華麗な寄せが決まる。先手勝勢 図は19時35分過ぎの局面。久保棋王は卓逸な手順で後手玉を寄せる。控室の棋士はどこか肩の荷が下りたような表情だ。深浦九段に尋ねると、「はっきりしましたね」とうなずく。青野九段は「久保勝ちです」と断言した。 (文)
超絶技巧の応酬 図は19時25分頃の局面。この△5七金を見て深浦九段が「ひょえー」と声を絞り出す。この手に代えて△3五桂では▲7七飛と回られる。対する久保棋王は▲同飛!と応じ、以下△6六角▲5八飛△5七歩▲6六角△5八歩成(下図)と進んだ。 おそろしい超絶技巧の応酬だ。棋譜解説チャットの佐藤六段は「何が起こっているのかついていけません!めまぐるしい展開!」と絶叫。 (外はすっかり暗くなった) (文)
「焦点の歩」のお返し。熱戦続く 図は19時過ぎの局面。久保棋王は▲7五歩と飛角の焦点に歩を放った。100手目△5七歩のお返しだ。△同飛も△同角も、どちらかの大駒の利きが一瞬消える。ここに来て形勢不明。なんという戦いだろう。手数はまもなく150手に届く。控室では最長手数の対局が話題に。関係者が「300手を超えるものはありましたよね」と口を開くと、「それ、私が記録取りました。▲丸山-△屋敷戦(※)です」と深浦九段が答えた。 この対局もまだまだ終わりそうにない。 ※……▲丸山忠久四段-△屋敷伸之棋聖、1990年9月、王座戦予選 (段位・肩書きは当時のもの) (文)
形勢不明――後手逆転か 図は18時55分頃の局面。「形勢不明です」と深浦九段。少し前までは先手がかなり指しやすそうに見えたが、形勢は急接近。「逆転しているのでは」との声も。棋譜解説チャットの佐藤六段は「現在やや後手持ちです。後手玉非常に耐久力あります」とコメントしている。 (文)
際どい勝負 18時45分頃の局面。際どい場面が続いている。検討する深浦九段は「うーん、何が何だか……」と苦笑い。押し黙ってしまった。 (18時40分頃の控室。緊迫した局面を迎え、関係者がモニタを見守る。深浦九段は無言で盤に向かっている) (文)
竜王、粘りに出る 18時20分頃の局面。竜王は△2二金と自陣に埋めて▲3二銀を防いだ。深浦九段が「穴熊流の粘り」と評した一手だ。先手は▲4五歩が有力で、局面が収まれば駒得が際立ってくる。お互いとも正念場を迎えている。ここ数手が本局の山場になりそうだ。 ■佐藤紳哉六段の棋譜解説チャット 「△2二金は堅いですが、銀得で手番なら先手よさそうです。ただしそのとき後手に望みがないとみるか、穴熊で王手がかからない形なのでまだまだと見るか、難しいところです。しかし竜王はそういった穴熊の感覚には非常に長けた棋士ですからね」 (風はなおも強い) (文)
先手が余せるか 図は18時頃の局面。久保棋王はと金で後手の金を一枚はがしたが、7七の金が遊んでいてすぐさま形勢に結びつけるのは難しい。深浦九段は厳しい表情だ。「いや、難しい。流れは攻め合いですが、相当際どいですね」。現時点で、深浦九段と青野九段の第一感は「先手余してそう」で一致している。後手が何もしなければ、図で▲5五角が決め手。△4七飛成は▲3三角成△2二金▲同馬△同玉▲3二金△2三玉▲2二金打までの詰み。渡辺竜王は何かしら対策を考えないといけないが、局面は一手を争う忙しい場面。ただ受けるだけではなく攻防手を探したい。 (日が沈み、港には明かりが灯る) (文)
焦点の一打 図は17時20分頃の局面。後手はと金攻めを見せられ、ゆっくりできない。なんとかして手を作る必要がある。渡辺竜王の答えは△5七歩。飛角の焦点に歩を垂らした。と金を作れば、後手も攻め合いが望める。17時30分、控室では見解が先手持ちと後手持ちで割れている。 (17時40分頃の控室。深浦九段が考えている) (文)