2015年2月11日 (水)

大盤解説会場へ

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松尾 両対局者、お疲れさまでした。まず感想をお聞かせいただきたいと思います。まずは渡辺棋王から、本局のだいたいの流れとか、感想とか。
渡辺 そうですね。中盤の手がとにかく難しい将棋だったんですけどね。飛車が行ったり来たりしている辺りは、直接的にいっちゃうとすぐ負けになっちゃいそうだったので、すぐ崩れない手を指していたんですけども。わかんないことが多い将棋でしたね。▲6八玉(63手目)とかも近づいているような感じでしたしね。
松尾 羽生名人はいかがでしたか。
羽生 ちょっと仕掛けていって、成果が出ないまま収まってしまったので、ちょっとずつ苦しい展開かなと思っていましたね。端詰められて受けるのでは何をやっているのかよくわからないんで。そのあとは確かにちょっと、形勢もそうですし何をやっていいかよくわからない将棋でしたね。
松尾 大内九段は近くでご覧になっていかがでしたか。
大内 近くで拝見したり、控室でみんなと研究したりしていたんですけど、我々の力量不足なのかもしれませんけど、控室では羽生先生のが少し優勢なんじゃないかという声が高かったですよね。その変化はどこでしたかね、羽生先生が△3四銀と上がられた手で……。
松尾 この場面ですかね。

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大内 この場面です。ここで△5四歩と打つと相当面白いのではないかという下馬評だったんですが。羽生先生いかがでしょうか。
羽生 あ、でもこれ銀引かれて……。4六に。
大内 桂打つんだったかな。角取りに。
羽生 あっ、そっちですか。

(上図から△5四歩以下、▲4六銀△6四桂▲4五角△4七馬▲3五銀△3八歩成▲3三歩で難しいという結論に)

羽生 でも△5四歩のほうがよかったような気がします。△3四銀は▲7六桂打たれてはっきり悪いような気がしたので。ただ、銀を引かれたときに桂を打ってもあまり成果がないんじゃないかと思ってしまったんですけど、この順をやるしかなかったですかね。そんなに自信があるわけではないですが。こうやって飛車が入れば詰む形にしておいて、というほうが実戦的には面白かったですか。

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松尾 あと解説会では△5四歩ではなくて△2七桂ではどうかということをやっていたんですが。これは変ですか。

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羽生 これは▲3三歩だと。
松尾 あ、▲3三歩は全然やっていませんでした。
羽生 飛車と金両方取れればいいですけど(笑)、さすがに取らせてくれないと思いました。

(参考図以下、▲3三歩△同金▲2三成香△1九香成▲3三成香△3九桂成▲7八玉で後手大変)

羽生 これは▲3三歩が入っちゃうとさすがに。
渡辺 そうですね。これ(成香)がここ(二段目)だと全然違うんですけど。寄せにこういう手(▲4四桂)もあるので。このタイミングでの桂打ちは読んでなかったです。
松尾 では△5四歩と打ってどうかということでしたか。
羽生 まあ本譜よりはましという程度で、あまりいいとは思わなかったです。でも確かに打ったほうがよかったような気がします。やっぱり真ん中に銀がいるのは大きいので。

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(文)