両対局者の降壇後、関係者は明日の対局の見どころや戦型予想について語りました。
見どころ解説が終わったあと、お楽しみ抽選会が行われ、前夜祭はお開きとなりました。(立会人の森けい二九段)
「増田八段はあまり矢倉を指さない人ですけど、確か藤井棋王に勝った一局は矢倉でしたね。だから、やるかもしれない。明日は記録係が振り駒をして先後を決めるので、その振り駒の結果次第かもしれません。先ほどの意気込みで、『藤井棋王の角換わりになかなか勝てない』といっていたから、それは避けたほうがいいですね。相手の得意戦法を避けて『居飛車党だけと振り飛車やってやるよ』という手もありますよ」(解説の佐藤天九段)
「挑戦者側の立場を思い返すと、1勝するまではなかなか気持ちが落ち着かないかもしれません。ただ、ひとつ勝てば自分は落ち着いたところがありました。ですので、まずはいい内容で1勝できたら、風が吹いてくるのではないでしょうか。増田八段の将棋は中盤の組み立てがうまいです。『詰将棋は意味がない』という発言が過去にありましたけど、彼の将棋のつくりとして、終盤の詰む詰まないという局面よりも前に、勝負を決めたいタイプだと感じています。ですが、藤井棋王はやっぱり中盤戦も非常に強いです。増田八段としてはそこを乗り越えられるかどうか。まずは、いつもどおりのスタンスを変えずに自分の戦い方にして、正面から挑むのではないかなと思っています」(大盤解説会ゲスト棋士の黒田五段)
「順当に予想するなら相居飛車ですが、増田八段の振り飛車を見てみたいという気持ちがあります。おふたりが順位戦で対戦された一局(2018年、第77期順位戦C級1組▲増田-△藤井戦、後手勝ち)は、増田八段が中飛車を採用されました。そのときのイメージで、 もしかしたら増田八段が変化球を投げるんじゃないかなと個人的には思っています」(解説会の聞き手を務める島井咲緒里女流二段)
「増田八段の『矢倉は終わった』という発言も有名ですけど、わたしとしては逆に矢倉を見たいなと思います。まずは振り駒で先後がどちらになるか、それから戦型がどうなるかに注目です」(記録係を務める清水三段)
「増田先生は意気込みで『先手がほしい』といっておられたので、ちょっとプレッシャーがかかっています。本命は角換わりかなと思います。ただ、わたしは振り飛車党なので振り飛車を見てみたいです」
(武蔵)
高知対局の集い(3)
抽選会のあと、対局者は一問一答形式で意気込みを話し、花束を受け取って会場をあとにしました。(藤井棋王)
――列車の旅は?
藤井 土讃線の特急「南風」に乗って、ダイナミックな車窓の景色と振り子式の車体の傾斜を満喫しながら来きました。
――初の高知で楽しみにしている点は?
藤井 対局がメインですが、土讃線に乗って1つの目的はかないました。高知の食を楽しむことができたら。
――明日に向けての意気込みを
藤井 明日から開幕するので、身の引き締まる思いがあります。増田八段とのタイトル戦は初ですが、非常に強い方ですので、しっかり集中して対局に臨みたいと思います。
――ハードスケジュールの中での健康管理法は?
藤井 しっかり睡眠を取ること、感染症が多いので、手をしっかり洗うなど気をつけています。
(増田挑戦者)
――いまの気持ちは?
増田 大勢の方に集まっていただいてうれしいと同時にとても緊張しています。
――タイトル初挑戦の意気込みを
増田 タイトル戦は子どもの頃から夢にまで見ていた舞台ですので、こうして立つことができてとても感激しています。難しい将棋になると思いますが、自分の持てる力を出して頑張りたいです。
――気持ちを落ち着かせる方法は?
増田 スピーチがいちばん緊張しているので、ここを乗り切れれば明日もうまくやれるのではないかと思っています。
――対局で意識することは?
増田 藤井さん得意戦法の角換わりがいちばんの敵で、後手番になるとどうしても受けざるをえないので、明日は先手になることを願っています。(藤井棋王に花束を贈ったのは、磯脇颯さん)
(増田八段に贈呈したのは、舛本花夏さん)
(対局者を挟んで記念撮影)
(武蔵)
高知対局の集い(2)
高知対局の集い(1)
18時から高知県高知市「城西館」で、「高知対局の集い」と題した前夜祭が催されました。(中平 雅彦・高知新聞社代表取締役社長)
「この近くに生誕地がある幕末の志士・坂本竜馬が少年時代から囲碁や将棋に興じていた。これを機に高知の将棋熱が高まることを期待する」(濵田 省司・高知県知事)
「来年10月に開催される、よさこい高知文化祭2026高知県実行委員会の委員長も務めている。文化芸術の1つである将棋をタイトル戦開催によって振興し、手に汗握る熱戦を期待したい」
(清水 市代・日本将棋連盟常務理事)
「増田八段は事前の問いで不安なこととして、初めての和服や盤上の作戦でなく、前夜祭のスピーチだった。藤井棋王は年始の挨拶で新しいことに恐れずに挑戦し、実力として高めていきたいと述べていた」
(武蔵)
検分
第50期五番勝負開幕
第50期コナミグループ杯棋王戦五番勝負が開幕します。藤井聡太棋王(七冠)に挑む増田康宏八段は、この番勝負が自身初のタイトル挑戦となります。開幕局(高知新聞社主催)は、2月2日(日)高知県高知市「高知市文化プラザかるぽーと」で指されます。持ち時間は各4時間。開幕局のため、先後は振り駒で決まります。対局は9時開始。12時から1時間の昼食休憩が設けられ、おやつは10時と15時にそれぞれ用意されます。
立会人は森けい二九段、記録係は清水航三段(伊藤博文七段門下)が務めます。現地大盤解説会は佐藤天彦九段と黒田尭之五段(ゲスト)、島井咲緒里女流二段が担当します。観戦記の執筆は君島俊介さんです。
インターネット中継は棋譜コメント入力を飛龍、ブログを武蔵が担当します。よろしくお願いします。
【主催:共同通信社】
https://www.kyodo.co.jp/
【特別協賛:コナミグループ】
https://www.konami.com/ja/
【協賛:Calorie Mate】
https://www.otsuka.co.jp/cmt/
【第1局棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/50/kiou202502020101.html
(武蔵)