2023年3月19日 (日)

終局直後

Dsc_3886(終局直後)

Dsc_3891(藤井竜王は棋王を奪取。史上最年少の六冠を達成した)

Dsc_3918(敗れた渡辺棋王。連覇は10で途絶えた)

【藤井竜王の談話】

――本シリーズで、角換わりは4局目でした。渡辺棋王の▲5六角に△6五歩から△4四角と反撃として中盤戦です。あの辺りはどうでしたか。

藤井 (▲4五桂の仕掛けに)△2二銀と引いて、しばらく壁銀が残ってしまう形なので、うまくバランスがとれるかどうかと思って指していました。

――▲8三桂に長考されました。

藤井 ▲8三桂と打たれて、△6五歩は自然に駒をさばけてしまう感じがあるのであまり指したい手ではなかったんですが、ほかの指し方も難しいのかなと思ってやっていました。

――▲5六香に△5四歩▲同香△5二歩と受けましたが、検討では△5二歩に代えて△4七銀も出ていました。

藤井 △4七銀と打っていくか迷ったところだったんですけど、本譜はそのあと結構攻め続けられて、最終的に角を取られてしまう形になってしまったので、攻め合いにいくタイミングをうまく図れなかったのかなという気がしています。

――終盤はどちらが勝つか分からない大熱戦でした。

藤井 終盤はずっとどうなっているかわからないままやっていました

――勝ちを意識されたのは?

藤井 △7六銀と打って、攻めが続く形になったかと思いました。

――本局の全体の感想をお願いします。

藤井 駒割りや陣形が非対称な将棋で、判断の難しい局面が続いた一局だったかと思います。

――本シリーズを総括してください。

藤井 角換わりの将棋で、非常に難しい将棋ばかりだったと思うので、しっかり振り返って次につなげていけたらと思います。

――棋王位を奪取されました。

藤井 本局は最後までまったくわからないまま指していたんですけど、何とかよい結果を出すことができて、うれしいです。

――羽生九段に続いて2人目、そして史上最年少の六冠となりました。

藤井 まだまだ棋力的に足りないところが多いと思うので、立場にふさわしい将棋を指せるように一層、頑張らないといけないのかなと思います。

――今年度(2022年度は2022年4月~2023年3月)の対局はすべて終了しました。振り返っていかがでしょうか。

藤井 7月以降は対局の多い時期が続いたんですけど、そのなかで勝負強く指すことができたのは収穫だったかなと思います。

――新年度の抱負をお願いします。

藤井 4月から名人戦をはじめに重要な対局が続くので、そのなかで少しでも強くなれるように頑張っていきたいと思います。

【渡辺棋王の談話】

――▲5六角や▲8三桂と工夫したあたりはどうでしたか。

渡辺 そうですね。その局面になったらやるつもりだったんですけど、ちょっと変な手なので、あまり成算はなかったですね。

――本局のポイントはどの辺りですか?

渡辺 分かれが駒損になってしまったので、その分だけずっとつらいのかなと。駒損をなかなか解消できなかったので。

――終盤はいかがでしたか。

渡辺 もうちょっとあった気はするんですけど、もう少し息長く指す手があったかどうかわからないですけど、その辺りの判断が。ちょっと駒損なので、息長く指していいことがあるかどうか、分からなかったですね。

――本シリーズを振り返ってください。

渡辺 負けてしまった将棋があまりチャンスがなかったので、もう少しチャンスがある将棋にしないとなかなか結果はついてこないですね。

――これまでの10連覇を振り返っていかがだったでしょうか。

長い年月(五番勝負に)出場させてもらったので、色々な思いではありますけれども、また出場できるようにやっていきたいと思います。

――4月からの名人戦の抱負をお願いします。

渡辺 あまり間をおかずにという形になるので、今回の棋王戦を振り返りつつ向かっていけばいいかなと思います。

(紋蛇)