2016年9月 1日 (木)

以上で本日の中継を終わります。ご観戦ありがとうございました。
五番勝負もこのサイトで中継いたしますので、よろしくお願いします。

【第6期リコー杯女流王座戦 五番勝負 日程】
第1局 10月26日(水) 広島県広島市「シェラトングランドホテル広島」
第2局 11月3日(木・祝) 大阪府大阪市「芝苑」
第3局 11月25日(金) 静岡県静岡市「浮月楼」
第4局 12月5日(月) 東京都千代田区「都市センターホテル」
第5局 12月20日(火) 東京都渋谷区「将棋会館」

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感想戦後に記者会見がありました。

A651 (加藤女流王座、里見女流四冠、島朗・日本将棋連盟常務理事が出席)

「挑戦者となりました里見香奈女流四冠は内容的にとても安定しています。ここ数年でも群を抜いています。加藤桃子女流王座もタイトル戦では盤石の戦いを見せていますが、この記者会見でこれから戦うんだという気持ちになられていることでしょう。二人はこれからも幾度となく戦うのではないかと思います。五番勝負はいい戦いになることを願います。温かい応援をよろしくお願いします」

加藤「里見さんは努力の方という印象です。内容も安定していて、理想の将棋。五番勝負を通して学びたいと思います。現在は強くなりたいという気持ちがいちばん強いです。一瞬一瞬を大切に一局一局を丁寧に指したいです」

里見「今日の将棋は序盤から前例のない展開でした。一手一手を考えて進めていけて、自分の力を出しきれたと思います。再びこのような舞台で指させていただけることは光栄です。五番勝負を通して強くなるのは難しいかもしれませんが、こうやって向き合ってきたと思えるような勝負をしたいと思います」

A622 (記者の質問に答える加藤女流王座)

――加藤女流王座は今回防衛すると初めての「クイーン王座」になります。

加藤「女流王座戦は私の中で かけがえのないものです。初めてタイトルを取ったり、防衛したり失冠したりといろいろありました。可能でしたらクイーン王座になりたい気持ちはあります が、今シリーズは厳しい戦いになると覚悟しているのでクイーン王座を意識するよりも本当に強くなってからいただけるようになることがうれしいことだと思っ ています。そのために目の前のことを一生懸命やっていかないといけません」

――里見女流四冠は第3期で女流王座を獲得し、第4期は休場により出場できませんでした。

里見「休場前にリコーの関係者の方にお話ししたときに『いまはゆっくり休んでください』と温かい言葉をいただきました。申し訳ない気持ちとご迷惑をおかけした気持ちがあり、現在、感謝の気持ちしかありません。現在は自分が一生懸命将棋に向き合って、自分の力を出しきれるような五番勝負にしたいと思います」

A618 (島理事が質問する場面も)

「私からも質問させてください。加藤女流王座はリコーのラグビーチームであるリコーブラックラムズの試合をご覧になられたそうですね。初めてのラグビー観戦だったかと思いますが、感想はいかがでしたか」

加藤「先週土曜日に初めて観戦しました。迫力がすごかったです。勝負する人はこんなに生き生きしているのかと。試合はブラックラムズがリードしていたのですが、最後に点差が詰まったんですね。どちらが勝つかわからない状況で一生懸命しのいでブラックラムズが勝ったので、どんなに苦しくてもあきらめてはいけないと感じました。それを五番勝負に生かせたらと思います」

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――3年前の自分と現在の自分で変わったもの、変わらないものはありますか。

里見「休場してからはリラックスするようにしてきましたが、除々にですけどペース配分を考えて頑張りたいと思っています。たぶん3年前のほうが頑張っていると思いますので。将棋が好きということは現在も変わりませんので、その気持ちを忘れずにやっていきたいと思います」

加藤「3年前は奨励会は1級だったと思います。初段に上がれたのは成長を感じますが、現在も成績はあまりよくないので現状は甘いのひと言に尽きるなと思います。私も将棋が好きですので、負けが込んでもやっていけるのでこれからも続けたいです」

――五番勝負の第1局は『聖の青春』とのコラボレーションとのことですが、里見さんは村山聖九段の扇子を使われたこともあります。世代は違うわけですが、どういう存在でしょうか。

里見「『聖の青春』が映画化されると聞いた時はとてもうれしくて、早く見たいという気持ちが強かったです。小説は2,3回読みましたが、いつ読んでも刺激を受けます。将棋年鑑のアンケートで書いたことがあったと思いますが好きな本です。第1局がコラボされていると先ほど知りましたが、どういう場所なのか雰囲気なのか楽しみです。村山先生の映像でしか見たことはないのですが、生き方は自分の理想とするところなので、刺激をいただいて自分も成長したいと思います」

A280 (里見香奈女流四冠が挑戦権を獲得)

――本局を振り返っていかがでしたか。

里見「序盤の飛車交換で力戦の将棋になり、相手の攻めを押さえ込めるかどうかと考えていました。本譜は(32手目△3四飛で)自分だけ飛車を手持ちにできたので、まずまずの展開だと思いました」

―― 五番勝負に向けての抱負を聞かせてください。

里見「五番勝負を戦わせていただけるので、将棋に対して一生懸命に向き合えるように頑張ります」

A286 (敗れた西山朋佳奨励会三段)

――本局を振り返っていかがでしたか。

西山「序盤に悔いが残ります。ずっと飛車打ちを気にしなければいけない展開になり、やりにくさがありました」

A295_3 (終局直後)

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加藤桃子女流王座への挑戦を目指す第6期リコー杯女流王座戦挑戦者決定戦は、16時15分に81手で里見香奈女流四冠の勝ちとなりました。消費時間は▲里見2時間34分、△西山2時間21分。
里見女流四冠が相振り飛車から機敏に動いて挑戦権を獲得しました。五番勝負第1局は10月26日(水)に広島県広島市「シェラトングランドホテル広島」で行われます。

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図の局面、控室の評判は先手優勢。55手目▲6三歩成から先手がうまく攻め続けています。後手は5筋にと金を作りましたが、それが生きる展開にはまだ持ち込めていません。図から進行の一例は▲4四角△同飛▲4六香。


A181 (里見女流四冠=12時40分に撮影)

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図の1手前、△5八歩の評判がよく、検討陣は「先手も簡単ではないか」と話していました。また、図では△6四同角が予想されていましたが、実戦の進行は△5九歩成。8筋に壁銀を抱えているにもかかわらず、6筋のコビン攻めを手抜くとは驚きです。後手の踏み込みは成立しているのでしょうか。今後の進行に注目です。


A169 (盤の前で考える西山三段=12時38分に撮影)

48 じっとしていては苦しいと見たでしょうか、△5五歩▲同角△8六角と後手から動きました。先手は以下▲7七金△4二角▲4五桂と手に乗って反撃しています。開戦と同時に控室の検討も始まりました。


A266 (遠山雄亮五段が継ぎ盤を動かす。写真左は青嶋未来五段)

43野月浩貴七段が控室に来訪。将棋プレミアムの解説休憩中に高野秀六段も姿を見せました。図の局面は2人とも先手持ちの見解。後手の指し手が難しいと見ています。先手が局面を打開する手段としては、▲1五歩や▲3七桂が示されました。


A228 (継ぎ盤の前に野月七段、左奥は高野秀六段、右は内田晶さん)

A250 (野月七段から控室に差し入れ。GODIVAのサブレショコラ)

A207 (東京・将棋会館の売店では、棋書や棋具のほかに扇子も販売している)

A206_2 (手前右は加藤女流王座の揮毫、左は里見女流四冠)

A1000 (千駄ヶ谷は快晴。9月に入ってもセミの声がまだ聞こえる)

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