2021年9月17日 (金)

第11期リコー杯女流王座戦五番勝負は下記の日程で行われます。


第1局
 10月28日(木)
 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
 https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/

第2局
 11月15日(月)
 神奈川県横浜市「ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル」
 https://www.icyokohama-grand.com/

第3局
 12月7日(火)
 神奈川県秦野市「元湯陣屋」
 https://www.jinya-inn.com/index.php/topic/home_ja

第4局
 12月13日(月)
 東京都渋谷区「東京・将棋会館」

第5局
 12月20日(月)
 東京都渋谷区「東京・将棋会館」

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―― 一局を振り返っていかがでしたか。

里見 積極的にいったのですが、うまくまとめられて、△3六歩と取り込まれてしまうと自信がないのかなと。

―― よくなったと思われる局面は。

里見 最後の方ですね。飛車を取って、▲5六金打が入ってですかね。攻めに専念できるようになったので。

―― 西山女流王座との対戦で、3年連続での対戦になりました。タイトル戦の抱負と西山女流王座の印象を。

里見 また五番勝負が戦えるので、しっかり準備していきたいと思います。西山さんは振り飛車党で力戦の将棋をうまく指しこなされるので、しっかり対策を立てて挑めたらいいなと思います。




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―― 今日の将棋、全体を振り返っていかがでしたか。

伊藤 具体的にわからなくて、難しい将棋だったと思います。

―― どのあたりで形勢を損ねた印象ですか。

伊藤 こちらだけ玉が薄くなり、近くに馬がいる状態で、どうしても攻めていくと駒を渡してしまいますし。形勢としては頑張る順があるかなと思ったのですが……。

―― コロナもあって今回は、大変な状況だったと思います。あらためて今期の女流王座戦を振り返っていただけますか。



伊藤 準決勝の将棋は、私が感染したことで延期になってしまいました。スポンサーの方や対局者の山口(恵梨子女流二段)さんに、本当に申し訳ないと思っています。対局をさせていただくことが本当にありがたいことだと、あらためて思いました。
本局は療養期間を経て、万全の状態でと思っていまして、無事に治ったので。体力面とかいろんな面で戻していきつつ、戦っていけたらと思っていました。

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109手で里見女流三冠が勝ち、挑戦者になりました。終局時刻は16時21分。消費時間は、▲里見女流三冠2時間38分、△伊藤女流三段3時間。第1局は10月28日(木)東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われます。

対局室では感想戦が行われています。

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図は後手が△7五銀と打った局面。飛車取りに当てながら上部を厚くする手で、上部の開拓も虎視眈々と狙っています。伊藤女流三段は苦しい局面での粘りも持ち味。△7五銀はいかにも伊藤調、との評判でした。

しかし△7五銀に対する▲8八飛が冷静な一手。後手を引いて元気が出ないようですが、手番を渡された後手も攻めるとなると簡単ではありません。△4六銀と指したいところですが、▲4七歩と受けられると攻めが続かないようです。△3七銀打の突撃も駒の数が足りません。
△4六銀が利かないとなると陣形もしっかりしており、冷静に見れば先手が勝ちやすい局面との評判です。ただ、後手の駒も迫ってきており、先手も甘い手は指せない局面。少し前に比べれば頑張り甲斐が出てきたといわれています。

<消費時間>
▲里見香 2時間14分
△伊藤  2時間34分

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図は15時前の局面。
▲4一銀(67手目)から先手がうまく食いつく形を作り、順調にリードを広げています。後手の粘り方も難しく、先手がゴールに向かって進んでいるようです。ただ、後手玉に必至がかかるような局面ではなく、すっきりとした決め方もまだ見つかっていません。里見香女流四冠も慎重に時間を使っています。

<消費時間>
▲里見香 ▲1時間2分
△伊藤  △2時間21分

11_2 (伊藤女流三段。苦しい状況だが勝負形に持ち込むことができるかどうか)

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図は▲8六飛に後手が△3五銀と前に出たところ。受けの棋風の伊藤女流三段ですが、最も強い手で応じました。5筋が薄くなっていかにも危ない形ですが、受けに自信があるのだろうと控室でいわれていました。

「攻めてこい」と手を渡されて先手はどう指すか。▲5三歩成△同金▲3一角△3二飛▲5一銀△5二玉▲4二銀成△同飛▲同角成△同玉▲6二飛と決めにいくのは、△5二歩と打った形がしっかりしています。△3七銀の打ち込みや△7四角のラインがあるため、この変化は後手も戦えるようです。

里見香女流四冠の手が伸びたのは4筋。歩成りを利かさずにじっと銀を打ち、守りの要である金を攻めていきました。控室で新聞解説の長岡裕也六段も挙げていた一手で、鋭手との評判です。手の広く何を指せばいいか見えにくい局面でしたが、里見香女流四冠の手が急所を捉えました。
形勢は先手がリードしたのではないかと見られています。

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図は14時20分ごろの局面。先手が攻め、後手が受ける構図になりました。ここまでは棋風どおりの展開です。

▲5四歩(57手目)とコビンを攻めてきたのに対し、伊藤女流三段は△2五歩▲1七銀△6四歩と応じました。控室では「難しい戦い」の声が挙がっています。
先手からは▲5三歩成(1)△同金▲5四歩△同金▲8四飛の十字飛車と、(2)△同銀▲5五角の両取りの筋が狙いとしてありました。△6四歩はその2つを同時に防いだ一手。歩が防波堤の役割を果たしています。

先手の狙いを消している反面、▲3一角~▲6四角成の筋が生じているため、後手から△5四歩とは取りづらくなりました。伊藤女流三段がどうまとめていくかに注目です。

<消費時間>
▲里見香 1時間37分
△伊藤  2時間0分

9 (伊藤女流三段。力強い受けが持ち味だ)