2020年12月

2020年12月28日 (月)

渡辺明棋王と糸谷哲郎八段の五番勝負日程は以下の通りです。

第1局 2月7日(日)栃木県宇都宮市「宇都宮グランドホテル」
第2局 2月20日(土)石川県金沢市「北國新聞会館」
第3局 3月7日(日)新潟県新潟市「新潟グランドホテル」
第4局 3月17日(水)東京都渋谷区「東郷神社」
第5局 3月30日(火)東京都千代田区「都市センターホテル」

以上で本局の中継を終了します。ご観戦いただきありがとうございました。

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(生姜)

Dsc_0612001(初の棋王挑戦を決めた糸谷八段)

Dsc_0624(敗れた広瀬八段)

Dsc_0621(終局直後、インタビューが行われた)

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【勝った糸谷八段の談話】

ーー本局を振り返っていかがでしたか。

糸谷 ▲7五角が工夫というか変化した手なんですが、どうだったかわからないんですけど、▲8五金から何とか飛車と馬を押さえ込むのに成功してちょっとよくなったかなと。

ーー優勢を意識したのはどの辺りですか。

糸谷 ▲4八玉と上がったところは少し指しやすいのかと思いました。

ーー棋王戦本戦を振り返って印象深い対局はありましたか。

糸谷 対局という形ではないんですけど、最後のほうは角換わり早繰り銀を採用してある程度結果が出せたので、ちょうどよくこの戦法がなじんできてよく指せたのではないかと思います。

ーー棋王戦は初めての挑戦になります。

糸谷 そうですね、タイトル戦自体が久しぶりなので、またタイトル戦の舞台に出られることに感謝ですね。時間も短いので、普段と変わらないような心持ちでやれればと思います。

ーー渡辺明棋王の印象は。

糸谷 ますます充実されているイメージです。前回のタイトル戦(竜王戦)でも1勝4敗で負かされた先生ですので、渡辺明棋王の強さは骨身に染みてわかっているほうだと思います。挑戦者として堂々とやっていければと思います。

Dsc_0625 【敗れた広瀬八段の談話】

ーー残念な結果となりましたが、一局を振り返っていかがでしたか。

広瀬 激しい将棋になって難しいと思ったのですが、▲7五角は△6七歩が入るので危ないのかなと思っていたんですけど、大長考してもいい変化が見つからなかったです。タイミングを誤って組み合わせの中でいちばん悪いものを選んでしまったかもしれないです。

ーー1時間45分の長考がありましたが、相当難しかったですか。

広瀬 何かあると思って調べていたんですが、あの局面になってみると発見できなかった。もうちょっと難しい順はあったかもしれません。

(生姜)

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糸谷八段が広瀬八段に勝ち、挑戦者決定二番勝負を2連勝で制して自身初の棋王挑戦を決めました。タイトル戦登場は2016年の第64期王座戦五番勝負以来です。渡辺明棋王との五番勝負は2月7日(日)、栃木県宇都宮市「宇都宮グランドホテル」で開幕します。

(文)

2020122810117時10分の局面です。糸谷八段の玉は上部に抜け出せる格好となり、広瀬八段は駒不足の感が否めません。また、次に▲6三歩△6一金▲6二金と平凡に迫る手が厳しく、形勢は糸谷八段が勝勢です。

(生姜)

2020122887糸谷八段に、これぞまさに攻防手という角打ちが出ました。▲8五角は自陣に利かしながら▲5二桂成を厳しくした一着。後手玉が詰めろかは難しいですが、△7九飛には▲5二桂成△同飛▲3七金として先手が勝ちそうです。どこかで▲7四角打と力を足す手もまた攻防手で魅力的ですね。

Dsc_0528(苦しい広瀬八段。何かひねりだせるか)

(生姜)

202012288316時を回ってパタパタと手が進みました。この▲6四桂が厳しい一着です。先手玉は妙に広く、後手玉は狭さが目立ちます。玉の安全度は先手がまさっているでしょう。形勢は糸谷八段がリードしたと見られています。

Dsc_0538 (敗者復活戦から這い上がってきた糸谷八段。逆転挑戦の可能性が高まってきた)

(生姜)

2020122873中盤戦の揉み合いが続いています。上図△6三桂の両取りに対し、糸谷八段は「両取り逃げるべからず」と▲8四金と指しました。力強い進軍です。

先手陣をまとめるのは容易ではありませんが、糸谷八段は持ち前の怪力でまとめ上げようとしています。広瀬八段は△3八馬と切り込みました。▲同金△7五桂と進んで守りを切り崩しにかかります。そこで糸谷八段は▲4八玉。

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目をみはる攻防が続いています。控室ではABEMAの評価値も併せて検討していますが、さっぱり理屈がわからず、ただただ感嘆の声を上げるばかりです。両者にしかわからない世界観すらうかがえます。

Dsc_0578(口出し無用の難解な将棋だ)

(生姜)

記者が外から戻ってみるとまだ局面が動いていませんでした。広瀬八段が1時間30分以上の長考に沈んでいます。

2020122869上図の局面。ここではまず△6三桂の両取りと△6五桂が考えられます。どちらも有力そうに見えます。(1)△6三桂は▲6四歩△7五桂▲6三歩成△同金▲同飛成△7三馬の進行でどうか。(2)△6五桂は▲6七飛と払われたときに厳しい手があるかどうか。第三の手として(3)△8四歩もあるようです。この歩を取るのは駒損になるので▲8六金ですが、△7四馬と圧をかけていきます。どれもありそうです。中盤の勝負どころを迎えています。

Dsc_0545 (広瀬八段としては間違えたくない考えがいのある局面だ)

(生姜)

13時40分ごろ、局面が落ち着いてきたので外の千駄ヶ谷の様子を回りました。

Dsc_0605(将棋会館の前には門松が出されていた)

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Dsc_0584(鳩森八幡神社)

Dsc_0585 (同じく鳩森八幡神社)

Dsc_0589(両者が昼食注文を頼んだ鳩やぐら。入り口はお正月ムード)

Dsc_0594(千駄ケ谷駅)

Dsc_0595(外苑橋から見える新国立競技場。今年はいろいろあった1年だった)

(生姜)

12時40分、定刻通りに対局が再開されました。

Dsc_0571_2 (広瀬八段は早めに対局室に戻っていた)

Dsc_0568_2 (糸谷八段もほどなくして戻った。同日対局している森内俊之九段も顔を出す)

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Dsc_0576_2 Dsc_0581_2 (再開後の指し手は▲8五金。力強く金を前に進めた)

(生姜)