2025年2月 1日 (土)

抽選会のあと、対局者は一問一答形式で意気込みを話し、花束を受け取って会場をあとにしました。
Img_6060(藤井棋王)
――列車の旅は?
藤井 土讃線の特急「南風」に乗って、ダイナミックな車窓の景色と振り子式の車体の傾斜を満喫しながら来きました。
――初の高知で楽しみにしている点は?
藤井 対局がメインですが、土讃線に乗って1つの目的はかないました。高知の食を楽しむことができたら。
――明日に向けての意気込みを
藤井 明日から開幕するので、身の引き締まる思いがあります。増田八段とのタイトル戦は初ですが、非常に強い方ですので、しっかり集中して対局に臨みたいと思います。
――ハードスケジュールの中での健康管理法は?
藤井 しっかり睡眠を取ること、感染症が多いので、手をしっかり洗うなど気をつけています。


Img_6077(増田挑戦者)
――いまの気持ちは?
増田 大勢の方に集まっていただいてうれしいと同時にとても緊張しています。
――タイトル初挑戦の意気込みを
増田 タイトル戦は子どもの頃から夢にまで見ていた舞台ですので、こうして立つことができてとても感激しています。難しい将棋になると思いますが、自分の持てる力を出して頑張りたいです。
――気持ちを落ち着かせる方法は?
増田 スピーチがいちばん緊張しているので、ここを乗り切れれば明日もうまくやれるのではないかと思っています。
――対局で意識することは?
増田 藤井さん得意戦法の角換わりがいちばんの敵で、後手番になるとどうしても受けざるをえないので、明日は先手になることを願っています。

Img_6083(藤井棋王に花束を贈ったのは、磯脇颯さん)
Img_6092(増田八段に贈呈したのは、舛本花夏さん)
Img_6120(対局者を挟んで記念撮影)

(武蔵)

乾杯のあと、抽選会が行われました。対局者が番号札を引き、当選された方に色紙を手渡しました。
Img_5994(三土 正司・株式会社共同通信社社長が乾杯の発声を務めた)
「高知県といえば進取の気性と豪放磊落な方々が多い。明日は高知の地に根ざした進取の気性で新しい地平を開くような将棋を指してほしい」

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(武蔵)

18時から高知県高知市「城西館」で、「高知対局の集い」と題した前夜祭が催されました。
Img_5964(中平 雅彦・高知新聞社代表取締役社長)
「この近くに生誕地がある幕末の志士・坂本竜馬が少年時代から囲碁や将棋に興じていた。これを機に高知の将棋熱が高まることを期待する」

Img_5971(濵田 省司・高知県知事)
「来年10月に開催される、よさこい高知文化祭2026高知県実行委員会の委員長も務めている。文化芸術の1つである将棋をタイトル戦開催によって振興し、手に汗握る熱戦を期待したい」


Img_5985(清水 市代・日本将棋連盟常務理事)
「増田八段は事前の問いで不安なこととして、初めての和服や盤上の作戦でなく、前夜祭のスピーチだった。藤井棋王は年始の挨拶で新しいことに恐れずに挑戦し、実力として高めていきたいと述べていた」

(武蔵)

空路と陸路に分かれて高知県を訪れた対局者一行は、スケジュールどおりに検分に臨みました。検分は対局に使用する盤や駒、部屋の明るさなどを確認する作業です。増田八段には笑顔もあって緊張した様子はなく、リラックスしていた様子でした。
20250201img_5892_2(藤井聡太棋王)
20250201img_5908(挑戦者の増田康宏八段)
20250201img_5902(藤井棋王にも笑顔が見られた)
20250201img_5922(大きな問題なく、5分ほどで検分は終わった)

(武蔵)

第50期コナミグループ杯棋王戦五番勝負が開幕します。藤井聡太棋王(七冠)に挑む増田康宏八段は、この番勝負が自身初のタイトル挑戦となります。開幕局(高知新聞社主催)は、2月2日(日)高知県高知市「高知市文化プラザかるぽーと」で指されます。持ち時間は各4時間。開幕局のため、先後は振り駒で決まります。対局は9時開始。12時から1時間の昼食休憩が設けられ、おやつは10時と15時にそれぞれ用意されます。
立会人は森けい二九段、記録係は清水航三段(伊藤博文七段門下)が務めます。現地大盤解説会は佐藤天彦九段と黒田尭之五段(ゲスト)、島井咲緒里女流二段が担当します。観戦記の執筆は君島俊介さんです。
インターネット中継は棋譜コメント入力を飛龍、ブログを武蔵が担当します。よろしくお願いします。

【主催:共同通信社】
https://www.kyodo.co.jp/
【特別協賛:コナミグループ】
https://www.konami.com/ja/
【協賛:Calorie Mate】
https://www.otsuka.co.jp/cmt/
【第1局棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/50/kiou202502020101.html

(武蔵)

2024年12月17日 (火)

第1局 2月2日(日)高知県高知市「文化プラザかるぽーと」
第2局 2月22日(土)石川県金沢市「北國新聞会館」
第3局 3月2日(日)新潟県新潟市「新潟グランドホテル」
第4局 3月16日(日)栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」
第5局 3月26日(水)長野県長野市「長野ホテル犀北館」

以上で本局の中継を終わります。
ご観戦誠にありがとうございました。
(八雲)

感想戦終了後、挑戦者に決まった増田康宏八段に囲み取材がありました。

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【増田八段の囲み取材の談話】
――タイトル初挑戦が決まりました。感想戦も終わって、いまのお気持ちを聞かせてください。
「ずっと目標としていたことなので凄く嬉しいですね。あと一勝がなかなか遠いと思っていたので。一局負ける余裕があったとはいえ、もし負けてしまったら、流れも悪くなると思ったので。今日決められたらいいなと思っていたんですけど。凄く集中して対局できたので、いまは安心と嬉しさが両方あります」

――藤井棋王との五番勝負になります。どのように挑まれますか。
「いろんな棋士の方がいろんな対策で藤井棋王に挑まれているのを見て、いろんな戦い方があると思うんですけど。自分は、今日の将棋を見てもわかると思うのですけど。あんまりAIの序盤といった形にはならないので。かなり自分の感覚を信じた将棋で勝負をしようかなと思っています」

――開幕まで、どのように準備をして過ごされますか。
「今年の5月ぐらいからトレーニング法を変えたんですけど。それがここまで、凄くいい影響が出ているかなと思うので。そういったものを継続しつつ、藤井棋王に対する対策といったところもしっかり準備していきたいと思います」

――トレーニング法を変えたというのは、言える範囲で結構ですので教えていただけますか。
「自分はAIをあんまり使わないんですけど。だから、昔ながらの勉強法ですね。棋譜並べとか。詰将棋とかもたまにはやってるので」

――それは、以前もそうされてきたけど、多少ちょっとチェンジされたということですか。
「そうですね。だんだん、やっぱりAI研究とか取り入れたほうがいいのかなと思ったりして。比重が下がっていったんですけど。最近は、昔やっていたことのほうが比重が多くなっているという感じです」

――タイトル初挑戦ということですけど。いま27歳で、この歳での挑戦というのは、ご自身ではどんなふうに思っていらっしゃいますか。
「森下師匠からは、おそらくもっと早く挑戦できた、みたいなことは言われると思うのですけど。自分の中では、ちょうどプロになって10年経ったんですけど、そういった中でいろいろ試行錯誤をしながらやってきて、努力してきたことが実を結んで、いま挑戦できたのかなと思っているので。10年目で挑戦できたことは、自分的にはしっかり実力をつけて臨めたかなと思っています」

――これまでタイトル戦で唯一、藤井さんに土をつけたのが伊藤匠叡王ですけども。五番勝負というところも似ているところがあると思うのですが。何か参考にされたりはしますか。
「そうですね。伊藤叡王とは研究会もやっていますし。永瀬九段や、そういった方々ともやっているので。特に伊藤叡王の戦い方は凄く参考になったので。叡王戦を見ていても中終盤は凄く我慢して指していたので。それはなかなか、対藤井さんにできる人はいなかったので。その辺りは参考にしたいなと思っています」

――開幕まであと一カ月半ぐらいですが、そこまでにどんなところを上積みして臨みたいと思っていますか。
「やっぱり中終盤ですよね。後半のほうの強さというところをさらに磨きたいなと思っています。伊藤叡王がタイトルを奪取できたのも、そこが凄くあったと思うので。そこはしっかり伸ばしたいなと思っています」

――先ほどのトレーニング法を変えたという中で、AIよりも昔ながらの勉強を増やしたということでしたけども。どちらかといえば、いまはAIの比重を増やす人が多いですが、その逆にしたというのは、どういった理由だったのでしょうか。
「AI研究をして序盤戦を凄く、AIのように指せるというのはアドバンテージにはなると思うんですけど。自分はそのやり方が合わなかったというか。中終盤のほうで凄くミスが出てしまうことが多かったので。なかなかその部分は両立できないのかなと感じたので。それでちょっとAI研究はあまりしていなくて、どちらかというと中終盤を磨くような感じでやってます」

――詰将棋の勉強も増やしているということでしたが。それは何かきっかけがあったのでしょうか。
「やっぱり伊藤叡王とかが詰将棋を解かれているので。藤井棋王とかもたぶんそうだと思うんですけど。強い人がそうやっていてうまくいっているのを見ていたら、自分もそれを取り入れてみようと思ったのがきっかけですね」

――詰将棋を取り入れてみて、何か効果は感じましたか。
「集中力だったりとか。玉を詰ますという意味では、そんなに効果があるとは思わないんですけど。集中力や読みといった点では、かなり効果があったかなと。中終盤のミスが、詰将棋をやり始めてから出なくなった気がするので。そういったところはかなり効果があるかなと思っています」

――五番勝負では藤井棋王の隙や弱点をついていきたいということでしたが。どういったところに弱点があると思われますか。
「いや、もうないんですけど(笑)。ただ、持ち時間がなくなってくると、ちょっと動揺される部分があるのかなと思うので。時間責めではないんですけど、藤井棋王がなるべく苦しむような展開に持っていければいいなと。で、時間を使わせて、という感じが理想かなと思っています」

――ファンに向けてメッセージをお願いします。
「実力差は藤井棋王とあると思うんですけど、そういった中でなんとか自分なりに工夫して、接戦というか、最後まで見ていて面白い将棋にしたいと思っていますので。是非、応援してくれる方々にもそこを期待して欲しいなと思っています」

(八雲)