感想戦終了後、対局室で防衛を果たした福間女流王座へのインタビューが行われました。
――シリーズ全体を通しての感想をお願いします。
福間 あまりない形になったかなと。第2局は意表を突かれたところもあったのですが、ただどの将棋も一手一手、考えて指せたかなとは思います。
――内容的に手応えはありましたか。
福間 自分の中で判断して要所で時間を使って読みを入れて指すことができたと思うので、そのあたりはよかったです。
――復帰されてから好調ですが、要因についてはいかがですか。
福間 今回、出産があって対局ができるかどうかわからない状況でしたので、周りの方々に支えていただいて、対局できることが本当にありがたいと思って指していました。勝負ではあるのですが、余計なことは考えずに盤に集中できました。
――過密日程が続きますが、ご自身のペースについてどう考えていますか。
福間 休んでいた期間は対局がずっとなくて実戦不足で少し不安はあったのですが、そのぶん対局ができることを今は楽しみで指しているような感じです。肉体的な疲れという面では不安はあるのですが、モチベーションとしてはすごくいい状態です。
――休場中は将棋にどのように向き合っていましたか。
福間 バタバタしているので正直、自分の時間を確保するのが難しいのですが、時間を見つけてやっているときの充実感はあります。今は(育児も対局も)両方ともいい息抜きになっているところがあります。成績や結果がいいからということもあるのですが、どうしても負けが込んでしまうときもあると思いますので、自分のペースを保って迎えられたらなと考えています。
――産休前と後で将棋に向き合う時間はどのぐらい違いますか。
福間 かなり違いますね。将棋が指せているのも家族の支えがあってのことです。将棋が指せていることがすごく幸せですし、家族にすごく感謝しています。タイトル戦を終えることができたのはスポンサーの皆さまのおかげですので、そういう気持ちが今はいちばん強いです。
――東京遠征は月曜日からの連戦になりますが、問題はなかったでしょうか。
福間 家を空けてしまうので大丈夫かなと思っていたのですが、私のほうは自由に時間を使うことができたので、すごくありがたいなと。
――復帰されて将棋観の変化などはありましたか。
福間 対局がなくて復帰したてですので、今は対局がすごく楽しいという感じで指しています。
(共同会見より抜粋)
(主催である株式会社リコーの諸星博コミュニケーション戦略センターメディアデザイン室室長から花束が贈呈された)
今期五番勝負の中継は以上です。ご観戦いただき、ありがとうございました。来期の女流王座戦もご期待ください。












リコー杯第14期女流王座戦五番勝負第3局は福間女流王座が制しました。終局時刻は18時36分。消費時間は、▲福間2時間58分、△西山2時間59分。
18時過ぎ、福間女流王座が決めにいきました。図から▲4五銀と打って△6四玉に▲5四歩が厳しい攻めになったようです。以下△3一角▲同竜と角を取った先手が勝勢になりました。
17時30分、図の局面を迎えています。先手が優勢ながらも後手の入玉の可能性が出てきました。控室では福間女流王座になんらかの誤算があったのではといわれています。「依然として先手が優勢ですが、アヤは出てきたと思います」と中村太地八段は話しています。
17時20分、図の局面を迎えています。西山女流三冠が中段玉で踏ん張っているところです。後手の狙いは入玉ですが、戦力に差があるため、中村太地八段は「冷静に見れば福間女流王座がいいでしょう」と話しています。
福間女流王座は▲3二角打(1図)と角を重ね打ちました。▲4三角成が狙いです。対する西山女流三冠は△3一桂と受けましたが、▲6三角成△同金▲4一角成と攻めを続けます。以下△9二飛に福間女流王座は▲5一馬△6四玉▲8四歩△同歩▲同馬(2図)と後手玉を寄せにいきました。先手としては入玉をされるプレッシャーがありますが、決めに出ました。
順調に攻めを続けている福間女流王座が優勢と見られています。しかし、控室では図で△3五歩の攻め合いならば、先手も対応が難しいのではないかと検討されていました。▲3五同歩は△3六歩▲同銀△2四桂の筋で桂頭を狙われます。△3五歩に手抜いて▲6一角は、△3六歩▲同銀△3五歩▲2七銀に△3六桂(変化図)と打たれて、堅固な銀冠の先手玉が歪むことになります。図から実戦は△6六銀と飛車取りに銀を打ちました。上部を手厚くする受けの手です。西山女流三冠は粘りに出る方針を選びました。



