2012年12月26日 (水)

_90△6七歩(図)のたたきに対し、羽生三冠は▲同金上(下図)と応じた。
_91形は▲同金寄と取りそうなものだ。しかしこの取り方には恐るべき狙いが秘められている。仮に図で△2五銀なら、▲5六金!が必殺の一手。△同馬なら▲6一竜と入って王手飛車取り。以下△4一歩▲7二竜(図)と飛車を取ったとき、先手玉は馬のラインから金を逃しているため詰まない。
B7八ではなく7七に金が残っているから可能になる変化だ。検討では、先手玉に詰み筋があるかどうかがポイントになっている。棋士たちの口から符号が飛び交う。
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(文)

_84目がくらむ手順が続いている。羽生三冠が▲6八飛と回ると、渡辺竜王は飛車成りを受けずに△4五角成(左図)! そして▲6三飛成にはすぐに△6九銀(下図)と切り返した。なんという手順か。
_86▲7二竜と飛車を取るのは△7八銀成▲同金△同馬▲同玉△6六桂以下詰み。▲6九同竜なら△6八歩▲同竜△6七歩と連打で止めて、攻めが遅くなるというわけだ。予想外の手の連続に、控室でも驚きの声が上がっている。
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(控室に中村太地六段=左から2番目、佐々木勇気四段=左から3番目、が来訪。検討に加わった)

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_83羽生三冠は55分の長考で▲6八飛(図)と回った。次の飛車成りを見て調子がいいが、控室の検討では△6四桂で「意外に難しいのでは」と言われていた。以下▲5三金△同金▲同桂成△4四角▲2四歩△7六桂▲9八玉△6八桂成▲2三歩成△9七銀▲同桂△8九銀(参考図)と進むと、なんとこれは先手玉が詰んでしまう。
A先手は上から押さえる自然な寄せを目指したが、後手の反撃が急所をついた。この変化を見ると、△6四桂が受け一方の手ではなく、角のラインと組み合わせて厳しい攻めになることがわかる。手順中△9七銀が鋭い手で、▲同玉は△5三角で要の成桂を抜かれてしまう。参考図以下は▲8九同玉△7八成桂▲同金△8八金から詰みがある。

羽生三冠は△6四桂と受けられたとき、どう攻めるのだろう。
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_8215時30分過ぎの局面。渡辺竜王は△2七角(図)と飛車に当てて切り返した。しかし(1)▲2四歩と銀を取って以下△3八角成▲2三歩成と進めると、これは後手玉が寄り筋に入ってしまいそうだ。また図で(2)▲6八飛と回っても、6筋の突き捨てを生かして調子がよさそうに見える。この角打ちの真意はどこにあるのだろうか。

(1)▲2四歩にひとつ考えられるのは、△4五角成▲2三歩成△6九銀の攻め合い。飛車ではなく守りの金を狙うのが終盤の心得だ。
(2)▲6八飛には△6四桂▲2四歩△4五角成でどうか。ただ、「桂を打つのではつらそう」という意見も出ている。
変化によっては詰む、詰まないをきっちり読み切らなければいけないものある。すでに終盤戦だ。
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(15時30分頃、渡辺竜王が△2七角を着手した直後の様子。険しい表情が見て取れる)

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_80_2先手が角損の猛攻をかけている。先手玉は相当に耐久力があり、金を1枚はがされても詰まない形を維持できる可能性がある。となると攻めがつながるかどうかが問題だ。
(1)▲5三金や(2)▲2五歩など、さまざまな攻め筋が見えるだけに悩むところ。(2)▲2五歩は利けば大きいが、△7五歩と強く攻め合われる手も考慮しなければならない。後手からの最も早い反撃は7筋攻めなのだ。
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(1階販売コーナーの扇子。両対局者と郷田棋王の扇子だ)

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_70渡辺竜王は△3三歩(図)と受けて先手の攻めを催促した。銀損の先手は手を止めることはできない。ただ、ここで単に▲4二桂成は△同飛で△4七飛成を狙われて困りそう。どうやって後手陣に迫るかが問題だ。有力なのは▲7一角。これを入れてから▲4二桂成と取れば、今度は△同飛とは取れない(▲5三角成がある)。想定される変化の一例は▲7一角△7二飛▲4二桂成△同金▲5三角成△同金▲4五桂。先手は銀損から角損になりさらに駒損になるが、局面の焦点は先手の攻めが続くかどうかにある。攻めが続けば駒損はあまり問題ではなくなる。先手の玉は堅いので、攻めが続く形になれば優勢になるだろう。
(文)