次回の女流王座戦は明日７月29日（水）、甲斐智美倉敷藤花－中村真梨花女流三段戦、中井広恵女流六段－西山朋佳奨励会二段戦の２局を中継いたします。本日はご観戦ありがとうございました。

（本局の棋譜）

──　一局を通しての感想は？

里見　慣れない形だったので不安もありましたが、一局の流れとしては自分の力を出せた展開だったと思います。

──　どの辺りで優勢を意識しましたか？

里見　良くなったかなと思ったのは本当に最後の方ですね。△５七と（78手目）と寄せた辺りです。

──　２年ぶりの女流王座戦でしたが、その点はどのような心境でしたか？

里見　昨年は本当にご迷惑をおかけしてしまったので、その分、対局に向かう姿勢を一番良い状態にして挑んでいきたいと思います。本当にスポンサーの方が温かく見守ってくださって、時折メールなど頂いたりして、それが励みになり嬉しかったので、とても感謝しています。

──　次戦の相手は井道千尋女流初段です。印象は？

里見　育成会のときから何局も指していますけど、久しく当たっていなかったので（2011年12月の大和証券杯以来）楽しみですね。

──　体調の方はどうですか？

里見　（復帰直後のときと比べて）あまり変わりはないですけど、気持ちの面ではかなり楽になっています。

（感想戦の様子）

（感想戦は15時20分に終了しました）

（終局直後の様子）

（復位へ向けて好発進の里見香奈女流二冠）

（本田小百合女流三段は積極的に仕掛けたが届かなかった）

▲本田小百合女流三段－△里見香奈女流二冠戦は、14時55分、80手で里見女流二冠の勝ちとなりました。消費時間は▲本田女流三段２時間６分、△里見女流二冠１時間22分。

勝った里見女流二冠は２回戦で井道千尋女流初段と対戦します。

再開後の▲２九飛の後、△４六歩▲２四歩△１八角（第１図）と進みました。

ここで本田女流三段は強気に▲２三歩成とし、△２九角成▲３二と△同玉（第２図）の進行を選びます。しかし棋士室の検討陣からは「（後手玉の）右辺が広いので余していそう」との意見が多く、後手がはっきり良くなったのではないか、と言われています。

（飛車を見捨てて敵陣に踏み込んだ本田女流三段。ここでうまい継続手があるか）

13時になり対局が再開しました。ここからは終局まで休みなく指し継がれます。

（本田女流三段は再開15分前に着席）

（再開後の指し手は▲２九飛だった）

（12時30分頃の対局室。すでに里見女流二冠が席に戻っている）

（女流王座復位を目指す大事な初戦。局面は勝負所を迎えている）

時刻は12時10分になりました。50手目△３七歩成に対し、本田女流三段の考慮時間が11分を記録して昼食休憩です。ここまでの消費時間は▲本田女流三段１時間３分、△里見女流二冠44分。

昼食の注文は両者ともにありません。対局再開は13時です。

翌年、第３期の挑戦者決定戦は、里見女流三冠（当時）の５筋位取り中飛車から相穴熊へと進展。第１図の△５二金に本田女流三段が▲５六歩△同歩▲同金と仕掛けて戦いが始まりました。

互いに強気な攻め合いが続く中、迎えた第２図。△６七銀は▲同金なら△７九とを見た捨て駒ですが、銀を取らずに▲７二歩と打ったのが鋭手で、以下△８二金▲７一歩成△７九と▲同金△７八銀打に▲６一飛が詰めろで先手優勢。このまま本田女流三段が勝ち切るかに思えました。

ところが最終盤。第３図の△５四同金に▲７五金打としたのが痛恨の失着。すかさず△６八龍と入られて逆に受けなしに追い込まれました（代えて▲４三飛成なら先手勝ち）。大逆転で挑戦権をつかんだ里見女流三冠は、その勢いで五番勝負を制し、女流王座獲得を果たしています。