2022年12月19日 (月)

Kiou20221219010179

この局面で佐藤九段が投了しました。終局時刻は19時10分。消費時間は▲藤井3時間43分、△佐藤3時間59分。渡辺明棋王への挑戦権の行方は、来週27日(火)に東京・将棋会館で行われる挑戦者決定二番勝負第2局で決まることになりました。

(睡蓮)

221219_0701図で▲5五同馬かと思いきや、藤井玉は▲5五同玉と前進しました。△5八馬(▲同金は△6五金で詰み)には▲5三桂不成△同銀▲5八金とするようです。4五が空くので△6五金では詰まなくなります。

これだけでも驚きのしのぎですが、▲5五同玉以下、△7八馬に▲6四玉(2図)が実戦の進行。どうやら藤井竜王は自玉を土台にして敵玉を寄せるつもり。恐ろしい発想です。

(牛蒡)

221219_061図の局面、先手が耐えていそうです。59手目▲5五角が好手でした。△6六歩や△6四飛に備えています。

上図から△8七馬▲同銀△同飛成▲5八玉△6七歩▲同金△6九銀▲同玉△6七竜▲6八歩△7八金▲5九玉△6八金▲4九玉△6五桂は▲5六銀(参考図)がピッタリ。以下△7八竜や△8七竜は▲9六角の王手竜取りがあります。

221219_061sこれ以外にも後手の攻め筋はありますが、先手玉がつかまる順は発見されていません。危なそうな形でも藤井竜王の見切りは正確でした。

(牛蒡)

221219_055図で先手玉は、かなり怖い形をしています。囲いから露出していますし、8筋は壁、5八に移動すると△3六角が王手角取り、△7五歩とすれば△6四飛も生じます。しかし、藤井井竜王は、これで耐えていると読み、本譜を選んだはず。実際に先手玉を寄せるとなると大変そうです。佐藤九段は長考に入りました。後手にうまい順があるかどうか。

Dsc_3848
(牛蒡)

221219_050図の局面で、残り時間は▲藤井43分、△佐藤58分。両者とも残り1時間を切りました。先手は3筋から銀を繰り出し、後手は△6五歩から△6六歩と取り込みました。3筋と6筋はどちらも敵玉に近い戦場です。激しい終盤戦になりそうです。

221219_1727(天井カメラの映像。佐藤九段の手元にカイロ。両手に持つこともある)

(牛蒡)

221219_040先手にとって図は大きな分岐点になりました。藤井竜王が指したのは▲3五歩。△3六歩や角交換後の△3六角が生じますが、先手にも▲3四歩がありますし、あとで▲2六飛も手厚そうです。戦う意思を感じる手です。

図では、すぐに▲2六飛も候補のひとつでした。これは歩得を主張して受けに回る指し方です。後手に何もなければ指したいところでしたが、△6五歩▲同歩(△7五歩▲同歩)△6六歩が嫌だったのかもしれません。

Dsc_4187(対局立会人の上村五段。各部屋の対局を見回りつつ、本局にもコメントを寄せる)

(牛蒡)

221219_03736手目△2六歩に対し、藤井竜王は1時間22分の長考で▲6六歩としました。候補に挙がっていた手ですが、自ら角道を止めて攻撃力を落とす手でもあり、指しづらいとの意見もありました。後手が暴れてきた場合の対策を立てる必要もあり、長考になったと思われます。残り時間は▲藤井1時間5分、△佐藤2時間31分と差がついています。

Dsc_4171(藤井竜王はいつものように妥協することなく読みを入れた)

(牛蒡)