2015年2月

2015年2月11日 (水)

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■渡辺明棋王
―― 中盤までは苦しそうに見えたのですが。
渡辺 形勢判断のよくわからない将棋でした。中盤はとにかく手が難しかったですね。動かすと全部裏目に出そうな感じだったので。崩れないような手を選んでいました。
―― 優勢を意識されたのはどの辺りでしょうか。
渡辺 飛車を取れる形になったので。それで少しいいんじゃないかとは思いましたけどね。
―― 次局以降の意気込みを。
渡辺 まだ始まったばかりなので、引き続き頑張りたいと思います。

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■羽生善治名人
―― 途中までは控室でも「優勢じゃないか」という声があったんですけども。
羽生 いやあー……。よかったという場面はなかったと思いますけども。仕掛けて端を行ってキズを深めてしまった気がしますね。あとは我慢する展開ですけど、苦しいような気がしましたね。
―― 終盤飛車を取られる形になって苦しかったですか。
羽生 もう少しましな順があったかもしれないですけど。んー、ただ、具体的にはちょっとわからないですね。本譜はちょっと、あっという間に終わっちゃいましたけど。もう少し何かあったかもしれないです。
―― 第2局以降の意気込みを。
羽生 はい、また改めて頑張りたいと思います。

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20150211a_2渡辺明棋王に羽生善治名人が挑戦する第40期棋王戦五番勝負第1局は18時12分、103手で渡辺棋王の勝ちとなりました。消費時間は▲渡辺3時間48分、△羽生3時間26分。第2局は2月21日に金沢市「北國新聞会館」で行われます。


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羽生名人は△3四銀(図)と上がりましたが、控室ではこれが疑問だったのでは、と言われています。以下▲7六桂△7四飛▲7五歩△同飛▲6六金△7四飛▲7五歩△9四飛▲8三角成と進み、後手が飛車を追われている間に、先手は実にたくさんの手を指しました。

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先手は▲7七玉と逃げ込む形が意外に安定していて、飛車1枚なら渡してもすぐには寄りません。実戦は△2七桂▲3三歩と進みましたが、控室では「▲3三歩が痛い」「後手変調だ」との声が上がるようになりました。
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17時過ぎ、渡辺棋王が▲3九金(図)と引きました。△1八歩~△1九歩成と飛車を取られる順に備えた意味があり、▲4八金と寄る手に比べて横からの攻めには耐性があります。渡辺棋王の持ち時間は残り30分を切りました。一方、羽生名人はまだ1時間20分以上残しています。
控室では図から△5四歩が示されています。「羽生さんはきっと指すな」と大内九段。先手側を持って検討する松本六段は、「うーん」と苦しげです。

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将棋まつりの会場では棋士が入れ替わりで指導対局を行っています。プロ棋士と盤を挟める数少ない機会とあって、どの時間帯も多くのファンでにぎわっていました。

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羽生名人は△1二歩(図)と1筋を受けました。自ら仕掛けた筋で受けに回り、結果的にへこまされる形になったので部分的に損になった可能性が高いはず。しかし先手もすぐによくできるか、というとそれは難しいようで、以下▲1九飛△5四歩▲2九飛と進みました。

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飛車の反復横跳び。ここだけを切り取れば純粋に2手損です。仕掛けた側が歩を後退させ、パスが飛び出す中盤戦。なんとも不思議な応酬です。
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将棋まつり会場の外では、「天下一どうぶつしょうぎ武道会」が行われていました。とちおとめ25、トチノキッド、コマゾンボーイズ、一般代表の4チームによるリーグ戦です。対戦は3対3の団体戦方式。最後はとちおとめ25とトチノキッドが2敗同士でぶつかっていました。

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15時になり、対局室におやつが運ばれました。二人ともガトーショコラで、飲み物は渡辺棋王がアイスコーヒー、羽生名人がレモンティーです。

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(陽南荘玄関に掛けられている書。「鮫嶋重雄書」とある)

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午後になり、将棋まつりのステージには大内九段が登場。客席は立ち見の方も増え、人垣ができています。第1期棋王戦は三者によるリーグ戦で争われました。このときに棋界初の海外対局がハワイで行われたことでも有名です。そのときの対局者であり、第1期棋王が大内九段。海外対局の思い出を語り、当時の対局を大盤で振り返りました。

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