超急戦はしっかり玉を囲う戦いとは異なり、互いに玉が露出しやすく一発が致命傷になりやすい戦型だ。山崎八段は「単発の攻めではなく、どう拠点を作って相手玉に迫っていくか、というところがポイントになります」と解説する。図は渡辺棋王が△6一香(図)と据えた局面。成香で飛車は取られるが、そうした「単発の攻め」よりも、6筋に力を足して先手玉に迫るほうが厳しいというわけだ。図から▲5二成香△同金左と進めば、後手陣はしっかりした金銀の壁ができる。
堅い玉形から、たとえ細くとも攻める展開に持ち込むのが渡辺棋王得意のパターン。本局もいつの間にかそんなパターンに進みつつあるようにも見える。
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