第36期棋王就位式が2011年5月20日12時から東京都港区「第一ホテル東京」にて行われました。そのときの様子を紹介します。
(古賀尚文・共同通信社取締役専務のあいさつ)
(米長邦雄・日本将棋連盟会長のあいさつ)
(契約新聞社を代表し、佐藤英雄・下野新聞社東京支社長があいさつされた)
(来賓として中田喜高・加古川市副市長があいさつされた。加古川市は久保棋王の出身地)

(米長会長より就位状が授与された)
(棋王就位状)
(古賀取締役専務から賞杯が授与された)
(イベントプロデューサーの白石周二さんが祝辞を述べた)
(謝辞を述べる久保棋王)
「このたびの東日本大震災で被災された方にはお見舞い申し上げます。今期は4局指しました。主催社であります共同通信社様、および加盟社の皆様、対局を担当された下野新聞社様、北國新聞社様、新潟日報社様には感謝しております。
今期棋王戦の挑戦者は渡辺明竜王でした。後になって私の周りの方々に聞いた話ですが、2つあるうちの片方でもタイトルが残ればいいなと思われていたそうです。ただ、私は最近は対戦相手と戦うのではなく、自分自身と戦うことを主眼に置いています。と言いますのは、対戦相手は常に変わっていくので、その相手と戦うとさまざまな人と戦わないといけないのですが、自分との戦いにしてしまえば、自分の力を出し切ることに集中できるということで、そのような考えで対局に臨めたことが今回の結果につながったのかなと思います。
棋王戦の4局を振り返ると、第1局はいい将棋で気持ち良く勝てましたが、第2局は形にならない完敗でしたし、第3局、第4局も負けていてもおかしくない将棋でした。一番思い出深いのは第4局の大逆転の将棋で、途中でこれはどうせ負けだからといって中継を見るのをやめて結果も見なかった人もいて、後で結果と見て私の勝ちになっているので驚いたそうです。それほどの大逆転でした。
第4局は最終盤まで負けの将棋でした。対局中にふと、指し手とは関係なく相手の立ち場になって考えたんですね。この将棋は普通に指せばこちらが勝つことはないので、渡辺竜王は勝ちを実感しているだろうなと相手の気持ちになって考えました。もしかして、そういう気持ちを持っていれば、逆転の可能性はあるのかなと勝手に自分では冷静な感じで対局中に考えていました。その後に悪手に出るのですが、私もこう指されたら負けだと思っていた手でした。その手を指されたときに残り時間が2分あり、それを使って逆転の筋を発見できた。1分将棋だったら発見できなかったかもしれません。残り時間が大きかったのかなと思っています。
棋王戦は私にとって初めてタイトルを獲得し、またタイトル挑戦した棋戦で自分にとって縁深い棋戦だと思っています。このまま棋王を持ち続けられるように今後に向けても精進していきたいと思います」
(久保利明・第36期棋王)
(銀杏)
ネット解説・浦野真彦七段の総評
久保棋王 防衛インタビュー
感想戦終了後、改めて久保棋王にインタビューが行われました。
--今日の将棋は、負けと観念した時間が長かったのでしょうか
久保「最後は時間もないですし、負けだろうなぁと思ってやっていました」
--感想戦に出ていた、▲5一角(99手目▲8二角に代えて)は読んでいましたか。
久保「▲5一角の王手は見えますが、△6二桂と受けたあとの▲5三歩は見えてない。必至で、受けがないですね」
--控え室では逆転と言われていました。
久保「自分でもびっくりしました。最後は負けと思っていました。△7六玉がぴったりでした」
--今年の2月と3月を振り返ってください。
久保「大変でしたが、なんとか乗り越えられてよかったです」
--今週、王将戦で豊島将之六段を相手に防衛したことはいい影響を与えましたか。
久保「区切りにはなりましたが、1局1局の対局自体は集中して指すだけですから」
--いつも言われている「楽しんで指す」ということはできましたか。
久保「いい意味でプレッシャーもなく指せたと思います」
--今年は棋王戦も王将戦も防衛戦でした。挑戦と防衛戦の違いはありましたか。
久保「大変ですが、その中で結果を残せたのはよかった。将棋盤に向かってしまえば挑戦者でもタイトルホルダーでも気持ちは変わりません。普段通りやれたと思います」
--久保棋王は毎年新しい気持ち、言葉を持って指しています。今年は?
久保「今年はなかったですが、今に集中するということを意識した。目の前の将棋をがんぼろうという意識が強かったです」
--先週大きな地震がありました。
久保「現状でも大変な皆さんが多い中、複雑な気持ちはありました。でも精一杯やるしかないと思いました」
--渡辺竜王の強さ、凄みは何でしょう。
久保「私より実績が上なので、私がコメントするのも……。強いのは前からわかっていることですし」
--王将戦も含めて年下とのタイトルマッチが続きました。
久保「相手と戦おうとするといろんな人と戦う必要がありますが、自分との戦いにしてしまえば相手は関係ない。相手が誰ということは気にしなかったです」
--同じ週に2つのタイトルを防衛するのは珍しいと思うのですが。
久保「どっちも逆の目なら続いていたので、よかったと思います」
--来年度の抱負を
久保「自分のテーマを決めて、来年に向かっていきたいです」
(翔)
終局後インタビュー、感想戦
久保利明棋王の談話
「勝ちを意識したのは最後の最後です。△7六玉(106手目)あたりまで気づいていませんでした。序盤は▲5七銀と引けないと思っていたのに引かれてしまい(41手目)、苦しくしました。△5三飛(54手目)はこれ以外に受けがないと思いました。この将棋も負けだと思っていたし、(この五番勝負は)大変な将棋が多かったです」
渡辺明竜王の談話
「(106手目△7六玉では)△8六玉しか読んでおらず、それで勝ちだと思っていました。△7六玉を指されて、少し考えてダメだということがわかりました。(41手目▲5七銀は素晴らしい構想では?)しかし攻め急いで飛車交換になったので(63手目)、失敗したかなと思っていました。ただ終盤は勝ちだと思って指していました」
(翔)






















