2024年2月24日 (土)

2024022473伊藤七段は1時間14分の考慮で、▲9二竜と9一にいた竜を引きました。残り時間は▲伊藤1時間13分、△藤井1時間49分です。これまで1時間越えの長考を伊藤七段が2回、藤井棋王は1回しましたが、残り時間が少なくなってきたので、そろそろペースが上がっていくと予想されます。

(紋蛇)

午後のおやつは伊藤七段が「フルーツ盛り合わせ、レーズンサンド、紅茶」、藤井棋王が「フルーツ盛り合わせ、レーズンサンド、アップルジュース」です。  

レーズンサンドは「金沢ニューグランドホテル」の一押しのスイーツで、両対局者はスタッフに勧められて注文していました。おやつを選ぶ様子は、『顔合わせ会』の記事をご覧ください。

Dsc_1391(伊藤七段のおやつ)

Dsc_1389(藤井棋王のおやつ)

(紋蛇)

Dsc_0833(尾山神社の境内)

Dsc_0869(梅の花が咲いていた)

Dsc_0839(樹木に結ばれている縄は「雪吊り」。雪が付着しても枝が折れないようにしている)

Dsc_0850(前田利家公像)

Dsc_0856(後ろの膨らんだ部位は「母衣<ほろ>」。流れ矢を防ぐために、鎧の背にかけた布である)

Dsc_0864(尾山神社庭園。江戸末期から尾山神社創立の間に作庭されたとされ、藩政期に加賀藩前田家が築いた最後のものだ。琵琶・笙・鳥兜など、雅楽の楽器や装飾を中島に象った斬新な庭園造形で、形式は池泉回遊式。雨のなか、海外からの観光客も散策を楽しんでいた)

※写真は昨日に撮影したものです。

(紋蛇)

石川県金沢市は江戸時代に加賀藩の城下町として栄え、風情ある街並みを求めて海外からも観光客が訪れます。金沢城や兼六園、ひがし茶屋街だけでなく、現代アートを中心にした「金沢21世紀美術館」も人気スポットのひとつです。いまの旬はブリなどの海産物で、冬の味覚を求めて飲食店が多くの人でにぎわいます。1月1日に能登半島地震が起き、被害が比較的軽かった金沢市からも観光客が遠のきました。しかし、地震発生から2カ月ほど経ち、少しずつ人出が戻りつつあります。
今回は対局場の北國新聞会館に近い、尾山神社を散策しました。尾山神社は加賀藩祖・前田利家を祀る神社として、明治6年(1873年)に創建されました。金沢城公園や兼六園、繁華街の香林坊は徒歩圏内とあって、観光ルートのひとつになっています。

Dsc_0806(尾山神社神門。1875年に建築された。当時は前例のない、和漢洋折衷が特徴である)

Dsc_0867(境内から見ると、上部のステンドグラスがきれいだ。屋根頂部の避雷針は、現存する日本最古のものとされている)

Dsc_0824(前田家の家紋「加賀梅鉢」)

※写真は昨日に撮影したものです。

(紋蛇)

控室に谷川浩司十七世名人が来訪しました。14時30分ごろ、ひとりで盤に向かって検討しています。

Dsc_1378_2(谷川十七世名人)

Dsc_1384(谷川十七世名人が考えていた局面。やがて、△5五角が指された)

2024022472「少し前の△8六歩、そして▲9一飛成とするところでは、双方が分岐点を迎えていました。ほかの手も十分に考えられたところで、現在は攻め合いに進んでいます。先手が▲9一飛成ではなく▲2一飛成と桂を取るような展開だと、後手が△3一銀と受けていたでしょう。それに比べれば、本局はもっと激しい順です。
△5五角は攻防手で、▲8二竜△7二金に▲6四香といった攻めを消しながら、△8六歩のたたきを含みにしています。しかし、後手陣もスキができました。8筋から6筋までズラッと歩が並んだ形が、△8六歩と攻めの手を指したことで崩れて、逆に▲8五桂と打たれる筋が生じています。先手は▲8五桂や竜引きの王手をどう組み合わせて攻めるか。非常に難しく、伊藤七段も考えそうです」(谷川十七世名人)

(紋蛇)

2024022468図は昼食休憩を挟む長考で、△8六歩としたところ。相居飛車で味をつける手筋ながら、先手に歩切れを解消させるの決断の一着です。

△8六歩は寄せ合いになったときに効果を発揮する手で、▲同歩は△8七歩、▲同銀は△7六桂や△8八歩▲同玉△7六桂が生じます。伊藤七段は先の先を見据えて、先手玉の安全度を視野に入れながら対応したいところでしょう。歩を取らずに▲9一飛成もありそうなので、今度は伊藤七段が長考に沈みそうです。

(紋蛇)

Dsc_1320(対局再開前。藤井は12時47分、伊藤は12時51分とやや早めに戻った)

Dsc_1332(手番の藤井棋王)

Dsc_1346(手を待っている伊藤七段は、落ち着いた表情だった)

Dsc_1355(昼食休憩を挟み、1時間28分の長考で△8六歩を指した)

(紋蛇)

Dsc_1316
(昼食休憩時の対局室)

Dsc_1313

(現局面)

Dsc_1310_2(清定<きよさだ>書は、歩の書体に特徴がある。独特ながら、盤に並べると不思議と安定する)

Dsc_1305

(伊藤七段の玉将。故・平田雅峰<ひらたがほう>作の駒で、王将の裏に作者名が記してある)

Dsc_1312(藤井棋王の王将)

(紋蛇)

対局者の昼食「加賀懐石弁当」です。詳細のメニューは末尾に記します。

Dsc_1296

Dsc_1302(上品な料理が少しずつ味わえる)

【千代口】能登生子酢、牛ふき味噌焼き 大浜大豆白和え、一寸豆、能登ふぐ塩糀揚げ、浅月
【お造り】鮪とろ、甘えび、赤烏賊
【焼き物】のど黒塩焼 蟹押し寿し、千枚かぶら、ぶり砧巻
【洋物】能登牛角切りステーキ 能登旬菜添え
【酢の物】ずわい蟹うるい和え 能登春菊、鯵翁巻、梅貝、酢取り茗荷
【食事】蟹めし
【香の物】四種盛り
【留椀】蟹真丈 菜の花、珠洲岩のり
【果物】蓮根かん、苺、金箔

(紋蛇)

2024022467_212時、図の局面で藤井棋王が1時間23分使って、昼食休憩に入りました。消費時間は☗伊藤25分、☖藤井1時間51分(持ち時間は各4時間)。昼食は「加賀懐石弁当」です。対局は13時に再開されます。

(紋蛇)