過去の手に光を当てる 渡辺棋王の指した△7二玉(図)が珍しい手で、実戦例が少ない。数だけで言えば代えて△9九馬が圧倒的に多いところだ。山崎八段は「渡辺棋王が過去の手を拾い上げた」と話す。これまで主流にならなかったことにはそれなりの理由があるのだろうが、渡辺棋王はその先を見通しているのだろうか。対局室では三浦九段が頬に手を当て、じっとうつむいている。その姿は、過去の変化を思い出そうとしているようにも見える。 (文)