2017年11月21日 (火)

両対局者の退場後、登壇した棋士と女流棋士が、明日の展望などを語りました。

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――広瀬八段は明日の対局をどのように見ていますか。

広瀬 前期は里見さんがストレートで加藤さんから女流王座を奪取しました。加藤さんとしてはリベンジの舞台が整ったといえそうですね。

――あと1勝でタイトル奪取、あと1敗でタイトル失冠、そのいずれも広瀬八段は経験されていますが、対局前夜はどのような気持ちで過ごすものなのでしょうか。

広瀬 タイトル奪取は23歳のときで勢いがありました。なるようになれ、という気持ちでぶつかっていった記憶があります。タイトルを守る側のほうがプレッシャーがあります。対局前夜にできることは限られていますから、リラックスして過ごすのが大事だと思います。

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――中尾五段は静岡県出身ということで、加藤さんのこともよくご存じではないですか。

中尾 加藤さんが小学生のころ、飛車落ちくらいで指導対局をしたことがあります。見事に負かされまして、強い小学生だなと思いました。

――明日はどのような戦いになるでしょうか。

中尾 里見さんはカド番で負けられない戦いですので、作戦に注目しています。戦型としては第1局や第2局と同じように、里見さんの中飛車、加藤さんの居飛車になると思います。

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――藤田女流二段と室谷女流二段は、対局者のおふたりにはどのような印象をお持ちですか。

藤田 勉強熱心で最新形をよく指されています。また、終盤が鋭いので、ふたりの対局はいつも大熱戦になるという印象があります。明日もそんな対局になるのではないかと思います。

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室谷 よくお話しさせていただきますし、対局したこともあります。ふたりとも普段はとても穏やかなのですが、盤をはさむと怖いくらいで別人のようです。今期はここまで加藤さんが2連勝、それも里見さんの得意戦法を破ってきたということで、とても充実していると感じます。ただ、里見さんもこのような状況は何度も経験されていると思うので、簡単に負けるとは考えられません。明日の対局が楽しみです。

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(閉会のあいさつはリコージャパン株式会社、脇永勉静岡支社長から)

(書き起こし=牛蒡、写真=文)

両対局者は里見女流王座、加藤女王の順にあいさつ。藤枝市立岡部小学校6年の山田志路さん、同3年の山田大資さんから花束が贈られ、記念撮影の後に会場をあとにしました。

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■里見香奈女流王座

本日は温かく歓迎してくださいまして本当にありがとうございます。名人戦やA級順位戦が行われた場所で対局できるのは幸せなことです。明日は自分の力をすべて出しきれるように、時間をいっぱい使って頑張りたいと思います。関係者の皆さま、静岡の皆さまには感謝しております。ありがとうございます。その思いを忘れずに明日は対局したいと思います。

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■加藤桃子女王

牧之原市出身の加藤桃子です(会場拍手)。本日はお忙しいところ、こんなにたくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございます。また、地元の皆さま、いつも温かく迎えていただきまして、ありがとうございます。昨年、静岡の皆さまには大変ご心配をおかけしたことも多かったと思います。皆さまから励ましの言葉をいただいて、なんとか回復することができました。いつも見守ってくださって、ありがとうございます。いまは東京に住んでいますが、富士山のふもとの水や牧之原のお茶を取り寄せて飲んでいます。静岡の心を忘れることはございません。明日は静岡県民らしく、まっすぐ向かっていって、伸び伸びと指したいと思います。

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(書き起こし=牛蒡、写真=文)

18時30分から前夜祭が始まりました。

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■開催のあいさつ
株式会社リコー 古島正執行役員

リコー杯女流王座戦も7期目を迎えました。女流のタイトルホルダーは里見さんと加藤さんの2人しかいません。女流棋界のツートップの戦いといえます。ここまでは加藤さんが2連勝しています。里見さんが黙っているわけがない、と思っている人は少なくありませんし、加藤さんは前期3連敗で敗れているので今期は期する思いがあるでしょう。明日の対局をぜひご注目いただければと思います。

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■主催者あいさつ
日本将棋連盟 佐藤康光会長

私も浮月楼で対局したことがあります。第72期順位戦A級9回戦(2014年3月)でした。当時も大変な歓迎と注目を受けまして、静岡の皆さまの将棋熱を感じました。明日は大盤解説会をはじめとして、さまざまなイベントがありますので、楽しんでいただければと思います。
今期の五番勝負が始まる前、日本経済新聞に展望記事が掲載されました。それによりますと、里見さんは最近、うまく休むことを心がけているそうです。加藤さんは部屋の掃除に凝っているそうです。リラックス方法は人それぞれですね。両対局者におかれましては、明日も素晴らしい対局を見せていただければと思います。

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■開催地あいさつ
静岡市役所観光交流文化局 和田明久局次長(田辺信宏静岡市長のあいさつ文を代読)

リコー杯女流王座戦が5年連続で静岡市で開催されることは大変よろこばしく、また光栄なことであります。当市では2012年の第70期名人戦七番勝負第4局に始まり、国際将棋フォーラムや「将棋の日 in 静岡」など、毎年さまざまな将棋イベントを開催しており、今年度は3月にA級順位戦を「名人戦第0局」と銘打ちまして開催いたします。将棋を通じて、地域の魅力向上に成果を挙げております。これもひとえに関係の皆さまのご支援の賜物であり、この場を借りて厚く御礼申し上げます。結びとなりましたが、明日は里見香奈女流王座と加藤桃子女王のご健闘を祈念しております。

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(加藤女王の出身地、牧之原市の坪池洋教育長が乾杯の音頭をとった)

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■棋士代表
立会人 広瀬章人八段

本日は活気に満ちあふれた前夜祭で、静岡の将棋熱を感じることができました。浮月楼でリコー杯女流王座戦が行われるのは5年連続5回目ということで、お馴染みの対局場として定着してきたかと思います。里見女流王座は保持している五冠のうち、いくつかのクイーン称号を手にしており、女流棋界の第一人者としての地位を確立されています。加藤女王はあと1期で初代クイーン王座の称号を得ることができます。おふたりとも将棋に対して真摯で、私も尊敬しています。明日は熱戦、名局を期待しています。私も立会人として、しっかりと見届けたいと思います。

(書き起こし=牛蒡、写真=文)

記念撮影を終えて15時半ごろ、予定の16時よりも早めに検分が始まりました。立会人とともに、使う盤と駒や、照明、空調の具合を確認します。浮月楼はこれまでに何度も対局が行われた場所とあって、特に問題はなく、検分は和やかな雰囲気のうちに数分で終了しました。使われる盤と駒は日本将棋連盟から運んだもの。駒は大竹竹風師作、菱湖書の盛上駒です。

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対局場の浮月楼に到着した両対局者は、記念撮影を行いました。今回は対局と同時に開催されるイベントに、中尾敏之五段、藤田綾女流二段、室谷由紀女流二段が出演します。

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里見香奈女流王座に加藤桃子女王が挑戦する第7期リコー杯女流王座戦五番勝負。開幕から挑戦者の加藤女王が2連勝し、復位まであと1勝に迫りました。里見女流王座は正念場のカド番です。第3局は11月22日(水)、静岡県静岡市「浮月楼」で行われます。立会人は広瀬章人八段、記録係は小高悠太郎三段(所司和晴七段門下)。インターネット中継は棋譜・コメント入力を牛蒡、ブログを文が担当します。

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2017年11月11日 (土)

大盤解説会場から対局室に戻った両対局者は、感想戦をはじめました。

Photo_184 (対局室に戻った両者は、感想戦をはじめた)

Photo_185 (まだ硬い表情の続く加藤女王)

Photo_186 (里見女流王座はやや元気がなかった)

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主催者インタビューが終わったと、両対局者は感想戦に先立ち、大盤解説会場に移動してファンの前に現れました。

Photo_178 (解説会場に姿を見せた両対局者)

Photo_179 (一局を振り返る加藤女王)

Photo_180 (里見女流王座には笑みが見られた)

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Photo_173 (勝って2連勝とし、女流王座奪還まであと1勝とした加藤桃子女王)

Photo_174 (敗れた里見香奈女流王座。逆転防衛には、3連勝より道がなくなった)

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主催者より、まずは加藤女王に勝利者インタビューが行われました。

――本局を振り返ってください

加藤 序盤は自分らしく意欲的に動いていきました。昼食休憩明けうまくいっているかどうか分からず、ジリジリした展開が続きました。5九の角が使える見通しが立てばと思っていました。

――どのあたりで見通しが立ちましたか

加藤 ▲6四同馬(107手目)と馬を切ったあたりでいけるかなと。

――これで2連勝となりました

加藤 本局は自分らしい将棋が指せたと思うので、第3局でも自分らしい将棋が指せればと思います。

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続いて、里見女流王座にも主催者インタビューが行われた。

――本局を振り返られていかがですか

里見 角金交換になって、昼食休憩明けに中央から動いていったのですが、もうちょっとゆっくり指すべきだったかもしれないです。

Photo_177 (加藤女王はまるで敗れたかのように、目を閉じ、言葉を詰まらせながら主催者インタビューに答えていた)