「指しにくいけど永瀬さんなら指すかもしれない」、そう伊藤真五段が言っていた▲4七歩が指され、以下△2二玉▲1六歩△7三桂と進みました。
「力の入った応酬ですね。昼食休憩に辺りでは後手の模様がだいぶ良さそうに思っていたのですが、現局面はいい勝負に見えます」と松尾七段。
なお、先手は現在3歩得していますが、歩得を守ろうと6~8筋の歩を守りに行くとバランスが崩れて危険とのこと。例えば図で▲7六金は△5六歩で受けづらくなります。
図で▲1五歩△同歩▲同香が目につきますが、△6八角成▲同飛△1五香の二枚換えで後手が十分。控室の伊藤真五段は「▲1五歩△同歩に▲2五歩は考えられる」とのこと。次に▲1四歩で角を取る狙いで、歩で取りにいけば二枚換えの筋がありません。ただし「▲2五歩に△6五桂▲1四歩に△6八角成から強攻されて手になると▲2五歩はひどい手になる。簡単には指せないですね」と伊藤真五段。
(八雲)
後手模様良し
14時50分頃、永瀬六段が時間を使っています。
△1三角の次の狙いは△4六歩の突き出し。「△4六歩に▲4八飛△4五銀左のような進行ではつらいですね。何か受けなければいけないんですが▲4七歩と受けるのは悔しいですし、ちょっと先手が指しづらいように思います。しかし、実際に▲4七歩が指されたとして後手もどうするか難しいですか」と控室の伊藤真五段。
実戦は図から▲4七歩△2二玉と進み、15時を回りました。消費時間は▲永瀬1時間53分、△三浦1時間47分。
(八雲)
14時15分頃の控室
控室に伊藤真吾五段が来訪。継ぎ盤を挟んでいるのは……。
年明けから女流名人位戦五番勝負に挑む、中村真梨花女流二段。
(八雲)
先手の狙いは▲4六歩
図は13時55分頃の局面。ここで三浦九段が長考しています。
控室には中川大輔八段と片上大輔六段が来訪して検討中です。
中川「後手の指し手が難しいね」
片上「とりあえず△3三角が形でしょうか」(片上)
中川「ほう強く角を」
片上「え、強く……。そうか▲7一角が打てますね。いたたた」
補足しますと、△3三角に▲4六歩△同歩▲同銀△4五歩▲3五歩△同銀直▲同銀△同銀▲3三角成△同桂▲7一角(参考図)の筋があるということ。もちろんこれは直線的に進めた結果で、実戦でこのように進むことはありませんが、△3三角と上がると途中の▲3五歩の当たりがきつくなるため手抜きが利きにくくなる意味があって危険ということになります。
「▲4六歩はなかなか嫌な筋なんですよ。だから後手は何か動かなくちゃいけないと思います。△9四歩は突きたいけど、▲4六歩と来られたときにちょっと自信がない。スピードを付けるなら△7五歩▲同歩△9四歩というのもあるかな。後手はここでヘタな手を指すといっぺんに危険になるから、難しい局面ですよ」(中川八段)
実戦は中川八段の予想がズバリと当たり△7五歩が指されています。消費時間は▲永瀬1時間4分、△三浦1時間38分。
(八雲)
年の瀬
鳩森神社はポカポカとした陽気。
抜けるような青空が広がっている。
参道は新年を迎える準備が整えられている。
将棋会館入口にも門松が飾られた。
(八雲)
対局再開
永瀬六段は再開の15分ほど前から入室。
三浦九段が再開時刻ちょうどに戻ると、永瀬六段はすぐに▲3四歩を着手。
三浦九段はゆったりと身支度を整えてから、勝負師の顔になった。
(八雲)
休憩中の対局室
昼食休憩中の特別対局室。
昼食休憩時の盤面(手前が先手)。
(八雲)
昼食休憩
12時10分、図の局面で永瀬六段が19分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲永瀬54分、△三浦56分。昼食の注文は、永瀬六段が親子重(みろく庵)、三浦九段は注文ありません。対局は13時に再開します。
親子重(対局者と同じものを注文して撮影)。
(八雲)
早くも開戦
図は11時頃の局面。永瀬六段は積極的な仕掛けを見せました。▲3五歩までの消費時間は▲永瀬25分、△三浦37分。現局面の前例はすでにありませんが、後手の陣形が若干異なる類型はいくつか見られます。▲3五歩に対して、三浦九段は25分ほどの考慮で△4五歩と応じています。
11時30分頃、控室には飯島栄治七段(左)と木村一基八段が来訪。
(八雲)
相掛かり調へ
永瀬六段は△8五歩に対して、飛車先を受けずに▲2五歩と伸ばしています。以下互いに飛車先の歩を交換する展開に。
本日東京で対局立会人を務める松尾歩七段が控室に来訪。
「戦型分類をすると一応矢倉ということになるのでしょうが、戦いとしては相掛かりに近いものになるイメージですね。力戦形になりやすいと思います」(松尾七段)
(八雲)