田中九段
「第1期の棋王戦は三者で対局をしまして、大内延介棋王(当時)が誕生したとき、私二段でした。記録係をしておりました。いずれは棋王になろうと思って記録をつけていたんですが、これまで37期の中で、一番よかったのが挑戦者決定戦まで進んだときでした。なので、先ほどまでいた両対局者を、うらやましくてしょうがない、仕事を忘れて選手の気持ちで見てしまいました。
今日はおいしいお酒とおいしい食べ物をいっぱいいただきまして、明日は木村八段と本田さんの名解説のジャマをしにいっぱい出ていきます。皆さま、お仲間を連れて大盤解説会にどんどん来てください。今回はニコニコ生放送でもオンエアされます。Twitterにも今日の写真をだいぶ投げましたので、そういうところもフォローしていただければと思っています。
今は『次の世代に伝える』ということを一生懸命やっております。そうした私の気持ちを書いた『将棋世界』という機関誌もありますので、そちらもお読みいただければと。「週刊将棋」もあります。そして一番大事なのは、新潟日報をご親戚の方々におすすめいただくことです。どうもありがとうございました」
対局者が前夜祭会場をあとにして、明日の見所が語られた。中央はサプライズゲストの飯島栄治七段。
木村八段、本田女流二段が登壇した後、サプライズゲストの発表が。飯島栄治七段が前夜祭に来ていたのだ。
木村 なんかすみっこの方で「いるなー」と思ってたんですよ。隠れるようにしてね。
飯島 どうも先生お久しぶりです。
木村 昨日ね、会ってね。私は負けたんですけど、こっち(飯島七段)は勝ってて、うれしそうにしてますね。
飯島 昨日の話はやめましょう(笑)
木村 いや私ね、冬の新潟は初めてなんですよ。夏は何回か来たことがあるんです。本田さんも来たことあるんでしょ?
本田 私も、新潟は年にニ、三回くらいは。
木村 一番ゆかりがあるのは……(飯島七段を見る)。新潟に来て飯島さんの悪口を言うとまずい、という噂があるんですよ。
飯島 そうですね、えー。そちらにいるんですけど、支部の副会長の娘さんが、私の妻なんです。
木村 今月号の『将棋世界』っていう雑誌がですね、先ほど田中理事も宣伝してましたけど、最近出たんですよ。そこでですね、「自分の奥さんが一番」って題材で佐藤康光さんと対談をしてるんですよ。ね? あれ、違ったっけ?
飯島 ちょっと、棋王戦と全然関係ないじゃないですか。……はい、そういった感じでやらせていただきました。はい。
木村 ぜひ読んでいただきたいと思います。
木村 で、第1局ですよ。うーん、よくわからないというのが正直なところとしてありまして、ほんとにわからないのが今回の組み合わせですね。対戦成績が結構似通っているんですよね。
飯島 先生も今回立会が初めてで。
木村 そうなんですよ。懇親を深めすぎて明日寝坊しないように、中継で「あれ、立会人いないんじゃないか?」なんて言われると困るので、早起きが一番です。寝坊したら(飯島七段を見て)、代わりにね。
飯島 え、ちょっとぼくは。
木村 大丈夫、寝坊しませんから。ところで飯島さんは久保棋王と郷田九段、どっちが勝つと思いますか。
飯島 あ、明日ですか。
木村 明日の展開です。
飯島 えー、そうですね、……難しいとかじゃダメなんですよね。そうですね、私はですね、えー、今の将棋界の流れからすると、振り飛車の流れもあるので、久保棋王かな、と思います。
木村 本田さんはいかがですか?
本田 そうですね。お二人の調子はどうなんでしょうか?
木村 二人とも悪くないと思いますけどね。
本田 久保先生は一時期調子が悪そうな感じもしたんですが……。
木村 そうですねえ。でもタイトル取ってる人は違うんですよ。こういう番勝負になってくると、「なんだ!?」って感じの力を出すんですね。こうグン、と調子を伸ばす。それがタイトル戦に慣れてる人の特徴だと思うんですよね。それは侮れないなと思います。
飯島 先生は両対局者とはどうなんですか? 対戦成績というか……。
木村 両方とも分が悪いですよ! なんてことを聞いてくれるんだ(笑)
木村 この両者は、棋風とか考え方っていうのがおそらく正反対ではないかという気がするんですね。久保棋王は軽快です。
飯島 さばきですよね。
本田 さばきのアーティスト!
木村 そう、芸術的にね。どういうことかというと、駒を大事に使うんですよね。有効に使う。それに対して郷田さんは力で押すタイプ。こういう戦いには熱戦が多いです。今回第1局でしょう。お互い番勝負の中でやりたい戦型とか、試したい戦型とか、そういうのが出て来やすいかな、という気がします。
木村 でね、今日行きの電車でね、郷田さん静かでしたね。リラックスした感じでした。久保さんは飛行機で来たんですよ。どういう感じか、リラックスしていたかどうかはわからないんですけど、色紙に書いた文字を忘れてる時点でリラックスしている気がしますよね。それ以外はまったく予想がつかないいんですが、郷田さんが力戦に持ち込むのかな、という気はしますね。これは単なる予測でわからないんですけどね。というわけで、飯島さんは「久保乗り」と言いましたね。
飯島 先生はどうなんですか。
木村 私は立会人ですから言えません! 本田さんはどうですか。
本田 私は電車で『将棋世界』を読みながら来たんですけど、飯島先生の話も読ませていただいて、はい。(郷田九段の)意気込みも書いてあったので、久しぶりの挑戦ということで、気合の入った対局になるということを感じました。もしかしたら第1局勝たれるような、という気もします。
木村 明日の解説会、棋王戦は(持ち時間が)4時間ということで、テンポよく進むと思いますので、お越しいただいたお客様は飽きることはないんじゃないかな、と思います。私と聞き手の本田さん、あと飯島七段もつねにいるという話を聞きました。いいんですよね?
飯島 ええ。あ、ちょっとここで漫画の宣伝を……。
~飯島七段監修の将棋漫画『王狩』のサイン本抽選~
木村 皆さん、漫画の方よろしくお願いします。解説も一生懸命やらせていただきますので、よろしくお願いします。
前夜祭の最後に『王狩』(講談社)のサイン本が飯島七段より3冊プレゼントされた。