2025年3月 5日 (水)

Dsc_7557(共同会見に臨む福間女流王座)

感想戦終了後、対局室で防衛を果たした福間女流王座へのインタビューが行われました。

――シリーズ全体を通しての感想をお願いします。
福間 あまりない形になったかなと。第2局は意表を突かれたところもあったのですが、ただどの将棋も一手一手、考えて指せたかなとは思います。

――内容的に手応えはありましたか。
福間 自分の中で判断して要所で時間を使って読みを入れて指すことができたと思うので、そのあたりはよかったです。

――復帰されてから好調ですが、要因についてはいかがですか。
福間 今回、出産があって対局ができるかどうかわからない状況でしたので、周りの方々に支えていただいて、対局できることが本当にありがたいと思って指していました。勝負ではあるのですが、余計なことは考えずに盤に集中できました。

――過密日程が続きますが、ご自身のペースについてどう考えていますか。
福間 休んでいた期間は対局がずっとなくて実戦不足で少し不安はあったのですが、そのぶん対局ができることを今は楽しみで指しているような感じです。肉体的な疲れという面では不安はあるのですが、モチベーションとしてはすごくいい状態です。

――休場中は将棋にどのように向き合っていましたか。
福間 バタバタしているので正直、自分の時間を確保するのが難しいのですが、時間を見つけてやっているときの充実感はあります。今は(育児も対局も)両方ともいい息抜きになっているところがあります。成績や結果がいいからということもあるのですが、どうしても負けが込んでしまうときもあると思いますので、自分のペースを保って迎えられたらなと考えています。

――産休前と後で将棋に向き合う時間はどのぐらい違いますか。
福間 かなり違いますね。将棋が指せているのも家族の支えがあってのことです。将棋が指せていることがすごく幸せですし、家族にすごく感謝しています。タイトル戦を終えることができたのはスポンサーの皆さまのおかげですので、そういう気持ちが今はいちばん強いです。

――東京遠征は月曜日からの連戦になりますが、問題はなかったでしょうか。
福間 家を空けてしまうので大丈夫かなと思っていたのですが、私のほうは自由に時間を使うことができたので、すごくありがたいなと。

――復帰されて将棋観の変化などはありましたか。
福間 対局がなくて復帰したてですので、今は対局がすごく楽しいという感じで指しています。
(共同会見より抜粋)

Dsc_7545(4連覇や近況を語る福間女流王座)

Dsc_7586(真っ直ぐな視線で語る福間女流王座)

Dsc_7416(主催である株式会社リコーの諸星博コミュニケーション戦略センターメディアデザイン室室長から花束が贈呈された)

Dsc_7461(花束を手にする福間女流王座)

今期五番勝負の中継は以上です。ご観戦いただき、ありがとうございました。来期の女流王座戦もご期待ください。

Dsc_7284(感想戦の様子)

Dsc_7346(熱戦を振り返る福間女流王座)

Dsc_7362(チャンスらしいチャンスがなかった西山女流三冠)

Dsc_7262(長手数の熱戦を制した福間女流王座)

Dsc_7247(完敗に表情が歪む西山女流三冠)

Dsc_7172(4連覇、通算8期目の女流王座獲得となった福間女流王座)

終局後インタビューが行われました。

【福間女流王座の談話】
――一局を振り返って、どのような将棋でしたか。
福間 こちらから先攻していく形になりました。攻めていって少し模様がいいのかなと思っていたのですが、そのあとなかなか決めきれなくて。だいぶおかしくしてしまったかなと思っていました。

――終盤は長引きましたが、形勢をどのように見ていましたか。
福間 少しリードは保っているようにと思って指していました。

――女流王座4連覇の感想は?
福間 今期はいろいろな方々に支えていただいたので、タイトル戦を戦うことができてすごく感謝しています。

Dsc_7217(3連敗を喫した西山女流三冠)

【西山女流三冠の談話】
――一局を振り返っての感想をお聞かせください。
西山 あのタイミングで▲4一角(57手目)と打たれるとはあまり思っていなくて。守勢になってしまって。歩切れの攻めではあるので切らせるような感覚で指していたのですが、▲5二角打の筋とかがかなり厳しかったので、どう厚くしても入玉は難しい展開だったのかなと思いました。

――玉を上部に逃げ出したあたりはどう見ていましたか。
西山 ▲8九飛(127手目)と回られたあたりは少し勝負になった気がしたのですが、歩を連打(△8八歩~△7八歩)したところで入玉が難しい将棋になってしまったのかなと思いました。

――シリーズ全体を振り返って。
西山 ストレート負けということで反省しなければいけないと思っています。

Dsc_7191(終局直後に行われたインタビューの様子)

20250305_195リコー杯第14期女流王座戦五番勝負第3局は福間女流王座が制しました。終局時刻は18時36分。消費時間は、▲福間2時間58分、△西山2時間59分。

これでシリーズ成績は福間女流王座の3勝0敗となり、防衛に成功。4連覇、通算8期を達成しました。

20250305o18時過ぎ、福間女流王座が決めにいきました。図から▲4五銀と打って△6四玉に▲5四歩が厳しい攻めになったようです。以下△3一角▲同竜と角を取った先手が勝勢になりました。

20250305n17時30分、図の局面を迎えています。先手が優勢ながらも後手の入玉の可能性が出てきました。控室では福間女流王座になんらかの誤算があったのではといわれています。「依然として先手が優勢ですが、アヤは出てきたと思います」と中村太地八段は話しています。

20250305m17時20分、図の局面を迎えています。西山女流三冠が中段玉で踏ん張っているところです。後手の狙いは入玉ですが、戦力に差があるため、中村太地八段は「冷静に見れば福間女流王座がいいでしょう」と話しています。

20250305k福間女流王座は▲3二角打(1図)と角を重ね打ちました。▲4三角成が狙いです。対する西山女流三冠は△3一桂と受けましたが、▲6三角成△同金▲4一角成と攻めを続けます。以下△9二飛に福間女流王座は▲5一馬△6四玉▲8四歩△同歩▲同馬(2図)と後手玉を寄せにいきました。先手としては入玉をされるプレッシャーがありますが、決めに出ました。

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20250305i順調に攻めを続けている福間女流王座が優勢と見られています。しかし、控室では図で△3五歩の攻め合いならば、先手も対応が難しいのではないかと検討されていました。▲3五同歩は△3六歩▲同銀△2四桂の筋で桂頭を狙われます。△3五歩に手抜いて▲6一角は、△3六歩▲同銀△3五歩▲2七銀に△3六桂(変化図)と打たれて、堅固な銀冠の先手玉が歪むことになります。図から実戦は△6六銀と飛車取りに銀を打ちました。上部を手厚くする受けの手です。西山女流三冠は粘りに出る方針を選びました。

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Dsc_7009(前傾姿勢で盤上を凝視する福間女流王座)

実戦は△8二玉以下、▲8五歩△9三銀▲9五歩△同歩▲6五歩(1図)△同桂▲同桂△同歩▲7五歩△同歩▲8六桂△7三角(2図)と進んでいます。

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▲8五歩と打って銀を端に引かせてから▲9五歩は前述した攻め筋ですが、△9五同歩に▲6五歩(1図)も有力です。△6五同歩なら▲7五歩と突いて△7五同歩に▲9五香△9四歩▲7四歩△9五歩▲7三歩成△同金寄に▲6五桂の活用が見込めます。
1図以下、6五の地点で桂交換に。福間女流王座は7筋を突き捨ててから▲8六桂と据えました。▲9五香の狙いですが、西山女流三冠に△7三角(2図)と9五の地点を受けられてみると思いのほか大変かもしれません。

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△7三角は控室で検討に励む野原未蘭女流二段が指摘していました。△7三角は▲4五銀△同銀▲同桂の攻めを封じているのも大きなポイントです。相手の自陣角を見た福間女流王座が前傾姿勢になりました。

Dsc_7086(自陣角を打って相手の攻めを封じにいく西山女流三冠)