防衛にあと1勝と迫った藤井棋王。
【藤井棋王の談話】
――序盤は▲4五桂(37手目)と積極的に指されていた印象がありましたが、いかがでしたか。
「それほど前例は多くない形ですけど、やってみようかなと思っていました」
――▲6七歩(61手目)のところ、検討では▲6四歩の攻め合いも出ていました。その手は考えられましたか。
「そうですね、▲6四歩が利いているかどうかわからなかったんですけど。どこかで4五の桂が取られる形なので。△6六桂のキズを気にしたんですが。ただ、そうですね、▲6七歩だとやっぱり△8一飛と形よく引かれる手を許すことになるので。それで玉を安全に指してどうかなと思ってはいたんですけど。その手段が思ったより難しかったかなという印象はありました」
――▲2六金(67手目)から▲1七角と打った辺りの手応えはいかがでしたか。
「ちょっと後手が△2四歩から手厚い形にされる前に動いていく必要があるかなと思ったのですけど。ただ、ちょっと窮屈な形になってしまって。1七角がさばけない懸念がかなりあるので。あまりうまくいっている感じではないかなと思っていました」
――▲2七飛(83手目)と飛車を切られた辺りの形勢はどう見ていましたか。
「どうなっているか際どいところかなと思ったのですけど。攻め込まれてしまうとはっきりダメになってしまうので。手としては仕方がないかなと思っていました」
――よくなったのはどの辺だとお感じでしょうか。
「▲5五香(93手目)と打って、攻め合いで△4八と~△5九とが、まだ詰めろではないので。少しいけていてもおかしくないかなとは考えていました」
―― 一局全体を通しての感想をお願いします。
「中盤、いったん局面が収まったところがあったのですけど。そこでどういう構想で指すかが非常に難しかったなと思います」
――防衛にあと1勝となりました。次局に向けての抱負をお願いします。
「そのことは意識せずに、いい状態で臨めるように調整していきたいと思います」
伊藤七段は後がなくなった。
【伊藤七段の談話】
――△6五歩(44手目)に52分、△3八角(46手目)に1時間22分使われて、連続の長考となりましたが。この辺りはいかがでしたか。
「あまり認識のない展開になって。どういう方針で指すか、一手一手難しかったです」
――△2三金(70手目)と指されたところで、△3三桂が検討されていました。その手は考えましたか。
「△3三桂も比較したんですけど。ちょっと苦しいかなと思っていました」
――▲2九飛(81手目)に△1七歩成と指された辺りはいかがでしたか。
「▲2七飛から▲1一香成で、そのあとの▲6四香の厳しさをちょっと軽視していたので。あの辺りでもう少し違った手で頑張るしかなかったかなと思います」
―― 一局を通しての感想をお願いします。
「△2七角成(48手目)から馬を自陣に引き下げて行ったんですけど。その馬が負担になる展開で。ちょっと苦しい将棋だったかなと思います」
――次局に向けての抱負をお願いします。
「一局でも多く指せるように頑張りたいと思います」
(八雲)