控室に谷川浩司十七世名人が来訪しました。14時30分ごろ、ひとりで盤に向かって検討しています。
(谷川十七世名人が考えていた局面。やがて、△5五角が指された)
「少し前の△8六歩、そして▲9一飛成とするところでは、双方が分岐点を迎えていました。ほかの手も十分に考えられたところで、現在は攻め合いに進んでいます。先手が▲9一飛成ではなく▲2一飛成と桂を取るような展開だと、後手が△3一銀と受けていたでしょう。それに比べれば、本局はもっと激しい順です。
△5五角は攻防手で、▲8二竜△7二金に▲6四香といった攻めを消しながら、△8六歩のたたきを含みにしています。しかし、後手陣もスキができました。8筋から6筋までズラッと歩が並んだ形が、△8六歩と攻めの手を指したことで崩れて、逆に▲8五桂と打たれる筋が生じています。先手は▲8五桂や竜引きの王手をどう組み合わせて攻めるか。非常に難しく、伊藤七段も考えそうです」(谷川十七世名人)
(紋蛇)