2013年6月25日 (火)

本局もご観戦ありがとうございました。本局で本戦進出者が出そろい、トーナメントで加藤桃子女流王座への挑戦者が決まります。本戦トーナメントの組み合わせは後日発表されます。

感想戦終了後、両対局者へのインタビューを行いました。

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【中倉宏美女流二段インタビュー】

―― 本局を振り返って、いかがでしたか。
中倉「対振り飛車には居飛車穴熊が多かったのですが、最近は急戦を指すようになって、本局も急戦で行こうと決めていました。序盤に駆け引きがあって、△9八馬(52手目)までは予定でいいと思っていましたが、▲2六香(63手目)にわからなくなりました。△2二馬(64手目)と引くようでは自信がなかったです」

―― 山根アマの印象は。
中倉「山根さんが小学5年生の時に、彼女が出た大会の審判長として呼ばれて、初めて会いましたが、強い子だなと。こんなに早く公式戦で当たるとは思ってもみなかったですが、対戦することになってなんだか嬉しい気持ちでした。
終盤に最善の粘りを続けられ、もし時間が残っていなかったら間違えていたと思います」

―― 今年度に入ってから7連勝を記録するなど好調ですが。
中倉「2年前から居飛車党に変わり、勉強時間も増やしています。一度負けるとなかなか次の対戦がつかないので、一戦一戦を大事に考えています」

―― 久々の関西対局でしたね。
中倉「関西将棋会館での対局は2度目で、10年前(2003年5月)に森安多恵子女流三段(当時)と対戦して以来で、昨日のうちに場所を調べておきました。関西は雰囲気がまろやかで、いい感じに落ち着けます」

―― 本戦トーナメント出場への抱負をお聞かせください。
中倉「具体的な目標はまだ考えておらず、今はホッとしている状態です。3時間の持ち時間で指せるのはありがたいので、頑張りたいです」

―― ファンへのメッセージをお願いします。
中倉「今までなかなか見ていただける所まで勝ち上がっていなかったので、どういう将棋を指すのかを見ていただければと思います。以前は攻め将棋で前につんのめり、切れて終わるようなところもありましたが、経験を重ねて、焦らず指せるようになってきたと思います。その辺りも見ていただければと思います」

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(ふたり並んでインタビューを受ける。初めて会ったときの話が出ると、ふたりとも表情が緩んだ)

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【山根ことみアマインタビュー】

―― 本局を振り返って、いかがでしたか。
山根「自分の得意とする終盤の勝負に持っていけなかったのが残念です。急戦は予想外で持久戦だと思っていました。序盤で▲9八香(31手目)と上がった手がまずく、強襲され苦しくしたと思っていました」

―― プロ棋戦に出場しての感想を。
山根「3時間の持ち時間は初めてで、今までの対局とは全然違いました。対局するまでは長いように思っていましたが、実際にはあっと言う間でした。(女流王座戦を通じて)時間の使い方が悪かったと思います。本局では▲8五飛(65手目)をすぐに指してしまったことが悔やまれます。その辺りを課題にして今後取り組みたいです」

―― 今後の目標をお聞かせください。
山根「女流棋士を目指したいと思います」
(山根アマは現在、関西研修会のC2に属しており、1つ上のC1に昇級すれば女流3級の資格を得る)

(インタビュー・潤、写真・翔)

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図は△7七飛成の局面。これは△4五桂打▲同歩△同桂▲4六玉△5七竜▲4五玉△4四馬までの詰めろになっており、受けが難しいと見られています。後手陣はすぐには寄らず、中倉女流二段は寄せ切りを目指しています。

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局面は後手の銀得になっています。先手はふわりと▲6五飛と浮いて、▲8五飛の転回を見せました。対して後手は△7九飛と打ち込みました。△7六飛成と歩を補充する手も見せています。局面は攻め合いへと進みそうです。

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(対局開始直後の山根アマ)

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昼食休憩後、中倉女流二段は△8六歩と仕掛けました。午前中の鷺宮定跡の形から駆け引きがあった結果、今度は△6五歩早仕掛けの形になっています。

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ここで△7七桂が定跡ですが、本局の場合は△6六角が考えられます。定跡では▲9九香型。本局は序盤の駆け引きで▲9八香と上がっているため、△6六角▲同飛に△9八馬と香車を拾うことができます。

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(再開時、考える中倉女流二段)

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▲山根-△中倉宏戦は山根アマの四間飛車に中倉女流二段が鷺宮定跡を選びました。鷺宮定跡は米長邦雄永世棋聖や青野照市九段が育てた定跡で、ふたりが東京・鷺宮に住んでいたことからその名がつけられました。玉の堅さが重視されるようになった現在でもアマチュアを中心に根強い人気のある戦法です。

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(記録係の宮本光一5級による振り駒)