2017年2月 5日 (日)

中盤戦から終盤戦へ

20170205atidawatanabe71▲1三歩にどう戦うか。単純に△1三同香は桂をさばかせるので面白くありませんが、渡辺棋王は後手陣の左辺を受け流して勝負しています。▲1三歩に、まずは△8六歩と玉頭に味をつけました。以下▲同銀△1三香▲1二歩。

20170205atidawatanabe75▲1二歩は次に▲1一歩成△同銀▲1三桂成を狙ったもので、▲1二歩に△2四角は▲4六銀で後手が困ります。実戦は△1四香とかわしました。▲1三桂成から馬を作られましたが、△8四桂が期待の一手です。

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先手に大駒を成られても、△7六桂と跳べばかなりの迫力です。千田六段は▲6八桂と打たずに▲7七金と力強く受け、以下△8五歩▲9七銀△9四歩と進んでいます。

20170205atidawatanabe86棋王は端攻めを間に合わせようとしています。先手は▲3三飛成と竜を作れますが、次に▲3二竜と王手をしても、△6三玉が2枚落ちの上手のように耐久力のある形です。玉の堅さで攻めるだけなく、懐の深さで勝負する指し回しは、棋王の新境地といっていいかもしれません。

(紋蛇)