2023年3月 4日 (土)

開会式・前夜祭(4)

明日の見どころ解説もありました。

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山口 まず、棋王戦の第1局や第2局についてうかがいます。いかがでしたか。

深浦 まずは、山口さんご結婚おめでとうございます。第1局は長野で行われて、藤井竜王がうまく攻めをつないで勝ちました。途中で▲2五桂打という手があったのですが、本当に才能あふれる手で渡辺棋王の陣形を崩したことが印象に残っています。第2局はABEMAで解説しましたが、盤面をダイナミックに使う将棋でした。最後は藤井竜王の読みが深くて、27手詰という藤井竜王の強みをよく感じた対局でした。

山口 戦型予想はいかがでしょうか。藤井竜王は先手番でとても勝っているんですよね。

深浦 28連勝ですか。

高見 昨年の棋聖戦で永瀬さんに負けた以外は勝っています。私も銀河戦決勝で貢献してしまって。先手角換わりがめちゃくちゃ強いです。

深浦 藤井竜王が先手なので角換わり腰掛け銀だと思います。新幹線の中で考えていたのは、藤井竜王が相掛かりや矢倉にせずに角換わりに絞っているのは、過密日程をこなすためかなと感じています。今週もすごい将棋が続きます。棋王戦のあとは順位戦のプレーオフ(8日)と王将戦七番勝負の第6局(11・12日)があります。

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高見 私は角換わりが勝てる戦法だと思っているので選んでいるのかなと思います。渡辺棋王が2手目に△3四歩としなければ角換わりになります。雁木を選ぶか角換わりを受けて立つかだと思います。

山口 深浦九段は藤井キラーといわれていますが。

深浦 このタイミングで聞きますか。最近当たっていないです。取材で聞かれますけど、あれから藤井竜王が変身したんで過去の遺物です。

山口 藤井竜王に勝つための準備にどういう意識をしていましたか。羽生先生と指すときも、自分が勝てる部分を考えたと聞いたことがあります。

深浦 最近戦ったのはNHK杯だったので短時間棋戦なりの準備をしたのですが、藤井竜王はこちらが準備した通りに指すんです。短い時間でも非常に精度が高いんです。準備通りに指してくれたので勝てたという意味合いもありました。ほかの棋士だとそうはならないんですけど。

山口 高見七段は第4回ABEMAトーナメントで藤井竜王と一緒にチームを組みましたよね。

高見 本当に気さくですし、人間的にも完成度が高いです。そのときは藤井竜王のおかけで優勝できましたが、深浦九段がいるチーム(菅井竜也八段がリーダーで、深浦九段と郷田真隆九段の3人で組んだ)との対戦で、藤井竜王が深浦九段に負けたときが、チーム内でもいちばんピンチでした。藤井竜王が負けてしょんぼりしましたが、伊藤匠五段と高見でどうしようと。結局、藤井竜王は残りの対局を勝って自分から立て直して、改めて強いなと感じました。キラーなだけに、深浦九段は藤井竜王に立ちはだかりますね。

山口 渡辺棋王はご両親が新潟県出身で縁があると。

深浦 出身地などのご縁があるところでの対局は安心感がありますね。(第50期王位戦七番勝負で)3連敗後の4連勝をしたときは、4局目が出身地の長崎県佐世保市でしたが、そこから巻き返していけたのでありがたいなと思いますね。見えない力をいただいて頑張ろうと思えました。

山口 深浦九段は渡辺棋王と一緒にフットサルもやっていますよね。

深浦 フットサルでも棋王は仕切るんです。パスを要求したり。フットサルやカーリングとか、アクティブに好きなことをして気分転換をしていますね。高見七段と渡辺棋王は競馬好きですよね。

高見 渡辺棋王と一緒には競馬にいかないですが、後輩に優しい先輩で、先日に渡辺棋王や私と戸辺誠七段が同じ日に対局がありました。私と戸辺七段が早く終わったので、先に将棋会館を出たのですが、渡辺棋王は一緒に夕飯を食べようとわれわれを探していたそうなんです。

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深浦 藤井竜王がタイトル戦に出始めたころ、渡辺棋王はAIを活用されて90手くらいまで研究したのをぶつけたこともあります。今回の棋王戦も65手まで経験ある形をアレンジしていました。そういう強みがあります。ただ、藤井竜王がしっかり考えて切り返してくる。第3局はどうなるか注目しています。

深浦 銀河戦決勝はどうでしたか。

高見 先手が欲しいなと思っていました。でも、振り駒なので後手なら仕方ないと思って準備はしました。思ったよりも突っ込んだ変化を選ばれてこちらが間違えたのですが、そのときの最善手はその場では発見しにくい手でした。感想戦では、すぐに指摘されたので、藤井竜王の角換わりを受けて立つならもっと研究しないといけないと思いました。

深浦 渡辺棋王はどうするでしょう。

高見 先日の朝日杯の決勝で対戦したときは渡辺棋王が雁木でした。でも、今回は角換わりを堂々と受けて立ちそうな気がします。

深浦 研究を深掘りしたものを藤井竜王にぶつけるのですが、藤井竜王がいい手で返してくるんですよね。

高見 第1局は渡辺棋王が勝つと思っていました。序盤で藤井竜王に時間をかなり使わせたので渡辺棋王の勝ちパターンかと思ったのです。でも、時間が少なくても関係なくて藤井竜王の▲2五桂打が冴え渡っていました。

深浦 ▲2五桂打は困るよね。新潟の子に教えてあげられる?

高見 駒損するので歩を打つのが普通です。六冠を目指すなら▲2五桂打なんでしょうね。

山口 大盤解説会で意識することはありますか。

深浦 以前に新潟で立会人をさせていただいたときに、解説会場に500、600人くらいの方がいらしていて、解説会をやったんです。そのときカードが羽生善治九段と佐藤康光九段の対局でした。振り飛車の将棋で千日手になりそうだったんです。立会人だから指し直しになりそうなので慌てて対局室にいったら、羽生九段が打開していて首を傾げて「何しにきたの」という顔で見ていて、すごすごと解説会場に戻っていったのを覚えています。

高見 最近、私は副立会人などで藤井竜王をよく見るのですが、オーラを放っていますね。渡辺棋王がどう戦うか注目しています。新潟の話をさせていただきますと、長岡市の支部の指導でうかがったことがありまして、吉乃川という日本酒がとてもおいしかったです。プライベートでも新潟競馬場にいったこともありますし、大学の友人と旅行して、へぎそばを食べました。ファンの方にお米を贈っていただいたこともあって、家族でいただいたこともあります。


以上で本日のブログ更新を終わります。
明日もよろしくお願いいたします。

(牛蒡)