立っています。あらためて御礼申し上げます」

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■主催者挨拶
下野新聞社 観堂義憲代表取締役社長
「かたずを飲んで見守る頂上対決が実現しました。二人で6つのタイトルを持っています。ファンにはたまらない対局が展開されることでしょう。
年が明けてから王将戦、そして棋王戦、この2つのタイトルを持っていると忙しくなります。渡辺棋王はほとんど毎週大勝負があります。来週は王将戦と棋王戦、3月はA級順位戦もあります。渡辺棋王は『慣れているので大丈夫です』といいます。
羽生名人も経験はされていますので、体調調整はわかっていることでしょう。渡辺棋王は連敗後連勝が得意で、今期はA級順位戦で3連敗後に5連勝で勝ち上がっています。4人のプレーオフの可能性があります。頑張ってください。
ブログでファンと交流されています。愛称は魔太郎だそうです。渡辺さんは週末にも更新され、A級8回戦後に広瀬さん(章人八段)や糸谷(哲郎)竜王と朝まで飲んでいたそうで、こういうところはファンとしては面白いですね。
羽生名人は万人が知っている実績、押しも押されぬ大スターです。無人の野を駆け巡っているようです。本年度の成績は対局数、勝数で1位。昨年は賞金王にもなりました。
どこまで強いのか、恐るべき棋士です。強い状態を保った棋士は大山康晴十五世名人ですが、48歳まで名人を保持されていました。69歳で亡くなられたときはA級でした。超人鉄人。羽生名人には60歳名人を実現してほしいですね。
二人の対戦成績は渡辺さんの31勝、羽生さんは30勝。羽生さんにとって、50局以上対局している相手の中で渡辺さんは唯一負け越している棋士であり、因縁の対決です。
明日は将棋まつりも行われます。こちらも大いに楽しんでください」

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■来賓挨拶
宇都宮市教育委員会文化課 岡地宏課長補佐
※宇都宮市の佐藤栄一市長がご欠席のため、代理
「こうしたトップ棋士の対局が、宇都宮で行われることは市民はもとより、多くの方にとって大きな楽しみだと思います。
とちぎ将棋まつりは、小学生、級位者大会や初心者でも楽しめるどうぶつしょうぎのコーナーなど、将棋の文化の裾野を広げる催しが数多く行われると聞いています。
ぜひ多くの方に『王手で愉快だ宇都宮』の言葉通りに将棋を楽しんでもらえればと思います。市外からお越しの皆様には将棋のみならず、宇都宮のおいしいものや名勝を堪能していただければと思います」

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■乾杯
日本将棋連盟会長 谷川浩司九段
「昨年は渡辺棋王が強すぎて、第4局が行われなかったのですが、毎年宇都宮の開催をしてくださっています。
将棋ファンとしても有名な観堂社長をはじめ、下野新聞の皆さま、実行委員会や地元の方に厚く御礼申し上げます。
将棋連盟の代表としては、対局者の紹介をするところですが、観堂社長にすべてしゃべられてしまいました。
少しだけ付け加えますと、羽生名人は今回で120回目のタイトル戦登場になると思います。勝率は7割5分以上ととんでもない成績であります。
渡辺さんもこれまでの20回のタイトル戦で14回の獲得。7割の勝率。この二人がぶつかるということで、ファンが待ち望んでいるカードだと思います」

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(書き起こし=銀杏、写真=文)

検分のあとには対局を記念しての揮毫が行われました。両対局者と立会人が駒を入れる平箱のふた、盤の裏に揮毫。盤の脚が外されているのは珍しいシーンです。ちなみに将棋盤の脚はクチナシの実をかたどっており、横から助言を挟まない「口なし」とかけていると言われています。

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2015年2月10日 (火)

17時30分から検分が行われました。対局に使う盤と駒、部屋の設備に不都合がないかを対局者の立ち会いのもと確認します。盤と駒は地元栃木で用意されたものです。3組の駒からどれを選ぶかという段になり、棋王・挑戦者・立会人の3者が譲り合い。最後は大内九段の「棋王に決めていただいて……」の声で、渡辺棋王が使う駒を決めました。

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