2016年2月19日 (金)

両対局者にインタビュー

花束贈呈に続いて、渡辺棋王と佐藤八段にインタビューが行われました。

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――お互いの印象は?
渡辺 皆さま、改めましてこんばんは。えー、そうですね、佐藤天彦君とは14年以上友人でいるんですけど、将棋の棋風も互いに違いますし、私生活も互いにいろいろ違う……まあ彼はけっこう独特な趣味を持っているというか、趣味が変わってますので、まあ、そのへんは自分で話してもらえればと思いますけど。今回こういう大きな舞台で戦えるのはうれしくもあり、やりがいもあります。私にとっては4連覇を目指す負けられない戦いではありますので、いまどうしようかと策を練っているところです。
佐藤 皆さまこんばんは。僕は趣味がクラシック音楽とか洋服を買うこととか、棋士の中では珍しい趣味ということで、独特の価値観を持っているということになっていると思います。渡辺さんの印象は、すごくさばさばした江戸っ子、と思っています。普段会っているときは踏み切りのよさがあるんですけども、会っていないときに実は友だちのことを考えてくれているのかな、ということを感じ取れる印象があります。将棋では大変な戦略家で、いろいろと策を練られてくるということを、この1、2ヵ月で身にしみたので、それを跳ね返せるように頑張りたいです。

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――金沢はいかがでしょうか。
佐藤 僕は初めて来ました。出身が福岡なので遠いという印象があったんですが、東京に住むようになって、北陸新幹線も開通したということで、身近な存在になったという感じがします。金沢の印象としては、伝統文化が息づいている町というのがいちばんの印象だったんですけれども、ちょっと調べてみると現代芸術の美術館ですとか、オーケストラ・アンサンブル金沢という日本有数のオーケストラが、個性的なオーケストラという印象があるんですけども、あるということで、かなり多様な価値観というか、新しい物を取り入れつつ、古きよきものを大切にされている町なのかな、という印象です。
渡辺 駅の雰囲気がすごい変わりましたね。食べ物はこちらの海のものがすごい好きですし、普段旅行に行くときは食べ物や温泉を狙って行くので、ここからちょっと足を伸ばすと温泉があるんですけども、そういう旅行も、新幹線が通ったことで行きやすくなったなと思いますね。

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――明日の対局に向けての意気込みを。
渡辺 こちらでは何度も対局させていただいています。棋王戦だけでも5回目ですかね。ほかの棋戦でも金沢で対局しているんですけど、実は一度も負けたことがなくて……(会場から拍手)。3回、4回とやって1回も負けたことがない、という土地はほかにないので、いまのところですが、日本でいちばん相性のいい対局場なんですよね。なのでそれを継続できるように、明日も頑張りたいと思います。

佐藤 渡辺さんにとってこの町が相性のいい土地だということは聞いていたんですけど、まさかそこまで負けていないとは思っていなくて。それだけ対局して負けないというのは、タイトル戦はトップ棋士同士の戦いですから、珍しいことだと思います。ただ僕も、燃えるといったら変ですけど、自分が止めるんだという意気込みです(会場から拍手)。第1局は負けていて、金沢対局は僕にとってピンチなのかもしれないですけど、ここを契機に巻き返しを図れるように明日は頑張りたいと思いますので、応援をよろしくお願いします。

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(最後に子どもたちからの質問コーナー。「最近負けていちばん悔しかった対局は何ですか」と尋ねられた佐藤八段、「厳しい質問ですね」と苦笑い。渡辺棋王は順位戦A級の対佐藤八段戦を挙げ、「今回は10倍にして返します」と意気込んでいた)

(書き起こし=虹、写真=文)