６七に居た銀を７八へ引いた局面。▲７八金は△６七馬から▲同金に△７八銀がある。銀を渡さずに受ける頑張りだ。依然として後手が優勢ではあるは先手が懸命の頑張りを見せている。

【Twitter解説】
豊川孝弘七段＞いやいや、これは△５六馬から△７四馬として長い将棋になるかもしれません。しかし△５六馬のときに▲８四桂と勝負したらどうなるのか。

（吟）

控え室でピッタリと言われていた歩が突き出された。△７六歩には「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ木村八段も「これはまいった」と声を発する。

【Twitter解説】
豊川孝弘七段＞なるへそ！　▲８四桂には△６六角が王手桂取りですから。ここは郷田さんの次の手が見ものですね。

時刻は19時を回った。

（吟）

何かのときに桂を補充すべく３九へ飛車を打った。後手は△５六歩と垂らして馬筋を止めれば攻めが繋がる。

木村八段も対局者と同様に読み耽っている。

（吟）

「たたき込む」と豊川七段が表現する△６七銀がキツイか。控え室では後手優勢の雰囲気が色濃くなってきた。

（吟）

△４六角▲同歩に△同飛と大駒をさばいて、久保棋王はサッと席を外した。後手がうまくさばき切った印象だ。

（吟）

▲５四歩と取り込んだ局面。控え室では激しい順が検討されている。

図の局面から△５七歩▲２八飛△５四飛▲７四歩△７二金引▲２四飛△同歩▲３三角成が継ぎ盤に並んでいる。▲３三角成に後手を持つ飯島七段の手が思わず止まる。

（吟）

△７五歩に郷田九段が▲５六歩と突いたところ。▲５六歩を見て田中九段は「普通じゃダメなんだ～」。飯島七段は「この忙しい局面でじっと突くんですか」と感嘆の声を上げる。

継ぎ盤では▲５六歩に△６四銀でサッと▲５五歩が突かれた。本譜も検討通りに進んだ。

（吟）

戦いも佳境に差し掛かり両対局者の背中も丸くなってきた。

下が先手の郷田陣。▲７五歩と突いた局面までの消費時間は▲郷田九段３時間32分、△久保棋王３時間８分。

（吟）

穴熊側の桂を６五まで跳躍させ△７三金と引き締める。「さばきのアーティスト」の面目躍如か。トップ棋士の豊かな発想には驚かされてばかりだ。

（吟）

▲９六銀に△７三桂が着手されると「うゎ～」と再び控え室が絶叫に包まれる。△７三桂にほぼノータイムで▲８七銀が指されると「読み筋ですか」と声が漏れた。

▲９六銀に△７三桂、驚愕の手の連続に検討も熱を帯びてきた。△７三桂に▲８七銀で「桂はバックできないもんな～」誰かが呟いた。郷田九段が桂跳ねを誘ったのか。

（吟）