図は郷田九段が△4二金寄とたたきをかわした局面。ここから▲7五銀△同角▲同金△8七歩成(下図)と進んだ。持ち時間が少なくなってきていることもあり、スローペースだった進行が速くなってきている。先手は角銀交換の駒得になったが、9六の角の働きがいまひとつ。後手のと金攻めはゆっくりだが確実で、ここでうまい手がないと苦しくなりそうだ。
検討陣の話では、「▲9六角の時点では先手が指せそうに見えたが、△8四飛~△8二飛と指されて動きにくくなった」とのこと。左図では次の△7七と~△8八飛成を見せられているので、先手は動かなければいけない。しかしうまい手段がすぐには見つからないようだ。現状の評価は「後手持ち」とされている。広瀬七段はここで時間を使っている。時折首をかしげる仕草がカメラに映る。
(検討中の中村太地五段=左)
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