2024年2月24日 (土)

後手に形勢の針が傾く

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控室の久保九段に▲8六金の局面で見解を聞きました(写真は藤井側から見た盤面)。

「後手が勝ちやすいと思います。先手は竜を後手陣から追われたので、7筋を攻めるしかありません。しかし、守りの金を繰り出して攻めるしかないようでは、自玉が薄くなって反動がきついです。後手がどうも手厚くなっています。途中は後手玉の守り駒が金1枚しかなかったときもあったんですけど、不思議ですねぇ。 

▲8六金に△6六歩がありそうです。飛車取りなので▲6九飛と回りますが、△6七歩成に▲同飛が王手にならないので後手の攻めが続きます。▲8六金の直前に指された△6三桂が、飛車の直接を遮る攻防手になるので」(久保九段)

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ちなみに、継ぎ盤に使っている駒も、被災した塩井さんが全壊した自宅から見つけたものです(大阪府在住の駒師・棋楽こと林田英男さんの作品)。タイトル戦に何度も使われたことがあり、駒箱には生々しいキズがありました。谷川十七世名人はその話を聞き、「駒箱が駒を守ってくれたんですか……」とつぶやきました。

Dsc_1286(キズだらけの駒箱。写真では見えない部分も、表面がえぐれていた)

(紋蛇)