2020年11月10日 (火)

A7304492(終局直後、主催紙のインタビューが行われた)

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【里見女流四冠の談話】
――全体を振り返って。
「早い段階で仕掛けて、分かれはまずまずと思っていましたが、終盤はずっと難しいと思っていました」

――△8一歩(60手目)から受けに回った手が控室でも「すごい」と評判でした。
「いざその局面になると、ほかの手も見えたんですが、(△8一歩は)予定だったので本譜の進行でどうなのかなと」

【西山女流王座の談話】
――全体を振り返って。
「無理気味な食らいつき方で、読みにない手が多く、細い攻めをつなげられなかったなと思います」

――読みにない手というのは、具体的にどの辺りでしょうか。
「▲6四歩(67手目)には、△6二銀だと思っていましたし、▲6二銀成(75手目)には△3一金だと思っていたので、その場で考えることが多かったです」

20201110_88図は8九にいた飛車で△5九飛成と金を取った局面。▲5九同金に△3九銀で、先手玉は寄り筋に入っているようです。里見女流四冠の勝ちが近づいてきました。

20201110_84時刻はまもなく17時。図は里見女流四冠が△6六角と攻防の角を放った局面です。と金の存在が大きく、形勢は後手よしと見られています。先手玉は次に△7九飛と打ち下ろされると安全とはいえない形になるので、あまりゆっくりできない状況です。

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明治記念館から5分ほど歩くと、都内の観光スポットとして有名なイチョウ並木が見えてきます。紅葉の見頃は例年11月下旬から12月上旬なのでまだ早いですが、場所によっては、きれいに色づいた葉もありました。

A7304067(イチョウ並木は青山通りから明治神宮外苑まで続いている)

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A7304073(奥に見える建造物は……)

A7304126(聖徳記念絵画館)

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図は15時過ぎの局面です。先手は歩切れの上、後に△1五歩▲同歩△1七歩の端攻めが嫌み。里見女流四冠がうまく立ち回っているようです。とはいえ、西山女流王座も黙ってはいません。図の▲3六桂がひねり出した一手。舟囲いに対しては▲4六桂~▲3四桂が手筋ですが、本譜は4四角を移動させるのが急務と判断しています。対して(1)△3三角なら▲7五銀△8九竜▲6四歩に△同銀左が竜取りになりませんし、(2)△3五角は▲7五角△8九竜に▲6六角と歩を払うことができます。

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14時30分になり、両対局者に午後のおやつが出されました。注文は西山女流王座が「フロマージュ・フレーズ、紅茶」、里見女流四冠が「柿、カフェオレ」です。里見女流四冠が頼んだ柿は、昼食の「幕の内弁当」についていたデザートです。

A7304475_2 (西山女流王座のおやつ)

A7304487_2 (フロマージュ・フレーズ)

A7304485_2 (里見女流四冠のおやつ)A7304483_2 (柿)

※対局者と同じものを注文して撮影しております



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上図は13時30分頃の局面。ここで△4四角が柔軟な一着でした。▲7三歩成を防ぐなら代えて△8二角ですが、▲9七桂と跳ねられて▲8五飛のぶつけを狙われる順が気がかりです。本譜は△4四角以下、▲7三歩成△同桂▲同飛成△8九竜▲7一竜(下図)と駒の損得なしで終盤戦に突入しました。

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