2020年12月
終局直後
【勝った糸谷八段の談話】
ーー本局を振り返っていかがでしたか。
糸谷 ▲7五角が工夫というか変化した手なんですが、どうだったかわからないんですけど、▲8五金から何とか飛車と馬を押さえ込むのに成功してちょっとよくなったかなと。
ーー優勢を意識したのはどの辺りですか。
糸谷 ▲4八玉と上がったところは少し指しやすいのかと思いました。
ーー棋王戦本戦を振り返って印象深い対局はありましたか。
糸谷 対局という形ではないんですけど、最後のほうは角換わり早繰り銀を採用してある程度結果が出せたので、ちょうどよくこの戦法がなじんできてよく指せたのではないかと思います。
ーー棋王戦は初めての挑戦になります。
糸谷 そうですね、タイトル戦自体が久しぶりなので、またタイトル戦の舞台に出られることに感謝ですね。時間も短いので、普段と変わらないような心持ちでやれればと思います。
ーー渡辺明棋王の印象は。
糸谷 ますます充実されているイメージです。前回のタイトル戦(竜王戦)でも1勝4敗で負かされた先生ですので、渡辺明棋王の強さは骨身に染みてわかっているほうだと思います。挑戦者として堂々とやっていければと思います。
ーー残念な結果となりましたが、一局を振り返っていかがでしたか。
広瀬 激しい将棋になって難しいと思ったのですが、▲7五角は△6七歩が入るので危ないのかなと思っていたんですけど、大長考してもいい変化が見つからなかったです。タイミングを誤って組み合わせの中でいちばん悪いものを選んでしまったかもしれないです。
ーー1時間45分の長考がありましたが、相当難しかったですか。
広瀬 何かあると思って調べていたんですが、あの局面になってみると発見できなかった。もうちょっと難しい順はあったかもしれません。
糸谷八段が棋王初挑戦
糸谷八段が広瀬八段に勝ち、挑戦者決定二番勝負を2連勝で制して自身初の棋王挑戦を決めました。タイトル戦登場は2016年の第64期王座戦五番勝負以来です。渡辺明棋王との五番勝負は2月7日(日)、栃木県宇都宮市「宇都宮グランドホテル」で開幕します。
(文)
糸谷八段勝勢
17時10分の局面です。糸谷八段の玉は上部に抜け出せる格好となり、広瀬八段は駒不足の感が否めません。また、次に▲6三歩△6一金▲6二金と平凡に迫る手が厳しく、形勢は糸谷八段が勝勢です。
(生姜)